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【就活】有効求人倍率が上がっても就活が楽にならない理由

 有効求人倍率が1.00倍を超えたというニュースがありました。2014年、アベノミクスの効果として、 有効求人倍率の上昇が叫ばれました。しかし、有効求人倍率が上がっても、就活楽になりません。 なぜ有効求人倍率が上がっているのに、就活は苦しいままなのでしょうか。 

 

有効求人倍率は当てにならない

 有効求人倍率とは、求職者の人数に比べて求人がどれくらいでているかを示す倍率です。

 1.00倍を上回っていれば、求職者より求人のほうが多い、つまりは「仕事を選ばなければ皆が就職できる」という状態です。 逆に1.00倍を下回っていれば、求職者より求人のほうが少ない、つまり「どうしても就職できない人が発生する」という状態です。

 2014年11月の時点で、有効求人倍率は1.18倍となっており、求職者100人に対して求人は118件あるわけです。 仕事を選ばなければ皆が就職できる状態です。それでも就活は苦しく内定も出ず、諦めてしまう学生も多いです。 実は、有効求人倍率当てにならない指標なのです。

 まず、有効求人倍率ハローワークでの統計です。 つまり、ハローワークに来て仕事を探している人と、ハローワークに出ている求人を比較しているというわけです。 会社と直接やりとりをする新卒の就活のデータは含まれていません

 有効求人倍率が上がっても就活が楽にならないのは、そもそも大卒の就活と関係のない指標だったからなのですね。 当てにならない理由はまだあります。それは空求人です。

 ハローワークには空求人が出ており、見分ける方法も難しいです。 空求人とはその名の通り、「採用するつもりがないのに求人だけ出している」状態を指します。 空求人に釣られて面接を受けても、採用されることはありません。

 空求人には会社にとってメリットがあるため、こんなことが起きてしまうのです。 「求人を出している」ことで、政策金融公庫などの政府系の銀行からお金を借りる際に「金利が安くなる」のです。

 他にもまだまだ理由はあり、薄給激務の介護士の求人ばかりだったり、 資格がないと就職できない看護師の求人だったり、給料の安定しない(出勤日数の安定しない)建設現場の求人だったりと、 女性しか採用するつもりのない事務職の求人だったりと、 選べない求人が多いというのも理由の一つです。

 そもそも有効求人倍率は就活に関係ない上に、有効求人倍率自体が当てにならないというわけです。

 

求人が増えているのは介護士と建設現場

 有効求人倍率が上がっているのは介護士と建設現場の仕事が増えているためです

 まず、少子高齢化に伴い介護士の仕事が増えています。元々少人数で多数の高齢者を介護する、 かなり無茶な仕事でした。就職希望者が伸びない一方で高齢者はどんどん増えていきます。 求職者よりも圧倒的に求人のほうが多いのが介護士の実情です。

 また東日本大震災の復興特需、東京オリンピック特需、アベノミクスによる公共事業の増加による特需で、 建設現場で働く現業職が不足しています。特に民主党時代に公共事業を大幅に削減していたため、 元々建設現場で働いていた人も転職してしまい、現業職が減っている中での需要の増加です。

 そのため建設現場の求人に求職者の数が追いついていません。 それどころか現場監督をする大卒、高専卒の技術者すらも不足しています。 しかし建設業の辛いところは、技術を身に付けるまで時間がかかるという点です。

 木材を運んだり鉄材を運んだりという仕事ばかりではありません。 昔に比べて建設機械は充実しており、どうしても機械でできない複雑な仕事ばかり残っているのです。 政権交代が再度起こればまた、仕事がなくなってしまうかもしれませんし、求職者はなかなか現れません。

 お気づきのことかと思いますが、介護士も建設現場も大卒で就職するというイメージのない職業です。 大卒の就活とはあまり関係のないところで求人が増え、「有効求人倍率が上がった!」と騒いでいるわけです。

 

大卒の就活戦線は未だ苦しい

 大卒就活未だ苦しい状況にあります。 というか、今後回復するとはあまり思えません。

 というのも、もちろん景気が沈んでいる間は求人も増えないでしょう。 「作れば売れる」時代ではありませんので、むやみやたらに新卒を確保する意味もなく、 会社にとって正社員を増やすのはリスクでしかありません。

 会社は、会社が存続するために必要最低限の総合職だけを採用し、 工場や現場で働く職人、会社で事務をする一般職は派遣社員契約社員を使うでしょう。

 景気が回復すれば変わるというものでもありません。 バブル時代、会社は大勢の新卒を採用していました。しかし今後好景気を迎えても同じようになるとは限りません。

 機械化による影響です。バブル崩壊後の長い不景気時代を乗り越えるため、 会社は機械化、パソコン化を推し進めて人員削減に取り組みました。 リストラこそしていなくても、機械化、パソコン化によって本来採用するはずだった人を採用しなくなっているはずです。

 特に一般職の正社員での採用は大幅に減り、いろんな会社で一般職はアウトソーシングされています。 総合職もそれまでは2,3人で何時間もかけて行っていた仕事も、今ではパソコン1台で数秒で可能になっているわけです。 大勢の人が要らなくなったのです。

 仮に好景気を迎えて「作れば売れる」時代を迎えたとしても、必要になるのは総合職ではありません。 必要になるのは現業職です。ものをつくるには、総合職ではなく工場や現場の職人を増やす必要があるのです。 総合職の仕事も多少は増えるでしょうが、あまり期待できません。

 これは、あまりにも大卒が増えすぎたことにも起因しています。「大卒だから工場や現場では働きたくない」と思うものです。 しかし、大卒がここまで一般的でなかった時代はもっと工場や現場で働く人がいました。 もともと総合職はそれほど人数が必要でなかったのです。なぜ大卒がここまで増えてしまったのでしょうか。

 もちろん「3K」という悪口や「3高」というもてはやし方、「ホワイトカラー」偏重を広めた、バブル時代の考え方も影響しています。 バブル時代に青春時代を過ごした年代は子供たちをこぞって大学に通わせたわけです。 おかげで総合職という少ないパイを奪い合う人が増えてしまいました。

 不景気時代に工場や現場の職人をいともたやすく切り捨てた会社にも責任の一端があります。 工場や現場を機械化し、職人の採用人数を大幅に削減したり、リストラの対象としたり、 あまりにも冷遇しすぎました。

 このせいで若い年代が「大卒で総合職として就職しなくては」と思うのも無理はありません。

 

有効求人倍率に騙されてはいけない!

 有効求人倍率就活関係がありませんので、 厚生労働省の発表、マスコミによる報道がなされても「就活も楽になるかなー」などと思ってはいけません。 大卒の就活とは関係のないところで仕事が増えているのです。

 大卒の就活でも、ときどき「大手企業が採用人数を増やした」とニュースになります。 しかし、ある企業で採用人数50名が100名になった程度で何が変わるというのでしょうか。

 毎年就活生は何十万人もいます。その中で大企業が採用人数を50人や100人増やしたところで、 就職難は変わりません。

 また採用人数が増える会社はたいてい銀行や証券会社など、大量採用、大量退職の会社です。 去年採用した人が想像以上に退職したら、その分次の年に採用しなくてはなりませんし、 バブル入社の人たちが一斉に定年退職したら、その分を補てんしなくてはなりません。

 景気が良くなって採用人数を増やしたのか、単に人が少なくなったので採用人数を増やしたのかはわかりません。 有効求人倍率が上がろうが、下がろうが、騙されずに気を引き締めてかかりましょう。