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年功序列と成果主義と能力主義の違い

 年功序列を見直し、成果主義を取り入れようという動きがあります。 政府が主導となり、日本の従来の賃金、昇給制度である年功序列を廃止、あるいは削減し、成果主義を取り入れようというのです。 

 年功序列デメリットには転職しにくいというものがあります。 年功序列では年齢とともに給料が上がっていくのですが、40歳で転職すると、次の会社では何の成果も出していないのに40歳の給料がもらえるのです。 もちろん会社も、転職の社員にそのまま40歳の給料を支払いたくありません。そのためそもそも転職を受け入れないのです。

 年功序列は日本独自の制度であり、欧米など海外には無い制度です。 成果主義が当たり前の海外労働者を雇うのに、年功序列を採用したままでは不都合なのです。

 海外競争力をつけるために、年功序列を見直し、欧米の制度である成果主義を取り入れようというのです。

 

年功序列とは?

 年功序列とは、年齢に応じて給料が上がっていく日本独自の昇給制度です。 会社にどれだけ利益を出したかや、どれだけの働きをしたかに関わらず、 年齢とともに給料が上がっていきます。

 社員には大きく分けて実働部隊管理職がいます。 管理職は直接利益を出したり、直接手を動かす仕事はしません。 実働部隊を管理するのです。

 会社に出る利益のうち、実働部隊と管理職では、実働部隊のほうが占める割合が大きいです。 例えば営業部では、実際に物を売ってくるのは実働部隊であり、管理職は指示を出しているだけです。 会社に出した利益でいえば、実働部隊のほうが貢献しているのです。

 さて、実働部隊の年齢は20歳から30歳ほどです。それに対して管理職は40歳から50歳くらいです。 年功序列制度のもとでは、実働部隊より管理職のほうが給料が高いです。 つまり、実際に利益を出している20歳、30歳の社員よりも、利益を出していない40歳、50歳のほうが給料が高いのです。

 年功序列の特徴は、若い時期は利益をいくら出しても給料が低く年を取ると利益を出さなくても給料が高いことです。

 これは年長者が得をしているわけではありません。 年長者も若いころは、利益を出しながら低い給料しかもらっていなかったのです。 年を取ると、若い時にもらえなかった分の給料が支払われるというわけです。

 若い時に利益を出しながら安い給料しかもらわず、年をとってから本来もらうべきであった給料を受け取るこの制度を、 社内預金と表現することもあります。実働部隊のときに社内預金をしておき、 管理職になったときに社内預金を引き出していくという考え方です。

 なぜ年をとってからの転職が難しいかというと、年功序列のもとでは、 社内預金をしていないのに社内預金を引き出すことになるからです。 そのためよっぽど能力のある人でないと、満足な条件での転職ができません。

 年功序列には能力が関係ありません。悪く言えば「無能でも給料が上がる」となりますが、 良く言えば「運悪く利益につながらなくてもプライドを守れる」となります。 年を取ればとるほど給料があがり、若くして辞めると社内預金がパーになります

 このため会社への帰属意識が強まり、終身雇用制度と絡み合って日本の経済成長を実現させたとも言われます。

 

成果主義とは?

 成果主義とは、業務の成果によって社員を評価し、給料に反映させる制度です。 ここに年齢や学歴は関係ありません。結果だけが給料を左右するのが成果主義なのです。

 成果主義は、よく能力主義と混同して考えられます。能力主義は成果主義とは別物であり、 結果だけでなく過程も見られるのが能力主義です。 成果主義と能力主義の違いは、過程を見られるかどうかです。

 就活では「成果主義を導入しています」と説明する企業も多いです。 しかし、たいていの場合それは成果主義ではなく、能力主義です。

 もっといえば「職能給」という名前の給料を支給しているだけで、 結局は職能給も年齢とともに上がっていくという制度だったりします。 年齢が低くても成果を出せば給料が跳ね上がるということはなく、年齢とともに職能給も上がっていくのです。

 成果主義は欧米で採用されている給与システムですが、成果主義もメリットばかりではありません。 成果主義は、結果を出せば給料が上がるとは言いますが、人間はそんなに単純にできているわけではありません。

 頑張ったからといって結果が出るとは限らないからです。いくら働いても、 いくら残業しても、いくら会社のために自分を犠牲にしても、結果が出ない時は出ませんそんなとき、さらに給料も下がるのが成果主義なのです。

 成果主義では頑張っても報われないという現象が多発します。

 成果主義は、年功序列に比べて挑戦して失敗したときのリスクが高いです。 失敗すれば給料が下がることに直結するからです。 新しいビジネスや新しい仕事のやり方などを発掘していくには障壁となる制度です。

 一方で能力主義は過程も見られますから、 挑戦して失敗しても、頑張ったら評価されます。 評価されるのでもっと頑張り、いずれは会社に利益をもたらすのです。

 

能力主義とは?

 能力主義とは、業務の成果と過程を評価する日本独自の給与システムです。 成果ではなく、仕事をする能力を評価するのです。 成果主義が成果のみを評価するのに対し、能力主義は過程も評価します。

 頑張っても報われないことがある成果主義に対し、頑張ったら報われる能力主義というわけです。

 日本では年功序列の見直しで、能力主義が導入されることが多いです。 能力主義では頑張れば給料が上がるため、長期的に働くことにもつながりますし、 仕事を頑張る理由にもなります。日本の企業にとってとても都合の良い制度なのです。

 社員にとっても結果的に失敗しても、頑張っていれば給料が上がるため、 失敗を恐れず挑戦することができます。新しいアイデアや新しいビジネスを考えるにあたって、 失敗しても減給に直結しないのです。

 とはいえ日本は儒教の思想があります。年齢が高い人ほど給料が高いのは当たり前と考えている部分があり、 いくら仕事を頑張ったからといって、年上の給料をあまり上回ってもらうと困るのです。

 そこで単に能力主義を採用するのではなく、年功序列と能力主義を組み合わせた給与システムを作る会社がほとんどです。 能力主義の職能給と、年功序列の年齢給を同時に支給するのです。

 こうすることにより年齢というプライドを守ることができる上に、頑張れば給料が上がるというモチベーションにもつながるのです。 大変魅力的な制度・・・のようにも思えますね。

 しかし実際は能力主義も名ばかりで、ほとんどの場合、1年で昇給する職能給には限界があります。 限界まで職能給をもらっても、3、4年では1年上の先輩の給料を追い抜けないようになっているのです。 要は毎年一定額、年齢給が上がり、職能給で若干の差が出るだけです。

 

年功序列と成果主義と能力主義の違い

 年功序列成果主義能力主義違いは、 年齢を評価するか、成果のみを評価するか、成果と過程を評価するかです。

 年功序列と能力主義は日本独自の制度であり、成果主義は欧米の制度です。 しかし年功序列をそのまま採用している企業は日本でもあまり残っていません。 たいていの日本企業は年功序列と能力主義を組み合わせて採用しています。

 儒教の他に努力や気合い、やる気といった精神論が通用する日本においては、 原則として年長者の給料が高く(年功序列)、頑張れば頑張るほど給料が上がる(能力主義)を組み合わせることで、 とても説得力のある給与システムが出来上がるのです。

 一方で成果主義では年齢も、努力も評価しません。ドライです。 結果こそが正義であり、利益こそがルールなのです。欧米らしいですね。

 しかし儒教や精神論が通用する日本では、成果主義の導入は難しく、また風土に合っていません。 日本人は年上にはどうしても敬語を使ってしまいますし、気も遣います。 「頑張っても報われない」という状態を理不尽に感じ、納得ができません。

 そういった経緯があり、年功序列や終身雇用という特徴的な制度が日本に定着し、 時代の変化に合わせて能力主義というさらに日本人らしい制度が採用されているのです。

 政府が年功序列を見直すとはいっても、こういった経緯、理由を無視して、 単に海外に合わせるためだけに成果主義を導入するのでは、日本経済に良い影響は与えないでしょう。