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商社とは【就活】

 就活で大人気の商社とはいったい何者なのでしょうか。 日本のメーカーが海外では出し抜かれ、叩かれて大変な思いをしている一方で、 日本の商社はむしろ海外を出し抜き、たんまりもうけているとも聞きます。 

 ご想像の通り、商社とは、卸売業です。 物やサービスを販売することで利益を出しているのです。サービスはともかく、物は自分で作ったものではなく、 メーカーの作った製品を商品として売るというのが商社の特徴です。

 しかし、商社は小売業ではありません。商社が商品を販売する取引先は、一般消費者ではなく会社なのです。 商社が「BtoB」と言われるのもこのためで、部品メーカーから買って機械メーカーに売る、 食品メーカーから買って小売業者に売るといったもので、お客さんは業者なのです。

 商社は在庫を持ちません。売れなかったからといって製造コストが残るわけでもなく、 営業活動に使ったお金だけが費用です。 メーカーが製造するのに借金し、物を作り、売れ残ったら借金が残る一方で、 商社は借金が残りません。

 これだけを見ると、商社メーカーの営業代行だと思うのも無理はありません。 確かに商社は、メーカーがつくった商品を代わりに営業して売ってくるのです。 じゃあメーカーの営業は何をしているんだ?メーカーの営業がしっかりしていたら商社はいらないのでは? とも思うことでしょう。

 

商社への就職

 商社就職するにはどうすればよいでしょうか。 商社は体育会系です。部活に参加していた人ほど有利です。 体育会系の経験が必須とまでは言いませんが、体育会系でもやっていけるような人物でないと厳しい業界です。

 三菱商事、住友商事、三井物産などの総合商社は基本的にリクルーター面接を行っていません。 むしろ就活生のほうから積極的にOB訪問を申し込むことが必要です。 飛び込み営業ではありませんが、商社で働く以上、物怖じせず積極的に働きかける姿勢が必要ということでしょうか。

 OB訪問をしていた人も目立ちますが、OB訪問をせずに内定をもらった人もいます。 必ずしもOB訪問が必要というわけではありません。不安ならOB訪問をして、 内定をもらうためのアドバイスをもらい、入社して本当に働いていけそうか確かめるべきでしょう。

 商社では英語のスキルも求められます。TOEICやTOEFL、英検など、英語の資格を持っているとよいでしょう。 というのも、商社は海外との取引は当然のごとく、仕事としてあります。 むしろ商社は海外を相手にできるところに強みがあるのです。

 英語の資格が不十分で、TOEICスコアが低くても、英語の勉強を頑張る姿勢を見せる必要があります。

 志望動機では、「なぜこの会社なのか」が問われます。 総合商社では特に、どの会社もいろんな商品を扱っていますので比較がしづらいと思います。 会社説明会やOB訪問を通じて会社の特徴をしっかりきいておきましょう。

 

激務な商社の年収

 商社年収はどれくらいでしょうか。 一般に、商社や金融は年収が高いことで知られています。さて、その年収はどんなに高いのでしょうか。

 有価証券報告書には、平均年収が書かれています。四季報などで書かれている「平均年収」は有価証券報告書の「平均年収」です。 例えば三菱商事の場合、2013年度の平均年収は「13,552,340」円とあります。1350万円です。 しかしこれは総合職の平均年収ではありません

 三菱商事は毎年、一般職を40~50名ほど雇用しています。一方総合職は150~200名ほどです。 この「平均年収」には一般職も含まれていますので、総合職だけの年収にすればもっと高いとわかります。

 さらに、「平均年間給与は、超過勤務手当及び賞与を含んでいます。」と書かれていますが、 役職手当などの各種手当の明記がありません。 これは平均年収に含まれていないと考えられます。

 海外赴任した場合や、地方へ転勤した場合、「地域手当」や「海外赴任手当」が給付されるのが通常です。 特に中東やアフリカなど、危険地域への転勤の場合は手当が跳ね上がります。 このような転勤をすると30代で年収2000万円を超えるなんて話もよく耳にします。

 商社の高い年収の秘密は、昇給スピードの速さがあります。初任給こそ20万円程度ですが、 数年在籍すると2万円~5万円というスピードで昇給していくのです。普通のメーカーでは考えられない昇給額です。 さらに主任、係長などの役職がつくと役職手当がつき、昇給に加えて給料が上がっていきます。

 財閥系総合商社の場合、20代で1000万円は到達します。

 そしてもう一つが残業代です。残業代はサラリーマンの年収を支える重要な給料ですが、 商社の場合は残業が非常に多いです。21時~22時までの勤務は当たり前で、 終電すら逃すくらい残業することもあります。

 商社激務です。激務なだけ、昇給も残業代も大きいです。 昇給と残業で、高い年収を実現していくのです。

 また商社のボーナスは業績に比例します。儲からなかったときはボーナスはガクっと落ちます。 しかし景気が良いときはボーナスに跳ね返ってきます。 大手商社だと「ボーナスを頭金にベンツを買う」なんて話もチラホラ聞きますね。

 

総合商社と専門商社

 「カップラーメンから飛行機まで」と言われるように、あらゆる商品を扱う総合商社では特に、 財閥系の三菱商事、三井物産、住友商事が有名です。これに伊藤忠商事、丸紅を含めて「五大商社」と言います。 また、豊田通商と双日を含めて「七大商社」ともいいます。

 総合商社の定義は不明確なもので、「たくさんの商品を扱っている」ことが総合商社の条件です。 まさにカップラーメンから飛行機までを扱うような商社は、総合商社といえるでしょう。

 専門商社とは、総合商社とは対照的に「ある商品を扱う」商社です。 鉄鋼商社、非鉄金属商社、セメント商社、機械商社、繊維商社など多岐にわたります。 その分野の商社という意味で、専門商社と呼ばれます。

 上でも述べたように、素材メーカーは無数の会社を相手にできるわけではありませんので、 素材メーカーが子会社として商社を設立します。こうしてできた専門商社が鉄鋼ならJFE商事、日鉄住金物産、神鋼商事です。 紙やパルプでいえば、日本紙パルプ商事、国際紙パルプ商事があります。 食品商社なら三菱食品や双日食料、伊藤忠食品ですね。

 子会社の商社があれば十分かと言うと、そうでもありません。 いくら子会社でも倒産リスクがあるわけです。子会社の商社よりも、よりたくさんの買い手とのパイプのある商社もあります。 素材メーカーは複数の商社と付き合うのです。

 鉄鋼商社ならメタルワンや阪和興業、非鉄金属なら古河産業、機械ならユアサ商事や山善。 食品商社なら日本アクセス、加藤産業、ロッテ商事など、 専門商社はたくさんあります。

 商社に必要なものは、信頼です。買い手、売り手の両方から信頼されて初めて商社というビジネスが成立します。 総合商社よりも、鉄鋼に詳しく、鉄鋼を必要としている会社とつながりの強い専門商社のほうが有利ですし、 逆に言えば鉄鋼の専門商社に「カップラーメンがほしい」と言っても、つながりがないので売ってくれないのです。

 総合商社が出資して専門商社を設立する場合もあります。メタルワンは、総合商社である三菱商事と双日により設立されていますし、 住商メタレックスは住友商事、伊藤忠食品は伊藤忠商事です。「専門商社が総合商社に食われてしまう」ということは、まずないでしょう。

 就活で商社への就職を希望する場合、総合商社だけでなく、専門商社も併願するスタイルが一般的です。 というのも、総合商社と専門商社に厳密な違いはなく、専門商社だと思っていても様々な商品を取り扱っている場合があるからです。 今後もM&Aなどにより、専門商社が総合商社になることは、ないわけではありません。

 

商社の仕事

 商社の社会的役割を説明しました。商社の仕事は、 「物を代わりに売る」「物を代わりに買う」「リスクを肩代わりする」と言えるでしょう。 売れないものを売る買えないものを買うという点では魔法のような仕事とも言えます。

 さらにここから様々な事業に派生していきます。

 物を売る、物を買うことで、いろんな会社とのパイプができるのです。 これらの会社を集めて海外の競争入札に行くのです。 例えば海外に橋をつくるとき、測量会社、設計会社、下部工業者、上部工業者が必要です。

 もっといえば道路を設計する会社と橋を設計する会社は違いますし、 大きな橋を作る場合だと下部工業者、上部工業者も1社ずつでは対応しきれません。 2社、3社のJV(共同企業体)となって取り組む必要があります。

 しかし外国は日本にどんな測量会社があり、設計会社があるのか知りません。 どこが橋をやってくれるゼネコンなのかも知りません。 そんなときに商社が活躍するのです。

 外国も日本の商社は知っています。商社がまとめて業者を連れて行けば、 「日本の商社が言うならしっかりした業者なんだろう」と安心して競争入札に参加させてくれるのです。 当然、商社がその国から信頼されていることが前提ですが。

 また、海外との取引では為替という避けては通れない問題があります。 商品をドルで売ったとき、ドルを円に交換する必要があります。 しかし為替相場は常に動いています。為替取引も商社の重要な仕事です。

 さらに素材や資源も常に相場が変動する商品です。 石油が高いときに購入してしまっては、メーカーの原価が跳ね上がりますし、 メーカーからの信頼も失います。

 そこで石油相場を見極めて、「安い時に大量購入する」というのが必要になります。 鉄鉱石やレアメタルでも同じです。商社には相場師的な側面もあるのです。

 また、「リスクを肩代わりする」というところから、保険という仕事にも派生しています。 また専門商社を設立する他に、既存の専門商社に投資して利益を得る場合もあります。 商社は、物流、マーケティング、金融を担う業界です。

 

商社のビジネスモデル

 商社はなぜ必要なのでしょうか。本来、メーカーの営業がしっかりしていれば、 商社を通して物を売る必要はないようにも思えます。

 商社が間に入ることで手数料が発生し、本来安く買えるはずの商品に、商社の手数料が上乗せされて高くなる・・・ 商社がいなければもっと安く買えるはずだ。なんて思う方も多いはずです。 しかしそれは誤解です。

 商社を通して商品が高くなるなら、メーカーから直売してもらうはずです。 どこの会社も原価を抑えたいのは同じですから、当然のように安い方法で商品を手に入れます。 何も商社の営業マンの接待に負けて、会社を騙して商社から買っているわけではないのです。

 メーカーや小売業者が商社を使うメリットがあるのです。

 まず、まとめ買いによる割引というメリットです。コンビニが弁当を仕入れるとき、 夜の時間帯は客があまり来ないので、弁当が2つあれば十分だったとしましょう。 弁当工場に電話して「弁当を2つほしい」というのでしょうか。

 弁当2つのために工場を動かしては、大赤字必至です。工場では単位時間あたりの生産量を増やし、 いかに効率よく大量生産するかで利益を出しているのです。弁当たった2つのために工場を動かすと、コストばかりかかってしまうのです。 このため発注ロットが小さいとその分、弁当代は高くなっていきます。

 そこに商社が登場します。商社はいろんなコンビニに声をかけ、「一緒に弁当を買おう」ともちかけます。 各コンビニでは2つずつくらいしか弁当がいらないのですが、コンビニを集めれば集めるだけ、 必要な弁当は増えて行きます。

 こうして商社がコンビニを取りまとめ、弁当工場に一括して発注するのです。

 「弁当が2000個ほしい」

 工場は発注ロットが大きいため多大な利益が見込まれます。 1個当たり、10個当たりの発注より、2000個の発注のほうがはるかにもうかるわけです。 ここで商社が「また2000個の案件もってくるから割引してくださいよ」と言うことで、 弁当工場も喜んで割引に応じるわけです。

 また、商品が売れるというメリットがあります。 自社の営業マンがどれだけしっかりしていても、売れない場合があるのです。

 ビジネスの世界では、取引相手が倒産するというリスクがあります。 買い手の規模が小さい場合や、財務体質が悪い買い手の場合、「与信が悪い」 と言って、買い手が倒産するリスクがあるのです。

 買い手がつぶれたときは大変です。多大なコストをかけて製品をつくったのに、 代金が支払われないのです。

 会社としては、倒産する可能性のある会社と取引ができません。 つぶれそうな会社に対してモノを売ることができないのです。

 逆に、つぶれそうな家電メーカーが起死回生をかけて革命的な家電を開発したとします。 その家電は、作れば爆発的に売れることが予想されています。 しかし今は与信が悪いため、部品メーカーが怖がって部品を売ってくれません。

 そんなときに、商社が登場します。商社が代わりに部品メーカーから部品を買って、 家電メーカーに卸すのです。部品メーカーは部品が売れて、家電メーカーは部品を手に入れることができました。

 倒産リスクを代わりに背負うというのも、商社の仕事の一つなのです。 倒産リスクを肩代わりすることで、部品メーカーも家電メーカーも喜ばせることができるのです。 このとき確かに商社は、部品メーカーから手数料をもらいます。部品メーカーにとっては利益が減りますが、 商社がいなければそもそも部品が売れていなかったわけですから、もうけものです

 物を買えるというメリットもあります。上の例では、家電メーカーは与信が悪かったため独自で部品を購入できませんでした。 しかし、与信が良くても物を買えない場合があるのです。それは素材(鉄鋼、金属など)や資源です。

 アラブの石油会社は、無数にある会社を相手に「今月は○○という会社に石油を何バレル売ろう」と会議をしているわけではありません。 買い手が多すぎて、すべてに対応など不可能です。1社でものすごく大量に購入してくれる会社か、石油会社が仲良くしている会社くらいしか相手にできないでしょう。

 鉄鋼メーカーや金属メーカーも同じです。買い手は無数にいます。新日鐵住金から鉄を買いたいという会社は無限にあります。 携帯メーカー、建設会社、自動車部品会社、家電メーカー、部品メーカーなど、それらを新日鐵住金1社で対応するなんて不可能です。

 やはりそこで商社が登場します。購入希望者を募り、巨大発注ロットをつくりあげます。 「大量購入するよ」と石油会社や素材メーカーにかけあいます。信頼のある商社であればあるほど、倒産の可能性も低く、 割引をしてもらえて、有利に物を買えるのです。

 石油などの資源は特にそうでしょう。石油王は、名前も知らない謎のガソリンスタンドに石油を売りません。 でも日本の商社なら知っています。日本の商社が買ってくれるならと、石油王は安心して石油を売れるのです。 「商社がいなければ資源のない日本はつぶれる」というのもこのためです。

 その点で言えば、大阪ガスは商社を通さず、独自の資源調達ルートを開拓しようとしています。 大阪ガスは本当に面白い会社ですね。