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【就活】メガバンクと地銀の違い

 就活銀行を志望する場合、メガバンク(都銀)を第一志望にし、 地銀を第二志望にする就活生が多く見受けられます。

 ところで、メガバンクと地銀の違いはなんでしょうか。 簡単にメガバンクを第一志望、地銀を第二志望にしてよいのでしょうか。 

 

メガバンク・地銀・第二地銀に法的な区別はない

 銀行の種類として、メガバンク地銀第二地銀に分類されます。 しかし、実はメガバンク・地銀・第二地銀に法的な区別はありません

 すべて同じ「銀行法」によって規定される「銀行」なのであって、 「地銀だから」「第二地銀だから」「メガバンクだから」とできること・できないことがあるわけではありません。 ではなぜこのように区別されるのでしょうか。

 

メガバンク

 メガバンクは都市銀行(都銀)とも言われますが、三菱東京UFJ銀行三井住友銀行みずほ銀行りそな銀行埼玉りそな銀行を加えた5行を指します。

 これらは東京や大阪など大都市に本店を構え、広域展開をし、その分莫大な預金残高を抱えていることが特徴です。 また、顧客としては全国・世界的規模の大企業、有名企業、一流企業を持ち、この5行のシェアは全国の20%を占めます。

 日本銀行や財務省の規定ではこれら5行が都市銀行として分類されていますが、 特に法的な根拠があるわけではありません。ある地銀が成長して大規模化すれば、メガバンクに含まれることもあるということです。

 一方でゆうちょ銀行は東京に本店を構え、全国展開をし、預金残高は全国1位の177兆円ですが、 日本郵便という出自の特殊性から「メガバンク」に分類されることはありません。

※ちなみに預金残高は2位が三菱東京UFJ銀行(114兆円)、3位がみずほ銀行(86兆円)、4位が三井住友銀行(85兆円)、 5位がりそな銀行(23兆円)、6位が埼玉りそな銀行(11兆円)です。

 特に三菱東京UFJ銀行は三菱財閥、三井住友銀行は三井財閥と住友財閥、みずほ銀行は安田財閥と、財閥の流れを汲んでおり、 規模の大きさ、給与・待遇の高さ、信頼性から就活生にも人気です。

 

地方銀行

 地方銀行は地銀と呼ばれますが、全国地方銀行協会に所属する64行が該当します。 有名どころでは横浜銀行千葉銀行福岡銀行静岡銀行常陽銀行西日本シティ銀行池田泉州銀行大垣共立銀行などが該当します。

 また、埼玉りそな銀行も全国地方銀行協会の会員ですので、地銀に含まれる場合があります。

 これらは各都道府県の地方に本店を構え、地域限定で展開し、預金はメガバンクに比べて少な目です。 地銀では横浜銀行が1位で11兆円、2位の千葉銀行が10兆円、3位が福岡銀行で8兆円という規模です。

 顧客は地方の有力企業で、その都道府県内で活躍する優良企業を抱えており、 預金口座の開設も、融資の申し込みも、その都道府県内に住所をもっている人に限られることが多く、 地域限定の色が濃いです。

 地方銀行も特に法律の規定があるわけではなく、ただ「全国地方銀行協会」に加盟しているかどうかというだけの分類です。 ですので地銀が全国進出し、大規模化すればメガバンクの仲間入りをすることもありうるわけです。

 就活ではメガバンクと併願することが多く、メガバンクの選考に落ちたら地銀に就職するというような就活生が多くいます。

 

第二地方銀行

 第二地方銀行は第二地銀と呼ばれますが、第二地方銀行協会に所属する41行が該当します。 有名どころでは北洋銀行京葉銀行関西アーバン銀行みなと銀行名古屋銀行東京スター銀行などがあります。

 これらも地銀と同様、地方に本店を構え、地域限定で展開していますが、預金は地銀よりも少な目です。 第二地銀では北洋銀行が1位で7兆円、2位の京葉銀行が3兆円と続きます。

 顧客は地方の中小企業で、悪く言えばメガバンクや地銀がお金を貸し出さない企業を抱えていると言えます。 預金口座の開設も、融資の申し込みも、その都道府県内に住所をもっている人に限られることが多く、 地域限定の色が濃いのは地銀と同様です。

 第二地銀も特に法律の規定があるわけではなく、ただ「第二地方銀行協会」に加盟しているかどうかというだけの分類です。 ですので第二地銀が地銀の仲間入りを果たしたり、地銀が全国進出し、大規模化すればメガバンクの仲間入りをすることもありうるわけです。

 実際にわかしお銀行は経営再編により第二地銀から地銀になりましたし、 八千代銀行は東京都民銀行、新銀行東京を吸収合併してきらぼし銀行に改称した上で、 地銀の仲間入りを果たす予定です。

 

なぜ地銀と第二地銀に分かれたか

 法的な区別がないにも関わらず、なぜ地銀第二地銀に分かれているのでしょうか。 地銀は地域の有力企業、第二地銀はその他の中小企業を顧客としていますが、 特に銀行の規模で区別されているというわけでもありません。

 地銀と第二地銀の違いは、その生い立ちにあります。

 地銀はほとんどが「旧国立銀行(国法に基づいて立てられた銀行という意味であって、国有銀行だったわけではありません)」をルーツにもち、 簡単に言えば「昔から銀行だった」というものです。

 一方で第二地銀は「無尽」をルーツにもち、簡単に言えば「戦前は銀行ではなかった」というものです。 ちなみに無尽とは会員が資金を持ち寄って積み立て、庶民の相互扶助組織だったと言われますが、 実際には「くじ」に当たった人から優先的に分配するという一種の賭博のようなものでした。

 昔から銀行だった地銀が地域の有力企業を顧客として抱え、 戦前は銀行ではなかった第二地銀がその他の中小企業を顧客として抱えるのは当然の流れですね。

 ルーツこそ異なるものの、現在では同じ「銀行法」に基づく同じ「銀行」であり、 業務内容に変わりはありません。

 

地銀・第二地銀の弱点

 メガバンクに対して地銀・第二地銀の抱える弱点について解説します。

 地銀・第二地銀の弱点は「地域限定であること」「規模が小さいこと」「客層が劣ること」の3点あります。

 

地域限定の弱点

 地銀・第二地銀の弱点の1つが「地域限定であること」です。

 「地方創生」「地方活躍」が叫ばれる昨今、地方経済が衰退していることは明白です。 人口減少も著しく、沖縄県を除き、基本的に人口は減少傾向にあり、大都市に若者が奪われています。

 人口が減れば住宅ローンなどの個人向け融資はもちろん、企業への融資も減ります。 特に高い金利のとれる個人向け融資の減少は地銀・第二地銀にとって致命的です。

 銀行の個人向け融資は、銀行融資の約30%を占め、その半分が住宅ローンや自動車ローン、 残りの半分がカードローンとなっています。その30%が地方から消えていき、同様に企業融資も減っていく時代です。

 人口減少・地方衰退の流れでは地銀・第二地銀は圧倒的に不利で、現在の業態のままでは成長が見込めないどころか、 融資先がどんどん減っていき、さらなる苦境に立たされることが容易に予想できます。

 

規模が小さい弱点

 地銀・第二地銀の弱点として2点目に「規模が小さい」ことが挙げられます。

 融資にしても、国債投資や日銀預金にしても、金額が大きければ大きいほど利息も多くつきます。 100兆円の1%は1兆円ですが、1兆円の1%は100億円にしかなりません。 取り扱える金額が小さいということは、その分利益も少ないということです。

 また規模が小さいということは、多額の資金を必要とする大企業に対応することができず、 大企業はメガバンクからお金を借りるしかありません。 必然的に顧客は地方の企業に限られるようになり、大規模化するには顧客の企業に成長してもらうしかありません。

 また、「マイナス金利政策」のために規模が大きい銀行のほうが日銀に支払う手数料が高いのではないかという人もいますが、 実はマイナス金利が適用されるのは「上限を超えた預金」に対してですので、 実際にはメガバンクも地銀・第二地銀もマイナス金利の負担はなく、適用を受けているのはゆうちょ銀行などの一部に限られます。

 そのため現状では、規模が小さいのは弱点でしかないのです。

 

客層が劣る弱点

 地銀・第二地銀の抱える弱点として最大のものが「客層が劣る」ということです。

 大企業、一流企業はその多くが大都市にあり、メガバンクを利用しています。 同様にその大企業、一流企業の社員もメガバンクに口座をもち、住宅ローンを組む際もメガバンクを利用します。

 地銀はそれ以外の地域の有力企業を顧客として抱え、その社員も住宅ローンを借りてくれる貴重な顧客です。 しかし、地域の有力企業とはいっても大企業、一流企業ほど財務がしっかりしているわけではなく、 その分「貸し倒れリスク」を考慮しなくてはなりません。

 地域の有力企業の社員も、一流企業の社員に比べると年収が低く、その分貸し出せる上限も低くなります。

 つまり、地銀はメガバンクに比べてたくさんのお金を貸し出すことができず、 また不良債権になる可能性も高いため、その備えが必要です。 ですので多くの利幅をとることができません。

 第二地銀はもっと深刻で、地域の有力企業すら地銀に取られてしまっているので、 その他の中小企業を顧客として抱えているにすぎません。 貸し出せるお金はもっと少なく、不良債権化のリスクはもっと高いわけですね。

 

地銀・第二地銀はなぜ弱点を克服できないか

 地銀・第二地銀の弱点は以前から明白で、いろんな経済評論家が指摘してきたにも関わらず、 現在に至っても解決ができていません。それには複雑な事情があります。 地銀・第二地銀が弱点を克服できない理由は3つあります。

 まず1つが、企業は1行をメインバンクに決めて長年付き合い続けるという理由です。 銀行はすべての顧客に対して平等なわけではなく、取引実績を重視して、 よく借りてくれる企業、しっかり返済が続いている企業を優遇します。

 そのため企業にはメインバンクを1行に決めて、「取引実績を積み上げて優遇されたい」という思惑があります。

 こうなると、すでに大企業、一流企業はメガバンクの顧客として囲い込んでしまわれていますので、 いまさら地銀のつけいる余地がありません。 特に地銀は預金残高が少ないため、大企業を顧客にしても莫大な資金需要にこたえられないという問題もあります。

 2つ目は、どこへ行ってもすでに他の銀行が開拓済みという理由です。 地銀・第二地銀が全国展開しようにも、顧客はすべてほかの銀行が開拓済みです。

 例えば横浜銀行が千葉県に進出しようにも、すでに千葉銀行や千葉興業銀行、京葉銀行などが千葉県の有力企業、中小企業ともに囲い込み済みです。 また住民もこれらの銀行に口座を開設していて、給与の振込先口座に指定していますから、 いまさら横浜銀行が来たところでお客さんがいないという問題があるのです。

 こうなると自分の地域を出て勝負するにはリスクが高く、顧客を獲得できる見込みもありません。 それでも他地域に進出しようとすると、その地域の地銀・第二地銀すら貸し出さないような企業・個人に貸し出すしかありません。

 実はこれで利益を稼いでいる地銀があります。それはスルガ銀行です。 スルガ銀行は個人向け不動産融資に積極的で、不動産融資はリスクが高いですが、その分高い金利をとってカバーしています。 他の地銀・第二地銀に融資を断られた投資家の駆け込み寺になっていますので、高い金利でも貸し出せるのです。

 とはいえ他の地銀・第二地銀が他地域の個人向け融資に乗り出してしまえば金利競争が激化し、 不動産融資の高いリスクをカバーできなくなるのは目に見えています。なかなか真似できないのは当然です。

 そして3つ目の理由が、「どうせ国が助けてくれるという安心感」です。

 実はリーマンショックの後、国際合意によってG-SIBsに三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行が指定され、 基本的に国は銀行を助けないという方針が世界的に決まりました

 これは、リーマンショックが過度なリスク選好により危険な投資に走ってしまったために起きたという事実を反省し、 「銀行は国を頼りにせずもっと責任をもって経営しろよ」という意味なのですが、 日本には合意に逆行して銀行の苦境時に公的資金を注入する制度があります。 (海外からは『日本はダブルスタンダードではないか』と批判されることがありますが、当然ですね)

 これは預金保険法という法律に規定されており、条件に合致すれば苦境に立たされた銀行は公的資金の注入を受けることができます。 ですから、地銀・第二地銀には「最悪の場合は国が助けてくれるから」というモラルハザードが起きているのではないかという指摘があります。

 銀行が倒産すると1000万円を超えた預金はパアになりますので、その銀行の関係者はパニックに陥ります。 リーマンショックのように恐怖感が連鎖して、取り付け騒ぎになる事態も予想されますので、 日本政府としては「銀行の責任ある経営」よりも「銀行を倒産させないこと」を優先しているとも言えます。

 しかし、このような強力なセーフティネットがある以上、セーフティネットのない一般企業に比べて、 銀行改革が進まないのも納得できます。

 

地銀・第二地銀の将来は非常に厳しい

 上記のようなモラルハザードはメガバンクも例外ではありません。 人口減少・経済停滞はメガバンク・地銀・第二地銀の区分に関わらず銀行の抱える重大な問題です。 それでも、メガバンクの人員削減策は10年かけて行うなど、スピード感に欠けます。

 特に地銀・第二地銀はメガバンクに比べて弱点が多いため問題は目と鼻の先に迫っており、 フィンテックによる経費削減、人員削減が急務なほか、新しい金融商品、新しいサービスなど、 新たな顧客が殺到するようなイノベーションが求められています。

 ところが、人員削減を行った経営者は従業員から「悪者」扱いされますし、 給与削減は自分の懐も痛みます。リスクの高い新規事業に失敗すれば、自分の経営資質を問われますし、 地銀・第二地銀のエライ人は、リスクをとるより何もしないほうが余生を満喫できるという事情があります。

 銀行はどこもサラリーマンが出世して経営者になっており、 「事なかれ主義」のサラリーマン経営者にとっては新規事業は好ましいものではありません。 株価が上がってもあまり得をしないですし、多少給料が上がるにすぎず、リスクのほうが高いからです。

 このような状況ですから、私は地銀・第二地銀の将来は非常に厳しいと考えています。

 メガバンクも好ましい状況ではありませんが、地銀・第二地銀が衰退していけば、 そこから逃げてきた顧客を奪うことができます。メガバンクはまだマシということができます。

 第一志望をメガバンクにするのもいばらの道ですが、なんの考えもなしになんとなく第二志望に地銀を選択するのは愚の骨頂です。

 地銀・第二地銀を志望する場合は、硬直的な年功序列の悪習を打破し、身を切ってでも地元のベンチャー企業を支援したい、 新しいサービスを提供したい、地域活性化の主役を担いたいなど固い意志と強い覚悟をもって臨みましょう。

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 メガバンク・地銀を志望する方におすすめの書籍は「銀行不要時代」です。

 海外各国の銀行と比較して、メガバンク・地銀の抱える問題を提起しており、 特に地銀の現状を詳細に分析しています。

 私もこの記事を書く際に参考にした書籍ですが、著者の本業が銀行の分析であり、 著者自身も銀行での勤務経験を持つため銀行の内情がよくわかります。 志望企業の選択、エントリーシートの作成にも役立つと思います。

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