製薬会社がやばい!|就職は勝ち組どころか「やめとけ」

製薬会社をホワイトで勝ち組だと紹介する人がいます。ですが、実は就職先として「やばい」ことはビジネス界で常識です。 なぜやばいのか、そして「就職するのはやめとけ」と言うのか、その理由を4つ解説します。
目次
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製薬会社がやばい理由
製薬会社が就職先としてやばい理由は、次の4点です。
- 新薬は一番乗り以外すべて負け
- 儲かる特許権がすでに切れている
- 国の薬価引き下げにより利益が出ない
- 業界再編に巻き込まれる
上記により新薬開発が儲からない時代が来ており、将来性がないと言えます。
新薬は一番乗り以外すべて負け
新薬開発は毎年何千億円もの大金をかけて行われます。例えば武田薬品は24年3月期には7,299億円を研究開発費として支出しています。 ですが、新薬ができるのは偶然です。そこに確実性はなく、何千億円も使いながら「何ら成果が得られない」ことも往々にしてあります。
その上で、同じ効果の新薬を研究しているのは1社だけではありません。 他社に先を越されると特許権を取りますから、2番手以降は費やした研究開発費がすべて水の泡です。 このように、新薬は「1位総取り」の仕組みになっています。
つまり、現在業績の好調な企業であっても、新薬開発に成功しなければいずれつぶれるというわけです。
儲かる特許権がすでに切れている
かつて製薬会社が「ホワイト企業だ」と言われていたころ、まだ各社には「儲かる特許権」がありました。 特許権さえあれば、他社にライセンス供与するだけで不労所得が得られます。 自社で何もしなくてもお金が入ってくるという状態だったのです。
ですが、特許権はいずれ失効します。各社の特許権は2020年前後に失効し、利益が大幅に減少しています。 以下の表は「経常利益率の2010年と2024年の比較」です。
武田薬品工業 | 大塚製薬 | アステラス製薬 | |||
---|---|---|---|---|---|
2010年 | 2024年 | 2010年 | 2024年 | 2010年 | 2024年 |
28.37% | 1.24% | 10.06% | 7.07% | 19.59% | 1.56% |
第一三共 | エーザイ | ||
---|---|---|---|
2010年 | 2024年 | 2010年 | 2024年 |
13.62% | 14.81% | 10.76% | 7.20% |
表をご覧いただいてわかる通り、第一三共を除いて軒並み利益が大幅に減っています。 利益率は大企業平均が約7%ですが、普通以下にまで落ち込んでいることがわかります。
特許権が切れると、ジェネリック医薬品が登場します。同じ効果を持つ廉価版の医薬品ですね。 当然、患者は安価なジェネリックを購入しますから、もはや新薬会社の高い薬は誰も買わないわけです。
国の薬価引き下げにより利益が出ない
さらに追い打ちをかけるのが、国の薬価引き下げです。
薬の価格は「研究開発にかかった費用」を考慮の上で、高めに設定され、国の保護が受けられていました。 本来、「一番乗りの会社」だけは「研究開発費を取り戻せる」ことが約束されていたわけです。 ですが、日本が高齢社会となった現在では医療費の増大が問題になっています。
そこで厚生労働省は「薬価の引き下げ」を毎年行い、特許権が効いている新薬もどんどん値下げしています。 これで医療費削減はできるのですが、製薬会社にとっては研究開発費すら取り戻せないという状況に陥ります。
2025年度の薬価改定で米国研究製薬工業協会(PhRMA)と欧州製薬団体連合会(EFPIA)が共同で「私たちは驚き、深く失望している」「透明性の欠如には、非常に落胆している」と強調し、 日本製薬団体連合会(日薬連)は「誠に遺憾」と発表しています。
理由としては、「研究開発費も取り戻せない状況では新薬開発などできない」からです。
参照:25年度薬価改定 製薬業界は政府に不信感露わ PhRMA・EFPIA「政府の取組みへの参加留保」と牽制|ミクスOnline
業界再編に巻き込まれる
この状況を打破するには、さらに研究開発費を投入するしかありません。 しかし、売上5000億円規模の会社は、最大でも5000億円までしか使えません。そこでM&Aによる規模拡大を図ります。
こうして武田薬品や海外メガファーマはM&Aを繰り返し、巨大化を続けています。 つまり、就職先が買収されるリスクがあるというわけです。
残念ながら、国内1位の武田薬品ですら、世界ランキングは13位です。 日本勢はどの企業も買収に遭うリスクがあり、どこに行けば安心ということもありません。
余談ですが、化学メーカーの三菱ケミカルや住友化学は、製薬子会社を持っています。 市場からはその「リスクの高さ」ゆえに売却を迫られているのですが、買い手が見つかりません。 業界再編も難航しているというわけです。
参照:住友化学と三菱ケミカル、ともに製薬子会社の売却が難航!市場は切り離しを要求も「買い手不在」の憂鬱|ダイヤモンドオンライン
製薬会社はブラックなの?
製薬会社がブラックなのかというと、現時点ではむしろホワイトです。 平均年収は各社900~1200万円あり、残業は月0~10時間で、年間休日も120日以上あります。
というのも、新薬開発は「偶然」だと述べましたが、逆に言えば「長時間働けばうまくいく」というわけでもないからです。
文系社員も同様で、製薬会社の営業のことを「MR」と言いますが、MRは「薬を売る」わけではありません。 なぜなら薬を処方するのは医師であり、製薬会社は医師に「こんな薬がありますよ」と紹介することしかできません。 ゆえに、MRの頑張りが売り上げに直結するわけではなく、長時間労働も意味がないのです。
ですが、利益が出ていない以上は待遇悪化の可能性があります。 あなたは将来性のない状況で、安心して働けるでしょうか?
新薬メーカーのランキング | |||
---|---|---|---|
会社名 | 売上高 | 平均年収 | 年間休日/備考 |
武田薬品工業 | 4.0兆円 | 1097万円 | 123日 新薬 |
大塚製薬 | 2.0兆円 | 1046万円 | 120日以上 新薬 |
アステラス製薬 | 1.5兆円 | 1062万円 | 120日以上 新薬 |
第一三共 | 1.2兆円 | 1120万円 | 120日以上 新薬 |
中外製薬 | 1.1兆円 | 1198万円 | 126日 新薬 |
エーザイ | 7444億円 | 1050万円 | 123日 新薬 |
住友ファーマ | 5555億円 | 904万円 | 126日 新薬 |
田辺三菱製薬 | 4936億円 | 非公開 | 125日 新薬・三菱ケミカル傘下 |
小野薬品工業 | 4471億円 | 963万円 | 126日 新薬 |
協和キリン | 4422億円 | 945万円 | 125日 新薬 |
大正製薬 | 3013億円 | 895万円 | 125日 新薬・非上場化 |
参天製薬 | 2790億円 | 902万円 | 123日 新薬 |
日本新薬 | 1374億円 | 806万円 | 120日以上 新薬 |
杏林製薬 | 1132億円 | 887万円 | 126日 新薬 |
ジェネリックは将来性がある
一方のジェネリック医薬品のメーカーは、将来性があります。 なぜなら、そもそも特許権の切れた医薬品であり「ライセンス料」に頼っていないからです。 加えて新薬開発もしないため、研究開発費がかかりません。
また、医療費を抑えたい国としてはジェネリックを勧めますし、薬局も患者が喜ぶため、こちらを勧めます。 上で紹介した「薬価改定」のニュースでも唯一歓迎しているのが日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)です。
以下は、ジェネリック医薬品専業のメーカー一覧です。
後発医薬品メーカーのランキング | |||
---|---|---|---|
会社名 | 売上高 | 平均年収 | 年間休日/備考 |
沢井製薬 | 2003億円 | 831万円 | 126日 後発医薬品 |
日医工 | 1790億円 | 675万円 | 123日 後発医薬品 |
科研製薬 | 729億円 | 815万円 | 123日 後発医薬品 |
高待遇のおすすめ業界は?
高い年収・年間休日・少ない残業時間にあこがれる場合は、化学メーカーがおすすめです。 年収は少し見劣りしますが、年間休日120日以上、残業時間は0~10時間の会社が非常に多い業界です。
また、準大手ゼネコンは競争倍率が10倍程度と低いにも関わらず年収は900~1000万円という穴場の業界です。 残業時間は部署によるところが大きいのですが、年間休日はやはり120日あります。
また、文系なら医薬品専門商社もおすすめです。
専門商社は製薬会社の医薬品のほか、電機メーカーの医療機器も販売しており、 時には医療機関や薬局の経営コンサルティングもする会社です。
医薬品専門商社と製薬会社では、「医薬品を医療機関や薬局に販売する」という点では同じですが、「医療機器や経営上のソリューションを提供できる」 という点と、「自社製品に限らずあらゆる医薬品を提案できる」という点が異なります。
逆に自社製品を持たないため知名度は低いですが、医薬品・医療機器・経営コンサルティングと、 幅広く医療のサポートができるため、よっぽど特定の製薬会社に思い入れがあるのでなければ、 医薬品専門商社で働くほうが営業もしやすく、自分の成長も期待できます。
以下は、医薬品専門商社のリストです。製薬会社への就職を希望する人は、 ぜひ医薬品専門商社にもプレエントリーしましょう。
会社名 | 売上高 | 平均年収 | 備考 |
---|---|---|---|
メディパルホールディングス | 3兆円 | 795万円 | |
アルフレッサホールディングス | 2.5兆円 | 684万円 | |
スズケン | 2.1兆円 | 649万円 | |
東邦ホールディングス | 1.2兆円 | 624万円 | |
バイタルケーエスケー・ホールディングス | 5800億円 | 716万円 | |
シップヘルスケアホールディングス | 4000億円 | 695万円 | |
ほくやく・竹山ホールディングス | 2200億円 | 558万円 | |
メディアスホールディングス | 1500億円 | 720万円 | |
カワニシホールディングス | 1000億円 | 527万円 |
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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