就活にボランティア経験は意味ない?|自己PRにうまく利用する方法
「就活のため」のボランティアには意味ないと言う他ありません。自己PRやガクチカに使うには「それだけ」では弱いです。 一方で就職活動の軸と関連付けることができればボランティア経験を効果的に利用することも可能です。
この記事の要点
- ボランティア経験は、ビジネスの役に立たない!
- 会社はボランティアを息抜きとして扱っている!
- 就活の軸と関係ない活動は意味なし!
- 「就活のため」のボランティアならやめよう
目次
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ボランティア経験に意味がない理由
就活にボランティア経験は意味がありません。 有利にはなりませんし、経験なしでも全く影響ありません。その理由は次の3点です。
「もうすぐ就活なのにボランティアをやってない・・・」とお悩みの皆さんには朗報です。 「ボランティア経験なし」は就活では全く問題ありません。就活でボランティアが有利にならない理由を解説していきます。
1.責任のない活動であるため
ボランティアには、責任がない!
ボランティアは、責任のない活動です。 ボランティア自体が悪いというつもりはありませんが、どこまで行ってもタダ働きなのが現実です。 お金をもらっていない分、責任は生じませんし、手を抜いたりサボったりするのも自由です。
対するビジネスは、責任のある活動です。 お金をもらうということは、「お金を払ってでも欲しい価値」を提供する義務があります。 どうすれば顧客がもっと喜ぶか、もっと高い利益が得られるか、脳を酷使して考えます。
例えば「ゴミ拾いをした」「子どもの見守り活動をした」という場合、確かに社会的にはプラスになっているでしょう。 ですが、それは「団体から与えられた仕事」をこなしたに過ぎません。 大卒総合職は「ビジネスの主体」ですから、「与えられた仕事」の経験はまったく意味を為しません。
会社へのアピールになるとすれば「責任のある活動」です。ですが、新卒で就活をする以上はそのような経験は特に求められていません。 「活動実績」が大事だったら、中途採用をすればいいですよね。
→事務系総合職とは?|仕事のキツさ・将来性・求められる力を解説!
2.会社が評価していないため
会社はボランティアを息抜きとして扱っている!
会社は「ボランティア活動」を評価しません。 それは「ボランティア休暇」という制度にその証拠があります。
会社によっては「CSR(企業の社会的責任)」としてボランティア活動を行っているとアピールする場合があります。 ですが、会社がボランティアをやりたがっているわけではないことを覚えておいてください。 というのも、これは「業務時間内」に行われるのではなく、あえて「休暇」を使うためです。
会社がこれを本当に重要だと思っているなら、休暇ではなく業務の一環として行われるはずです。 休暇ということは給料を支払わないわけですから、会社とボランティアは関係がないと言っている証拠です。
ボランティア休暇は「有給休暇を取りやすくする」「地域社会とのつながりを見出して社員の幸福度を上げる」 という目的でつくられます。会社でボランティア活動が役立つのではなく、 「気分転換にボランティアでもしてこい」といっているわけです。
当然、ボランティア活動は人事査定にも関係がなく、出世や昇給にもつながりません。
そして、CSRとして「ボランティア活動をやっています」とアピールする会社も多いです。 ところがこれは会社が使命感をもってやっているわけではなく、 「CSRってやつが流行っている。なんかボランティアをやればいいらしい。じゃ、ウチもやろう」というノリです。
本来、CSRは「ビジネスを通じて社会的責任を果たす」ところに本質があります。 「この会社は使命感をもってビジネスをしています」と説明するのがCSRなのですが、 「社会的責任」という言葉だけが日本に輸入されて、「社会的?ボランティアのことか!」と勘違いしたまま導入された経緯があります。
「どうやらCSRはボランティアじゃないらしい」と気づいてからも、一度始めた「伝統」はなかなか廃止できるものではありません。 そのまま社員全員参加の強制ボランティアだけが続き、休日がつぶされる一方で人事査定には関係がないのですから、 「スポーツ大会」や「社員旅行」などの「社内イベント」に過ぎません。
3.自己PRのネタにならないため
就活の軸と関わりのない活動は意味なし!
ボランティアが自己PRのネタになるかどうかは、就職活動の軸と関わりがあるかどうかによります。
「就職活動の軸」とは就活用語で「将来の夢」のことですが、これと関わりのある活動なら、自己PRに使えます。 関わりがないのであれば、エントリーシートの説得力が出せないために無意味となります。
「学生時代頑張ったこと」としてボランティアを書く学生は多くいます。 面接でもみんなが口をそろえて「ボランティアを頑張りました」と言います。 ですが、内定式に出てみると、そんな就活生は全員落ちていたものです。
というのも、自己PRは「就職活動の軸」と会社の「経営理念・ビジョン・社風」がいかに一致しているかを説明するときの、 「夢の実現に向けて行った過去の取り組み」を述べるものだからです。 実は、「何をしたか」自体はまったく関係ありません。
それなのに「ビジョン」の話をせず、「ボランティア」の話しかしない就活生は、 何をアピールしたいのか会社にまったく伝わりません。それが全員不合格の真実です。
安心してください。自己PRは「頑張ったことがない」場合でも書けます。 特別な経験は必要ありません。大事なことは、ただ「就職活動の軸」を持つかどうかです。
また、部活・アルバイト・サークルをやっていないことを俗に「ノンバイサー」と表現しますが、 この場合はどうすればよいのか、次の関連記事で解説しています。
「就活のため」のボランティアはやめよう!
就活では「自己PRのため」と迷走する人たちがいます。 ですが、「就活のため」のボランティアには意味がありませんので、やめましょう。この理由は次の2つです。
自己PRは「就職活動の軸」と関係がなければ不合格
就活は、ビジョンの一致をアピールするもの!
採用選考において、会社は学生の「将来性」をみて採否を決めます。 この将来性をどうやって評価するかというと、就職活動の軸とそれに対する取り組み姿勢です。
就職活動の軸は就活用語で「将来の夢」あるいは「真の願望」です。 例えば「交通事故をゼロにしたい」「家から出たくない」「何もしたくない」といった夢や願望です。 これを「この会社のビジネスで夢を実現したい」と熱く語る学生が「将来性が高い」と判定されて合格します。
実はESは、「『将来の夢』実現ストーリー」を書くものなのをご存知でしょうか。 ESはどの会社も以下の三部作構成になっています。
- (過去編):学生時代頑張ったこと:将来の夢に向かって今まで何をしてきたか
- (現在編):長所・短所:将来の夢の実現にあたって現状の自分を把握できているか
- (未来編):なぜこの会社を選んだのか・この会社に入って挑戦したいこと:何をして将来の夢の実現するか
「就職活動の軸」を前提として、「過去編」「現在編」「未来編」の三部作構成でESを書き、 最終的には実現するには貴社のビジネスに携わるしかないという結論に持っていくのです。 このストーリーの作り方は、次の記事で詳しく解説しています。
あなたの「将来の夢」や「真の願望」にかかわる活動ならともかく、 それらと関係のない話を自己PRで話すと、面接官はあなたの将来性を判定できません。 それどころか、「『将来の夢』のために何も頑張っていない人」として、将来性が低いと判定されるでしょう。
そのボランティア活動は、あなたの「将来の夢」を実現する上で必要不可欠な活動でしょうか。 もしそうでないなら、ボランティア活動をしても自己PRには使えません。
ボランティアに限らず、資格の勉強も、アルバイトも、サークルリーダーも同じです。 「就職活動の軸」に関係がなければ、エントリーシートになんの説得力も生まれず、 会社は「将来性の低い学生」と判定せざるを得ません。
「将来の夢のため」にする活動こそ意味があるのであって、「就活のため」にする活動は何の意味も持たず、 それどころか選考で落とされてしまう原因にすらなります。ボランティア活動に手を出す前に、「就職活動の軸」をよく考えておきましょう。
「ボランティアをした」と嘘をつくのはもってのほか
そもそも意味がないので、嘘をつくメリットは皆無!
就活で「ボランティアをした」と嘘をついても、全く有利にならないのでやめましょう。 その理由は次の2つです。
- ボランティア自体がES・面接のネタとして弱いから
- 面接官は嘘を見抜くプロだから
ボランティア経験が就活で有利にならないのは、ここまで解説してきた通りです。 それより問題なのは、面接官は嘘を見抜くプロであり、学生がそれに挑戦するのは無謀にも過ぎるためです。
確かにボランティア経験は証明ができず、嘘をつきやすいからとESに「ボランティア経験」を書いてしまう就活生もいます。 しかし、「活動の中で苦労したこと」「得られたこと・学んだこと」などエピソードを深掘りされるうちに、 嘘を嘘で塗り固めてどこかで必ずボロが出ます。
そもそも「就活の軸」と関連しないネタは役に立たない上に、嘘がバレて落とされるなんて虚しいだけです。
「ボランティア」に限らずESや面接で「嘘をつく」のは決してやってはいけません。
面接官は普段、取引先・株主・大勢の社員と会話をしています。その人数は学生の比ではなく、「嘘をつかれる経験」もたくさんしています。 加えて人事部には「エントリーシートではこう書いていたけど、入社したらウソだと発覚したなあ」という事例が大量に積みあがっています。
就活で話すエピソードは、面接を重ねるごとに「深掘り」されます。 これは「ビジョンに対する本気度」を見る目的でされるのですが、それに答えられなければその時点で不合格です。 「SNSで検索する」「ボランティア団体のサイトを調べる」などは人事も当然にやりますから、無謀な挑戦はやめたほうが良いです。
輝かしいエピソードを語って自分を良く見せたい気持ちは、痛いほどわかります。 ですが、実は「会社が求める新入社員」は「自分が未熟であると認めてこれから頑張る人材」です。
嘘をつきたくなる局面でも、正直に未熟さを認めることのほうが、「将来性」という観点では大いに評価されます。
→【警告】就活は嘘だらけ!~人事の常とう手段・学生のバレる嘘~
自己PRに使えるボランティアの例
ここまで解説した通り、ボランティア活動自体には意味がないのですが、就職活動の軸と関連付けることさえできれば自己PRに使うことが可能です。
例えば「交通事故をゼロにしたい」という軸に対して、「交通事故を減らすためのボランティア」であれば効果的なアピールができるということです。 あなたの志望企業にはどんな社風があるでしょうか。その社風に合ったボランティア活動を自己PRに書くことで、 「就職活動の軸と社風の一致」という説得力ある志望動機につなげることができます。
自己PRに使えるボランティアの例
- 町おこしボランティア:都市開発・不動産・鉄道業界など
- 子ども育成ボランティア:教育・日用品・玩具メーカーなど
- 交通安全ボランティア:自動車メーカー・自動車部品メーカーなど
- 環境保護ボランティア:化学メーカーなど
- 災害救助ボランティア:防災企業・建設業界など
- 国際協力ボランティア:商社・海外展開をしているメーカーなど
自己PRの例文
自己PRに書く際は、必ず「就職活動の軸と社風の一致」という志望動機につながるようにしましょう。 例えば「子どもの通学を見守るボランティア」なら「交通事故をなくしたい」という就職活動の軸と、 「交通事故をなくしたい」という社風のある企業という条件がそろって初めて効果的な自己PRになります。
以下はこの場合の例文です。
私は、想いをカタチに出来る人材です。
その根拠は、「交通事故をなくしたい」という想いを元に、 通学する子どもに「交差点で一時停止する」習慣を身につけてもらうことに成功したことです。
学生時代は「子どもの通学を見守るボランティア活動」に力を入れて取り組みました。 この取り組みの中で、落ち着きのない子どもに交差点で立ち止まってもらう必要性を感じました。 しかし、口頭で注意するだけでは言うことを聞いてもらえません。
そこで、子どもに人気のタレントの振る舞いを研究し、それをアレンジしてポーズをとってみせて、 子どもに真似をしてもらうという対策を講じました。 これが功を奏し、みんなで一時停止を呼びかけ合う習慣を形成することができました。
以上より、私は自身を「想いをカタチに出来る人材」であると自負します。
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志望企業の内定者はどう書いた?内定エントリーシートを見よう!(その1)
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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