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なぜ会社はつまらないのか|ビジョンを持とう

 「会社に行きたくない」「会社がつまらない」「会社がつらい」という悩みを抱える社会人は非常に多いです。 憂鬱な月曜日から始まり、木曜日には「まだもう1日あるのか」とさらに憂鬱になり、金曜日は少しテンションがあがりますが、 土曜日にはもう月曜日のことを考え出して憂鬱になります。

 一方で、「休みが待ち遠しい」といいつつ楽しく働いている社会人も一定数います。 「会社がつまらない」「会社が楽しい」の違いが生まれるのはなぜでしょうか。



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会社がつまらない理由

 やりたいことではないから!

 会社がつまらない理由としてよく「時間に拘束される」「場所に拘束される」「嫌いな人との人間関係を強要される」というものが挙げられます。 しかし、これらは本質的な理由ではありません

 大学などのサークルや部活、友達との飲み会も「時間に拘束」されますし、「場所に拘束」もされます。 さらには「嫌いな人」だっていたはずです。しかし、だからといって「つまらない」とはならなかったはずです。 この3つは会社がつまらない本質的な理由ではないのです。

 ではなぜ会社がつまらないのでしょうか。

 それは、「仕事がやりたいことではないから」です。

 「そんなの当然だ!やりたくないことをやっているから給料がもらえるんだ!」 と仰る人が大半だと思います。ところが、「やりたくないことをする=給料がもらえる」という認識がそもそも誤りです。

 目の前の仕事のことからビジネス全体に視点を移してみましょう。

 例えば「ハイスペックなパソコンを組み立てたい」と思った人が、パーツを買ってパソコンを組み立てるのは「趣味」であり、 秋葉原や日本橋の電気街をめぐって安くて品質のいいパーツを買い集め、 自宅に帰って配線をつなぐのは「楽しい作業」です。

 その経験を元にパソコン雑誌で「イマドキパソコンの優良パーツ集め」という記事を書いたり、 お客さんのためにパソコンを代わりに組み立ててあげるサービスなどは、趣味の延長であり、 パソコンオタクなら楽しく仕事ができるでしょう。

 ところが、「パソコンは使えたらいい」と思っている程度の特にパソコンオタクではない人が、 この仕事をしたらどうなるでしょうか。

 会社に言われた通りに特に興味もないパソコンパーツのお店を巡って値段を調べ、 よくわからない数字の並んだ性能表を見て「これがたぶんいいやつなんだろうな」と記事を書き、 ただお客さんの選んだ部品をつないでパソコンを組み立てるだけの仕事は、「つまらない仕事」でしょう。

 会社で行うビジネスはもっと複雑で、記者が書いた記事を校閲する仕事もあれば、 法務や経理の仕事もあります。まったく興味のないパソコンの記事の誤字や内容の誤りを訂正するのは想像するだけでしんどいですよね。 法務や経理に至っては難しい法律用語や数字が並び、さらに「つまらない」と感じるでしょう。

 このことから、会社がつまらない理由2つ挙げられます。

 

会社のビジネスに興味がない

 会社のビジネスに興味がない

 1つ目は、「会社のビジネスに興味がない」という理由です。 上の例でパソコンに興味がないのにパソコン会社に就職してしまった場合などに当てはまります。

 就活では「年収」や「肩書」が会社選びの大きな要素になりがちです。 これは「家族や友達に認められたい」「モテたい」という「承認欲求」から来るものです。 銀行や商社、マスコミ、自動車メーカーなど、超一流の有名企業に内定をもらえば「自慢」できますよね。

 平均年収1000万円の会社、超有名企業などに就職すればモテますし、家族も安心します。 「さすが〇〇大学に行っただけはあるな!」とみんなに認められ、「すげーー」とほめてもらえます。

 しかし、この「承認欲求」に惑わされた結果「会社がつまらない」という現象を引き起こしてしまいます。

 果たして銀行に就職する人は、本当に銀行のビジネスに興味があって就職するのでしょうか。 私は大半の新卒銀行マンは、銀行のビジネスに興味がないと思います。 商社やマスコミ、一流メーカーなどもそうです。

 「一流大学を出たのでこれくらいの会社に就職しなければならない」とか「年収が1000万円を超えない会社には入らない」とか 「有名企業じゃないといやだ」といった会社選びをしていないでしょうか。

 自分の「興味関心」ではなく「家族や友達に褒めてもらうこと」を重視して就活をすると、 このような失敗をします。

 

目の前の仕事に興味がない

 目の前の仕事に興味がない

 2つ目は、「やりたいビジネス」の会社には就職したものの、「目の前の仕事に興味がない」という理由です。 上の例で言えば「記事の校閲」や法務や経理の仕事などが当てはまります。

 「パソコンがつくりたい!」とパソコン会社に就職したのに、記事の校閲や法務や経理の仕事をするのは、 一見関係がないような気がします。しかし、実はそうではありません。

 この「パソコンをつくりたい!」をもっと掘り下げて考えてみましょう。 パソコンを作れたらなんでもいいというわけではなく、「ゲーマーが喜ぶどんなゲームでも動くパソコン」 「絶対にフリーズしないパソコン」「見た目がオシャレでカフェにもっていきたくなるようなパソコン」など様々あると思います。

 そういう視点で仕事に取り組むと、仕事の見え方が変わってきます。

 記事の校閲では「この文章でこのパーツのすばらしさが本当に伝わるだろうか」 「このパーツの組み合わせではCPUの本領を発揮できないのでは」と考えながら、 「どんなゲームでも動くパソコン」の実現に貢献することができます。

 経理や法務では取引先との力関係がわかったり、「良いパソコン」をつくるのに弊害になっている契約書などが見つかります。 「良いパソコン」をつくるために、部品の調達費をどう捻出するか、契約書をどう修正すればいいかを考えるのは、 楽しい仕事になりえます。

 

大きな視点で仕事をする

 ビジネスで実現できる理想を想像する!

 「会社がつまらない」という問題を解決するには、「大きな視点で仕事をする」ということが重要です。

 ただ「給料をもらうため」「一流企業を名乗るため」に仕事をするのではなく、 「このビジネスで実現したい理想」のために仕事をするのです。

 例えば銀行のビジネスの本質は「みんなの余らせたお金を集めて、ビジネスの成長のために使う」ことです。 「お金さえなんとかなればビジネスを成長させられる!」という会社にお金を貸し出し、ビジネスを支援するのが本質なわけです。

 「ビジネスを成長させたい!」という志を持って銀行で働くのと、 「給料がほしい」という思いで銀行で働くのでは楽しさが雲泥の差です。

 外回りの営業も、「給料のため」にするのではツライ作業でしかありません。 しかし、「ビジネスを成長させたい」という志でする場合は別です。 お客さんのビジネスのことをお客さんと一緒になって本気で考えるのは楽しい仕事のはずです。

 この「銀行のビジネスの本質」に共感できない場合は、銀行に就職するべきではないということです。

 商社のビジネスの本質は「買えないものを買い、売れないものを売れるようにする」ことです。 「欲しいけど問題があって買えない」というお客さんを見つけ、ソリューションを提案するのです。

 例えば「インドで大きな川にかかる橋をかけたいけど、大きな橋をつくれる会社がインドにない」という悩みをインド政府が抱えていたとします。 そこで商社が日本のゼネコンを連れてインドへ行き、「その橋、我々がかけましょう!」と提案します。

 「買えないものを買えるようにしたい」という志で働いている場合は、誰が何を必要としていて、何が原因で諦めているのかを考えるのは楽しいはずです。 一方、「給料のため」に働いている場合は、ただ上司に言われたからインドへ行き、ゼネコンや政府との日程調整に追われるだけの「つまらない仕事」です。

 この「商社のビジネスの本質」に共感できない場合は、商社に就職するべきではないということです。

 以上のように、「会社がつまらないかどうか」は「会社のビジネスの本質に共感できるかどうか」にかかっているのです。

 

会社の人間関係がツライ!

 会社はビジネスに本気な人の味方!

 人間関係は本質的な問題ではないとはいっても、会社がつまらない原因の一つにはなります。 みんなが仲良くできればそれに越したことはありませんし、「嫌いな人がいない環境」が「快適な環境」であることは間違いないからです。

 会社での発言力が高まれば嫌いな人を排除することも可能です。 私のかつての上司にも、平社員時代に何度も上司を変えさせた猛者がいます。 普通は部下のほうが飛ばされますよね。しかし、上司を飛ばすことができる人もいるのです。

 なぜこういうことができたのかというと、その人が上司よりよっぽど会社のビジネスのことを深く考えていたからです。 ビジネスの本質を追及し、「社会にこれをもたらさなければならない」と強い使命感を持っていた人です。 ビジネスとは関係のない小言や嫌がらせをする上司を「ビジネスの邪魔だ」と役員に直訴したのです。

 そこまでやらないとしても、会社の役員は「ビジネスに本気になっている人」の味方です。

 私も年上の同僚に気に入らない人物がいて、様々な嫌がらせも受けましたが、 仕事は自分のほうができる自信がありましたし、実際に数字もその人以上に出していましたので、 その人のビジネスに関係のない話は無視するようにしてみました。

 するとどうでしょうか。上司たちは私の味方になってくれたのです。

 会社はビジネスの場です。ビジネスに本気な人ほど強く、優遇される場所なのです。 ですから、志を持って仕事に取り組むことが一番の解決策であり、 そもそも会社選びの時点で志を持って働けそうかどうかという視点が重要になってくるのです。

 

就活と将来の夢

 MY就活ネットでは「将来の夢」を最優先に就活することをおすすめしています。 そもそもエントリーシートの設問が「『将来の夢』実現ストーリー」を問うているという理由もありますが、 「就職後の幸福度のため」という理由があります。

 「実現したい理想」があり、それのために働くのが一番楽しく、人生の充実度を高めます。 さて、どんな夢があるでしょうか。

  • 社会貢献したい
  • 地域に貢献したい
  • 世界に貢献したい
  • 世界を豊かにしたい
  • 良いものを世の中に広めたい
  • 人の笑顔を見たい
  • 人の役に立ちたい
  • お金持ちになりたい
  • 良い車に乗りたい
  • ある趣味をずっと続けたい
  • これがしたい
  • あれがほしい
  • 良いものを食べたい
  • 良い家に住みたい
  • 目立ちたい
  • 友達を増やしたい

 これ以外にもいろんな「夢」があると思います。 その「夢」を「仕事」と切り離さず、「仕事を通じて実現する」と考えてみてください。

 よく訓練された昭和の社畜は「仕事と遊びは違う」と言います。「嫌なことをガマンしてやるから給料がもらえる」 などと言います。しかし、人生の大半を「嫌なこと」に費やすなんてまっぴらごめんです。 いくら給料が高くても、「つまらないこと」に40年も捧げるのはもはや無意味とも言えます。

 そんな役に立たない根性論は捨ててしまって、「自分のやりたいこと」にフォーカスしてみましょう。

 また、夢を基準に就活をするといっても、安易に「ベンチャー企業に行け!」というわけではありません。 大企業でも志を持って就活すれば面接官に伝わりますし、楽しく仕事ができることには変わりないからです。

 MY就活ネットの「推し企業」であるスバルを例にとってみます。 (→SUBARUの就職難易度|志望動機や選考情報!

 スバルは戦前の「中島飛行機」をルーツにもつ航空機部品と自動車のメーカーで、売上高は3兆円を超える文句なしの老舗の大企業です。 MY就活ネットがスバルを推す理由は、その「ビジネスのビジョン」にあります。

 スバルは日本では軽自動車のイメージが強いと思います。しかし近年、スバルは「実現したい理想」を掲げ、 それに合った製品を開発して売り上げを伸ばしています。

 その製品は「アイサイト」です。

 自動運転の先駆けのような製品で、前を走るクルマと適切な車間距離を保ちながら自動でついていく機能や、 車線からはみ出さないようにする機能、アクセルとブレーキを踏み間違えても急発進しない機能など、 「ぶつからない」ことに優れた製品です。

 これは単に「売れるだろう」と開発したのではなく、「交通事故をゼロにしたい」という明確な理想を掲げているところがポイントです。

 スバルに続いてホンダや日産もアイサイトのような機能を開発していますし、トヨタも開発する意思を表明しています。 しかし、これらの企業とスバルが異なる点は、この「交通事故をゼロにしたい」という強い志です。

 全社で「交通事故ゼロ」を目指して交通事故を研究し、「こんな機能があればこんな事故は起こらない」 と日々議論して、それを実現したのが「アイサイト」なのです。

 もしスバルの「交通事故ゼロ」に共感したら、ぜひスバルの会社説明会に行くべきでしょう。 「一つの理想」という全社に共通する価値を追い求めて仕事をするのは絶対に楽しいはずです。

 このように、会社の掲げる「理想」と自分の「将来の夢」がどれくらい一致しているかで会社を選ぶのが、 MY就活ネットのおすすめの会社探しです。

 

それでも平均年収の高い会社にひかれてしまう

 実は給料の高低はあまり関係がない

 就活と切っても切り離せないのが「年収」です。人間である以上、お金がないと生活ができません。 お金がもらえるなら、たくさんもらえるほうがいいのは当然です。 それでもMY就活ネットは「将来の夢」を優先させることをおすすめします

 なぜなら、「年収」や「肩書」に惑わされて就職して、うつ病になったり退職してしまった人をたくさん知っているからです。 私は旧帝大の出ですので、友達には官僚になった人も、商社に行った人も、銀行に行った人もいます。 ですが、その人たちが幸せかどうかは、人によります。

 一般的に公務員や大企業に就職すれば将来は安泰で、幸せな人生を送ることができると信じられています。 ところが、実際には病気になったり退職したりする人がごろごろいるのです。 彼らが口をそろえて言う言葉はこれです。

 「給料は下がってもいいから転職したい

 就活をしているときは家族や友達に自慢するため、「平均年収」や「会社名」にこだわります。 平均年収が10万円でも高い会社、財閥の名前がついた会社を選びがちです。 しかし、そんな選び方をした人たちに限って入社1年くらいですでに「転職したい」と思っているのです。

 これにはその志が大きく関係しています。

 官僚は朝から晩までどころか、二徹・三徹も珍しくない激務な職場です。 その割に給料はそれほど高いわけではなく、残業代も部署によっては全く出ません。 そもそも労働基準法が適用されないので、やりたい放題というわけです。

 24時間いつでも呼び出されるような生活で、過労で病んでしまった友達もいます。 一方で楽しく働いている友達はもともと政治の話が大好きで、「政治家になってやる!」とか、 「国のことは俺に任せろ!」と普段から言っていたような人です。

 そんな彼らは何日徹夜しようとも、土日がなくとも、ケロリとしています。

 会社でも同じことです。そのビジネスに興味のない人が就職してしまってから、 ようやく「お金」より大切なものを見つけるのです。それが「志」です。

 ここでお金の話に戻りますが、実は、年収が500万円でも800万円でも生活に大して変わりはありません。 「税金や年金が増えるからでしょ?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。

 私は会社で500万円程度の年収でしたが、不動産などの副業を始めて300万円を余分に稼ぎました。 しかし、それで生活が大きく変わったわけではありません。 ちょっと都心に引っ越しした、ちょっと外食が増えた、グリーン車に乗るようになったくらいのものです。

 たしかに銀行口座の残高は増えていきますが、年収が500万円から800万円になったからといって、 高層マンションに移り住んだりベンツを乗り回したりするわけではありません。 あと数年働けばベンツくらい買えるかもしれません。しかし、もともとクルマに興味がないのです。

 500万円と800万円でも変わらないのに、700万円と800万円ではもっと変わらないというわけです。

 預金残高を増やすために「つまらない会社」に居続けるか、それとも志を持って「楽しく仕事」ができる会社に行くか

 明らかに後者のほうが人生の幸福度は高いはずです。

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志望企業の内定者はどう書いた?内定エントリーシートを見よう!(その1)

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著者:村田 泰基(むらた やすき)
 合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。 その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。 →Xのアカウントページ