【就活】内定が出るまでの仕組み|人事は何を考えているの?
就活にあたって「人事が何を考えているのか」「どういう段階を踏んで内定が出るのか」が気になると思います。 そこで、人事部での勤務経験のある私が「採用活動はどのように進むのか」を解説したいと思います。
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【人事】採用方針を決める
人事部ではまず、採用方針を決めます。
「どの部署に何人の新人が必要か」ということを各部署の部長・本部長と相談して、 また「人件費」を考慮して役員会議に提出します。
ここではどんな人物がいいかは決めません。 というのも、会社が必要としている人材は最初から決まっているからです。
それは、「会社と志を同じくした元気で明るい学生」です。
「志」とは「ビジョン」であり、会社で言う「経営理念」に相当するものです。 前提として、学生の「ビジョン」と会社の「経営理念」が一致していることが最重要です。 これについては次のページで詳しく解説しています。
これを受けて人事部内ではどんな取り組みを持って優秀な人材を集めるかを議論します。
もしやる気のない新人や、すぐ辞めてしまう新人を採用してしまっては、各部署に迷惑をかけます。 逆に言えば、活力にあふれて将来性のある新人を採用できれば、 人事部としては鼻が高いですし、各部署から褒められることで評価も上がります。
そういうわけで、上記のような「ビジョン」を大切にして採用活動を行うわけです。
【人事】学生と接触を図る
人事部としては、「採用方針」で定められた人数をなんとしてでも確保しなければなりません。
そのためには、できるだけ多くの学生に応募してもらうことが必要です。 応募が少なければ学生を選ぶ余地がなく、また途中で辞退されてしまうと計画通りにいかなくなるからです。
そこで、以下のような取り組みを行います。
- 大学に求人票を送る
- インターンシップを開催する
- 合同説明会に出展する
- 単独説明会を開く
- テレビやネットに広告を出稿する
- 大学や高専の研究室を訪問する(理系)
ここには「知名度」という壁があります。 消費者向けのBtoC企業であれば就活生への知名度も高いため、勝手に学生が集まってきます。 ですが、法人向けのBtoB企業はビジネス界では有名でも、就活生への知名度はまるでありません。
つまり、BtoB企業では「学生が来てくれるだけでうれしい」という本音があります。 そして「来てくれたからには志望度を高めたい」と思っています。
→「BtoC」より「BtoB」がオススメ!それぞれのメリット
【就活生】インターンシップに参加する
就活は、大学3年生の6月に始まる「インターンシップの応募」からスタートします。
「とりあえず」くらいの感覚で始めてしまいがちですが、 この時点ではまだBtoB企業はほとんど知らない状態ですよね。 つまり、消費者に有名なBtoC企業に殺到するという現象が発生します。
この間、BtoB企業にとってはどうしようもありません。 就活が本格化する前ですから、知名度がない以上は応募してもらえないのです。
逆に言えば、BtoB企業を先に調べて応募したあなたは、人事にとって輝いて見えるというわけです。
このインターンシップでは職業体験として、実際に職場に出勤してみて「志望度を高めてほしい」という狙いがあります。 学生側にとっても入社する前に「お試し入社」ができる上に、そのビジネスが面白ければ、 後に提出するエントリーシートの志望動機にネタとして使えるわけです。
もっと言えば、人事はあなたを囲い込みたがります(もちろんインターン中に頑張ることが前提ですが)。 志望度の高い企業ほどインターンシップに参加して自身の存在をアピールすることで、 有利な選考ルートを用意してもらえ、早期内定が実現するのです。
インターンってお金はかからないの?
インターンシップは「無報酬」が基本です。 出勤してみるとはいっても、お客さんに関わる実際の仕事をするわけではなく、 社内で完結する「新人の仕事」や、インターン用に用意された「模擬仕事」をするからです。
ですが、人事としては来てくれるだけでうれしい状況ですから、 「お金」のせいで応募を断念されるのはなんとしても防止したいところです。 そこで、交通費や宿泊費は会社負担になっている場合が多いです。
よく「遠方の会社だから応募しない」「宿泊費のかからない近い学生のほうが受け入れやすいだろう」という人がいますが、 インターンシップの宿泊費など、営業マンの出張費に比べたら誤差レベルです。
会社に気を遣う必要はありません。むしろ遠方から来てくれる学生ほど、本気度を感じます。 興味のある会社にはどんどん応募しましょう。
また、最近では「就活生獲得競争」が激化して「報酬」を用意している会社も増えてきています。 うまくやれば夏の間にひと稼ぎできるでしょう。
「選考とは関係ない」はタテマエ
インターンシップに応募しようとすると、「選考とは関係ありません」と前置きされます。 しかし、これはルール破りを堂々と宣言しないためのタテマエであることを覚えておいてください。
というのも採用活動には”一応”、時期を定めるルールがあるからです。
- 広報活動開始 :卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
- 採用選考活動開始:卒業・修了年度の6月1日以降
- 正式な内定日 :卒業・修了年度の10月1日以降
※参照:「就職・採用活動に関する要請|内閣官房)
経団連がルールを廃止した後、政府がルールを引き継いでいます。 しかし、これを守っている会社はほとんどありません。 経団連が廃止したのは、守っている会社が少なすぎるからです。
とはいえ、仮にも政府方針でルールが決められているのに、堂々と「選考します!」なんて言えません。 そこで一応「選考とは関係ありません」と前置きするのです。
実際には裏で評価シートを書いていますので、毎日が面接だと思って参加しましょう。
【就活生】会社説明会に参加する
インターンシップと異なり、会社説明会は選考の場ではありません。 自社ビジネスを紹介し、「面白い」と興味を持ってくれる学生を増やすためのものです。
一方で人事は「説明を聞かずに応募できるわけがない」と考えている節もありますので、 会社説明会に参加していないと選考に応募すらできない会社も多いです。 志望度が高い会社であれば、必ず参加しておきましょう。
こちらはルール上の就活解禁日である「4年生になる直前の3月1日」から予約が可能になります。
一方で、インターンシップに参加した学生には、 1月や2月など「解禁日前」に特別の説明会が行われることもあります。
メモを取って志望動機のネタにしよう
社会人は「話を聞いてもらえる」ことを非常に喜びます。 みなさんはゼミなどで質問が出ると困るかもしれません。しかし、就職すると逆になります。
人事部の採用担当者としても質問が出ると「話を聞いてもらえている」とうれしくなりますし、 メモを取る学生は輝いて見えます。
そういうヨコシマな理由はさておき、メモを取っておくと志望動機のネタ作りに役立ちます。 説明会で聞いた内容をエントリーシートに盛り込めば、採用担当者は「話を聞いてくれていたんだな」と好印象を持ちます。
また、説明会で話した内容である限り、非の打ちどころがありません。 書類選考の通過率さえアップするというわけです。
【就活生】書類選考を受ける
ここからが就活生にとって重要な局面です。 エントリーシートと呼ばれる「履歴書」の就活版を提出し、 筆記試験をインターネット上で受験するWEBテストをもって書類選考が開始されます。
エントリーシートとは、「履歴書」とは異なり、過去に加えて現在と未来まで問われます。 まだビジネスの経験がありませんから、過去だけ聞いても仕方がないのです。 「将来性のある新人」を採用したいわけですから、未来のことまで聞くのです。
【人事】採用方針を決めるの項目でも解説しましたが、 自身の「ビジョン」と会社の「経営理念」が一致していることが重要です。
エントリーシートでは「ビジョンを実現するために貴社のビジネスに携わらなければならない」という、 ビジョン実現ストーリーを書きます。
これができていないと書類選考には受かりません。 仮に運よく通過することができても、面接で落とされることになるでしょう。
学歴で当落を決めるのでは?
確かに採用選考において、学歴がまったく作用しないわけではありません。 私のいた会社でも「追加募集」をする際に、国立大学の学生にだけ声をかけるということがありました。
ですが、それは「追加募集」のように限られた人数だけの場合に限られます。
というのも、BtoB企業には選り好みできるほど応募者がいないからです。
逆にBtoC企業では「高学歴」でも落ちることが多々あります。 私は大阪大学出身ですが、旧帝大でも有名企業はボロボロ落ちました。 有名なだけに応募者が多い会社では、TOEICスコアや留学経験など華々しい実績を持つ応募者もいます。
しかし、BtoB企業であればライバルが少ないために、早く応募すれば有利に選考を受けられると言えます。
WEBテストって難しい?
WEBテストの難易度は、中学数学レベルからセンター試験の数I・Aレベルまでです。 受験勉強をやり直す必要まではありません。ただセンター試験の経験がない人は、 「SPI」と書かれた対策本を購入するのがよいでしょう。
WEBテストの受験で気を付けたいのは、時間が足りないということです。
これは「初めは簡単な問題」からスタートし、ポンポンと正解を続けていくとだんだん難易度が上がってくるという、 WEBテストの仕組みのためです。
難易度や問題数は「正解の数」「回答の速度」に応じて変化します。 一方で制限時間は変わらないため、どんどん難易度が上がって時間が足りなくなっていくのです。
センター数学並みの回答速度を思い出してください。 制限時間に慣れるまでちょっと時間がかかったと思います。
そこで、志望度の低い企業のWEBテストを踏み台にして練習することをおすすめします。 本命の企業でいきなり受験してしまうと、時間が足りなくて大失敗することがあります。
【就活生】面接を受ける
ここまで来ると、あとは「いかにビジョンを熱く語れるか」と「運」です。
「ビジョン」は先ほど述べた通り、エントリーシートがしっかり書けていれば、 それを踏襲して話すことで伝わります。 このとき書いた内容を忘れていては困りますので、コピーを必ず取っておいて復習するようにしましょう。
そしてもう1つは「運」です。 どうしても気が合わない人物はいると思います。 面接官は採用担当者だけでなく、実際に各部署で働いている社員も出てきます。
どうしても気が合わない人物とあたってしまい、落とされてしまうことだってあるのです。
私の先輩で官僚になり、霞が関で出世頭をしている人がいます。 しかし、その人も面接のときには支持派とアンチがいて、 最後の最後まで当落が決まらなかったそうです。
今では同期を部下に従えるほどに出世している彼ですら、面接のときはアンチがいたわけです。 もし落とされたとしても、それはあなたの実力のせいではありません。
面接は2~3回行われ、平社員→課長→部長という順番で面接官はだんだんエライ人になっていきます。 最終的に役員クラスの面接に合格すれば、晴れて内定です。
最後に
採用選考では、あなたは将来の新入社員として見極められることになります。 「良い新人」であることをアピールしたいところですが、何が「良い新人」なのかわからないと思います。 そこで、企業向けに研修サービスを行っている会社がまとめた「悪い新人」の例を参考にしてみましょう。
- 他責傾向がある
- 一般常識がない
- 周りと関係性を構築できない
- 仕事の覚えが悪い
- 指示待ちで、自分で考えて動けない
- 報連相ができない
- 何度も同じミスをする
- 自身の役割・目標を理解していない
- すぐに落ち込む
- 不平不満ばかりを言う
これらを就活時点での注意点としてまとめると、「人のせいにしない」「周囲の学生や社員と積極的に関わる」「自分の意志で取り組んだことを自己PRに使う」 「間違いやわからないことは素直に言う」ということが「良い新人」になります。 ES・面接ではこのようなことを意識していくと、高評価が得られるでしょう。
参考:人と組織の課題解決に本当に役立つ情報を発信するコラム|アーティエンス株式会社
以上、内定に関する仕組みを解説してきましたが、 これに従っても「内定がもらえる気がしない」と不安が払しょくできないかもしれません。 そこで、次の記事で私や友人が「あっさり内定」を取れた具体的な方法を解説しています。ぜひ参考にしてください。
11月の今から最短で内定をもらうには?
志望企業の内定者はどう書いた?内定エントリーシートを見よう!(その1)
模範解答があれば憂いなし!
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もしこのまま提出して、果たして大丈夫でしょうか。
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
→Xのアカウントページ
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