【就活】総合商社への就職|8社の業界研究・志望動機・平均年収
総合商社への就職に役立つ就職難易度や選考・面接対策、エントリーシート・志望動機の書き方の他、強みや年収・ランキングなどを解説しています。 総合商社の仕事は「買えないものを買う」ことと「売れないものを売る」ことに本質があり、それに関連して事業投資・事業経営などを行います。
目次
おすすめ・人気記事
総合商社とは?
買えないものを買い、売れないものを売る業界!
総合商社とは、多岐にわたる事業分野で商品やサービスを取り扱う大規模な企業を指します。 特定の製品やサービスに限定されず、幅広い業種にわたってビジネスを展開しているのが特徴です。 総合商社の事業には、次のようなものがあります。
- トレード業務:資源(鉄鉱石・石油など)、製品(自動車・産業機械など)、食料品、エネルギーなどの売買代行
- 付随するサービス:物流、トレードに伴う保険など
- 海外業務:世界中に支店や子会社を持ち、国際的な貿易を行う
- コンサルティング業務:トレードのみならず資金調達・物流経路・ビジネスマッチングなどビジネス全般のサポート
総合商社には次の8社があります。
会社名 | 売上高 | 平均年収 | 備考 |
---|---|---|---|
三菱商事 | 21.5兆円 | 1939万円 | 五大商社1位 |
三井物産 | 14.3兆円 | 1783万円 | 五大商社2位 |
伊藤忠商事 | 13.4兆円 | 1730万円 | 五大商社3位 |
豊田通商 | 9.8兆円 | 1180万円 | トヨタ自動車系 |
丸紅 | 9.1兆円 | 1594万円 | 五大商社5位 |
住友商事 | 6.8兆円 | 1606万円 | 五大商社4位 |
双日 | 2.4兆円 | 1208万円 | 旧鈴木商店・旧岩井商店 |
兼松 | 9114億円 | 1204万円 |
※企業名をタップするとMY就活ネット独自の企業研究記事に遷移します。
総合商社の役割
商社の本業、トレード業務!
総合商社の役割は、「買えないものを買うこと」と「売れないものを売ること」です。
例えばガソリンスタンドを経営していて、ガソリンを注文したいと思ったとき、 アラブの石油精製会社を訪ねて買いに行くわけにはいきません。 少なくとも「外国語」と「運搬用の船舶」が必要になりますよね。
仮にそれらを用意して石油精製会社を訪ねても、発注ロットが小さいために相手にしてもらえません。 たった48キロリットルのために大人数が働く工場を動かすことはできないのです。 つまり、ガソリンは買いたくても買えないものということになります。
そこに総合商社が登場します。
同じく「ガソリンがほしい人」をかき集めて巨大ロットの注文を作り出します。 すると石油精製会社は仕事し甲斐があるため、注文に応じてくれます。 それどころかあまりに巨大ロットなので割引販売もしてくれます。
加えて輸送ルートの手配、運搬中に事故が発生した場合の保険、代金を立て替えて後払いにしてくれるなど、 様々な「買いやすい工夫」を加えてくれます。これでガソリンスタンドは買えないものを買えるようになるというわけです。 これをメーカーの立場で考えると「売れないものが売れるようになる」ことになります。
このように「巨大ロットの注文を作り出す」「売買で不安なこと・難しいことを代行する」のが総合商社のビジネスです。
また、次の関連記事では「商社と転売屋の違い」について解説しています。この点があいまいな場合はぜひ参考にしてください。
事業投資から事業経営へ
子会社をたくさん持っている!
総合商社のもう1つの役割が、事業投資です。
主に鉄鉱石や石油などの原料の分野で、調達先を確保するという目的で現地企業に出資をしてきました。 上記ガソリンの例では、「石油採掘業者」「石油精製会社」などの株式を購入することで、 安定的に取引ができる関係性を築いてきたのです。
これが発展し、「調達」だけでなく「販売」でも事業投資を行います(川下ビジネスの展開)。 コンビニエンスストアの「ローソン(三菱商事)」や「ファミリーマート(伊藤忠商事)」が有名ですが、 様々な事業に出資してきました。
近年ではこれがさらに発展し、出資先に経営者を送る(人的資源の投入)、ビジネスノウハウを伝授する、 M&Aによって事業再編をするなど投資先の経営に関与するようになりました。 このようにして、現在は事業投資から事業経営への変革の最中です。
参照:三菱商事、事業投資から事業経営に舵を切る|日経ビジネス
総合商社に就職すると、「トレード業務」の他に「出資先の経営」「社内起業による経営」など、 経営者としての出向という仕事もあるということです。
総合商社の将来性
ビジネスの裾野は拡大中!
総合商社の将来性は高いです。
現在、総合商社は大幅な円安を背景に未曽有の好景気を迎えており、各社が大幅な増益を発表しています。 しかし、経営陣はこれを手放しで歓迎はしておらず、「国力の低下」を危惧しています。 では将来性はどこにあるのでしょうか。
参照:大手商社の決算出揃う 業績好調も記録的円安にトップから懸念の声相次ぐ|TBSニュース
それはやはり、事業投資から事業経営への変革、そして川下ビジネスの展開です。 すでに数多くのスタートアップに「資金面・人的資源・ビジネスノウハウ」などの面で協業体制を敷き、 またコンビニの株式持ち分比率を引き上げるなど事業の幅を広げ続けています。
参照:総合商社出身者がテック系スタートアップで働く意義・ポテンシャル・キャリアプランとは|経済産業省
このような「事業経営」については、もともと海外企業に投資をしてきたことから「目利き力」があること、 「川下ビジネス」については、トレード業務で様々な企業を取引を行って培った「ビジネスノウハウ」があり、 総合商社の得意分野だと言うことができます。
以上より、総合商社の将来性は高いと判断します。
総合商社は激務
総合商社は、激務!
総合商社は激務です。しかし、それは残業時間という意味ではありません。
例えば伊藤忠商事では、朝型勤務を導入して夜20時以降の残業を原則禁止としました。 代わりに早朝5時~8時に残業をするのですが、終わりなく働き続けるということはありません。 同社ではこの結果、生産性が5倍以上に向上したと発表しています。
参照:朝型勤務|伊藤忠商事
このように働き方改革にも取り組む総合商社ですが、激務というのはその仕事の濃密さです。 総合商社の仕事ぶりをよく表す画像が「いらすとや」にありましたので、掲載します。
出典:いらすとや
書類の山に埋もれて電話をしながらパソコンで何か入力している女性のイラストですが、 総合商社の働き方はこれです。
私も仕事上、総合商社の女性からの電話を受けたことがあるのですが、 電話をしながらパソコンに何か入力しているのです。 おそらく会話記録をつけているのだと思いますが、そんな器用なこと私にはできません。
総合商社はモノをつくるわけではなく、社員の行動1つ1つが収入源です。 働けば働くほど儲かり、その対価も高い年収としてしっかり社員に還元されます。 それゆえ、仕事に際限がないという特徴があるのです。
短時間で大量の仕事を同時進行でこなす「マルチタスク」型の人でないと、総合商社では務まらないかと思います。 残業規制で労働時間が短くなると、単位時間当たりの仕事量は激増します。
また唐突な転勤辞令が出ることも多く、買収した会社に出向したり、海外赴任したりと、 世界中どこでも短期間で飛び回ることになります。 肉体的にも精神的にもタフな自信がなければ、やめておいたほうがよい業界でしょう。
総合商社の年収
20代で1000万、30代で2000万が狙える!
総合商社の年収は1400~1600万円にものぼり、非常に高いです。
海外赴任した場合や、地方へ転勤した場合、「地域手当」や「海外赴任手当」が給付されるのが通常です。 特に中東やアフリカなど、危険地域への転勤の場合は手当が跳ね上がります。 このような転勤をすると30代で年収2000万円を超えます。
商社の高い年収の秘密は、昇給スピードの速さがあります。初任給は30万円程度ですが、 数年在籍すると2万円~5万円というスピードで昇給していくのです。普通のメーカーでは考えられない昇給額です。 さらに主任、係長などの役職がつくと役職手当がつき、昇給に加えて給料が上がっていきます。
財閥系総合商社の場合、20代で1000万円は到達します。
商社のボーナス
高い年収は、業績連動ボーナスが理由!
商社のボーナスは業績連動といって、利益が多ければその分ボーナスに上乗せ支給される仕組みになっています。 つまり業績が悪化するとボーナスも減るのですが、現在は大幅な円安で未曽有の好景気です。 中堅社員、つまり管理職級になるとボーナスだけで年間1000万円を超えます。
またベースアップも実施されており、業績連動分のボーナスがなかったとしても、平均年収1600万円に底上げされ、 すでに総合職の7割が年収2000万円を超えたというニュースがあります。
- 三菱商事の賞与はメーカーなど一般企業の年収に匹敵する
- 実際、三菱商事は2023年3月期の連結決算で初の1兆円超えをマーク。業績連動分が賞与で上乗せされた結果、中堅社員以上では年間の賞与額が1000万円を超えたという。
- 商事はベア6.5%&「利益ゼロでも年収1600万円」に底上げ
総合商社への就職
総合商社への就職について解説します。 インターンシップや選考に乗り遅れないよう注意しましょう。また、「就活のやり方」の全般的な解説は、次の関連記事を参照してください。
就職難易度
就職難易度は、非常に高い!
総合商社の就職難易度は、非常に高いです。 総合商社の就活は文系・理系問わず大変人気があり、ライバルとなる就活生が非常に多いです。 その分、いわゆる高学歴でハイスペックな就活生でないと受からないと言われます。
就職には高い学歴が求められ、総合職では東京大学や京都大学などの旧帝大卒の学生が多く、 こういった大学群の学生ですらインターンシップやリクルーター面接で活躍しなければ、 なかなか選考本番にも進むことができません。
総合商社ではインターンシップが行われており、大学3年生の6月に募集・応募、7月に面接、夏休みにインターンシップが開催されます。 どの会社でも言えることですが、インターンシップそれ自体が選考です。 ここでコミュニケーション能力や思考力、熱意などを存分に発揮することで加点がつき、後々の選考を有利に進めることができます。
総合商社に必要なTOEICスコアは明示されていませんが、730点ほしいところです。 かなりグローバルな企業であり、仕事上で英語は必須になってくるためです。
ただし、スコアが絶対かというと、そうではありません。 というのも英語はいずれ身につくものであり、現時点でペラペラに話せる必要はなく、入社後でも鍛えられるためです。 一方で英語への意欲は示さなければなりませんので、少なくとも受験してESにスコアを書くくらいはしましょう。
選考と対策
バイタリティをアピールしていこう!
総合商社の選考では、丸紅と双日がリクルーター面接を実施しています。 丸紅の場合は「OB訪問の結果有望だと判断された学生」が呼ばれ、 双日の場合は「インターンシップで活躍した学生」が呼ばれます。
呼ばれる条件を満たすことはもちろん、それまでにエントリーシートの完成度を高めて、 ストーリーを練り直しておく必要もあります。
一方で、三菱商事、住友商事、三井物産など他の会社は、リクルーター面接を行っていません。 むしろ就活生のほうから積極的にOB訪問を申し込むことが必要です。 飛び込み営業ではありませんが、商社で働く以上、物怖じせず積極的に働きかける姿勢が必要です。
商社は体育会系の会社で、体育会系でもやっていけるような人物でないと厳しい業界です。 加えて留学経験や起業経験のある学生も多く、とにかく行動力がある人こそ有利です。 「退勤後に横浜へ行って朝からサーフィンをして出勤する」というようなバイタリティをアピールしていきましょう。
ただし、必ずしも体育会系でないと受からないということはありませんし、 留学経験や起業経験が必要ということもありません。 「就職活動の軸」と「経営理念」の一致をアピールしていけば、合格の目はあります。
「なぜ商社なのか」は面接で必ず問われますので、準備が必要です。 採用ページのプロジェクトや社員紹介などを熟読し、 会社には何を目指す社風があるのかをじっくり研究し、志望動機に絡めていきましょう。
総合商社の志望動機
ビジョンの一致をアピールしよう!
総合商社の志望動機の書き方は、会社の「経営理念・ビジョン・社風」と自分の「就職活動の軸」の一致をアピールし、 「将来の夢を実現するために、貴社のビジネスに携わらなければならない」と結論付けることです。 以下のような「社風」を志望動機に組み込みましょう。
- 日本の高い技術力を駆使したインフラ開発を推進すること
- 人を繋ぎ、世界を豊かにする仕組みを提供
- 日本を背負って、海外を相手にビジネスすること
- スケールの大きい仕事
- 世界を常に感じながら仕事に取り組める環境
- グローバルな舞台で仕事ができること
- 海外で外国人と共に何か価値を作り上げること
- 総合商社において消費者が必要としている生活用品を提供すること
- 川上と川下をつないでビジネスの可能性を創造すること
- 勢いがある会社で働くこと
- 発展途上国に豊かさと幸せを持ち込みたい
商社のビジネスの特徴は、売れないものを売り、買えないものを買うというものでした。 商社は国内にとどまらず世界を股にかけ、世界を相手に商売をしています。 おそらく商社ほど海外と関わるビジネスは他にないでしょう。
というのも、日本には資源がなく、どうしてもそれをどこかの国から買い付けなければならず、 また日本の中小企業のモノづくりを海外に輸出する際にも、商社が一役買っているからです。 売り手と買い手をつなぐことこそ商社の使命であり、海外事業が前提となります。
志望動機では同業他社との比較検討が欠かせません。一般的には会社の強みで比較したくなるものです。 ですが、「事業ごとの売上高」や「事業内容」「海外売上比率」などで比較するのは得策ではありません。 というのも、同業他社はどこも同じ事業をやっていて、就活生の視点で比較するのは至難を極めるためです。
最適なのは「経営理念・ビジョン・社風」と「就職活動の軸」の一致具合をアピールする方法です。 経営理念や社風といったものはその会社に唯一無二のものであり、 会社の持つ「夢」とあなたの持つ「夢」が一致しているほど、志望動機として説得力のあるものは他にありません。
先にも少し触れましたが、エントリーシートは「将来の夢を実現するために、貴社のビジネスに携わらなければならない」 と述べる「『将来の夢』実現ストーリー」になるように構成されています。 このように、志望動機に書くことは最初から決まっているのです。
「就職活動の軸」が海外に関連するものであれば、「海外展開に積極的な社風」、 環境に関連するものであれば「環境問題に積極的」というように、会社の性格で一致したものを書きましょう。
ですから、ここにある志望動機もほんの一例にすぎません。 あなたの将来の夢と、会社の企業理念・ビジネスの目的を結びつけて考えて、志望動機をつくるのです。
そのためにはまず、自己分析をして、就職活動の軸を導き出さなければなりません。
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専門商社も見よう
トレードに強い専門商社も併願しよう!
総合商社とは別に、専門商社という業界もあります。
専門商社はその名の通り、特定の製品群に特化した商社で、 例えば「鉄鋼専門商社」「医薬品専門商社」「食品専門商社」と種類はたくさんあります。
総合商社と違って知名度が低く、就活では穴場になります。 それでいて総合商社よりその分野に深く精通しているため、十分な利益がとれており、 高い待遇が見込めます。
就活で商社を目指す場合は、ぜひ専門商社も見ておきましょう。
MY就活ネットでは、この他にも多数の業界研究記事を用意しています。 優良企業の見落としを防ぐため、さまざまな業界を調べてみましょう。
11月の今から最短で内定をもらうには?
志望企業の内定者はどう書いた?内定エントリーシートを見よう!(その1)
模範解答があれば憂いなし!
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自分にぴったりのインターンシップを見つけよう
インターンから内定まで口コミが満載!
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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