昇給とベースアップ|どれくらい昇給するものなの?
「会社員の給料の上がり方がわからない」という方のために、昇給(昇格・昇進・ベースアップ)の違いや、 年収がどれくらい上がるのか、また求人票の「月あたり」とはどういう意味なのかなどを詳しく解説します。
目次
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昇給とは
昇給とは、給料が上がることを言いますが、これには次の3種類があります。
- 昇格
- 昇進
- ベースアップ
会社員の給料の上がり方
会社員の給料の上がり方は、主に昇格と昇進の組み合わせです。 以下の賃金表の例をご覧ください。
会社員は毎年の定期昇給で「昇格」が実施され、入社5年目・10年目などの節目で「昇進」が実施されます。 「昇進」では昇格による昇給スピードが上がるため、このタイミングで給料の伸び率が上がっていきます。
1.昇格
昇給表をタテに移動する!
昇格とは、人事考課によって社員1人1人につけられている等級が上がることを指します。 別名で定期昇給と呼ばれ、定期昇給が実施される企業では最低でも1号俸の昇給が実現します。
例えば上記の賃金表では、新入社員の初任給が20万円で、人事考課の結果により6号俸の昇格が行われた場合、 昇格(定期昇給)で6,000円の昇給があったと表現します。
定期昇給は年に1回行われるのが一般的で、企業によりますが5,000円~10,000円程度、基本給が上昇します。 毎年の上司の評価により、何号俸上がるかは人によって異なります。
2.昇進
昇給表をヨコに移動する!
昇進とは、人事考課によって社員の役付・役職が上がることを指します。 例えば「新入社員が一人前の課員になる」「課員が主任に上がる」「主任が課長補佐に上がる」といった場合を意味し、 同時に昇給ペースの速い賃金表に移ります。
例えば上記の賃金表では、C級では「1号俸あたり1,000円」の昇給だったのが、B級に移ることで「1号俸あたり2,000円」の昇給にアップしています。 この場合「主任」や「課長補佐」といった役付が行われることが多く、「主任に上がった」「課長補佐に上がった」と表現します。
昇進はおよそ5年単位で行われるのが一般的で、毎年の上司の評価の蓄積により、人によって前後します。
昇進でどのくらい給料が上がるかというと、役付がつくと2万~5万円ほど給料が上がります(役付とは主任や課長補佐のことを言います)。 これは基本給だけでなく「役付手当」がつくためです。そして昇給スピードもあがるため、その後の昇給にも期待できます。
3.ベースアップ
昇給表そのものが書き換わる!
ベースアップとは、賃金表すべての数値が一律に増額されることを指します。 略称で「ベア」とも呼ばれ、およそ労働組合の申し入れを聞き入れる形で、経営陣が決定します。
ベースアップが毎年話題になるのは、労働組合が「平等」を重視しているためで、 「人事考課による定期昇給」に加えてさらに「全員一律の昇給」を会社に要求するからです。
例えば上記の賃金表では、昇格や昇進が「表の中の移動」だったのに対して、ベースアップでは「表自体が書き換わる」という形になります。 また、ベースアップと定期昇給は同時に行われますので、定期昇給6,000円+ベースアップ6,000円と大幅に給料が上がることになります。
昇格や昇進では先輩社員の地位を引き継ぐだけですので、会社にとって人件費全体はほぼ変わりません。 一方のベースアップは「去年の先輩社員」より多くの給料を得ることになりますので、会社にとって人件費の負担が大きくなります。 ゆえに、こちらは定期的に実施されるとは限らず、業績や社会情勢に応じた経営判断となります。
昇給で言われる「月あたり」とは?
基本給の「月額」が増えること!
求人票やベースアップの際に「月あたり6,000円」という言い方がされますが、 この「月あたり」とは「月額」のことです。 例えば基本給が月額20万円で「月あたり6,000円の昇給」が実現すると、基本給が月額20万6,000円になるということです。
なぜわざわざ「月あたり」とつけるのかというと、以下のような事態を防止するためです。
例1「6,000円昇給と言ったが、4月だけな。5月からは元通りだよ。」
例2「6,000円昇給と言ったが、『1年で6,000円』な。」
昇給6,000円ってどうなの?
年収換算で約12万円アップの効果!
メーカーやインフラ企業では、定期昇給が6,000円ほどなことが多いです。 「昇給6,000円」には果たしてどれほどの効果があるのでしょうか。
基本給が増額されると、残業代やボーナスにも影響します。
昇給が6000円だった場合、12か月分で7万2,000円です。ボーナスが5か月分出た場合、 6,000円×5で3万円です。これだけで年収は10万円増えます。
さらに昇給は残業代にも関係します。残業代は、基本給÷労働時間で算出した時給に、残業時間をかけて算出されます。 例えば基本給が20万円で30時間残業した場合と、20万6,000円で30時間残業した場合を比べてみましょう。
基本給 | 残業代/1時間 | 月30時間×1年 |
---|---|---|
20万円 | 1,570円 | 56万5,200円 |
20万6,000円 | 1,620円 | 58万3,200円 |
これで年収2万円アップです。つまり、6,000円の昇給で、年収は12万円も増えるのです。
同様に計算すると、昇給額による年収への影響は次の通りです。
- 昇給6,000円の場合:年収12万円の増
- 昇給8,000円の場合:年収16万円の増
- 昇給10,000円の場合:年収20万円の増
- 昇給15,000円の場合:年収30万円の増
- 昇給18,000円の場合:年収36万円の増
- 昇給20,000円の場合:年収40万円の増
昇給はどれくらい上がる?
昇給は業界によって6,000円~2万円ほど!
昇給はどれくらい上がるのかについて、MY就活ネットで独自調査しました。
総合商社 | 17,500円 |
---|---|
大手不動産 | 17,500円 |
家電メーカー | 12,000円 |
自動車メーカー | 11,000円 |
鉄道業界 | 10,000円 |
食品メーカー | 8,000円 |
昇給額は、学部卒初任給と修士初任給を比較すると計算できます。 通常、修士は「学部卒より2年早く入社した」という設定で初任給が支払われます。 つまり、(修士-学部卒)÷2で、定期昇給の金額が推測できるということです。
例えば総合商社は修士の初任給が340,000円で、学部卒が305,000円です。 これを引き算して2で割ると「17,500円」になります。つまり、昇給額は17,500円だと推測できるのです。
昇給額が少ない!とお悩みの方へ
入社何年もすれば昇給額が増える!
志望先や入社した企業の昇給額が少ないとお悩みの方へ、アドバイスします。
入社1年目~5年目ごろは、昇給額が低く設定されます。 「6,000円程度ではしょぼい」と思ってしまうかもしれません。ですが、給料が増えていくのは主任になってからです。
主任に上がると「昇進」になりますので、昇給スピードが上がります。 さらに役付手当がつき、その分はボーナスにも加算されます。 イメージとしては入社1年目と主任では年収100~150万円の差になります。
課長補佐に上がるとさらに昇給スピードが上がり、役付手当もボーナスの加算も主任より増えます。 イメージとしては入社1年目と課長補佐で年収300~400万円の差になります。
基本給が少し上がった程度でなぜこんなことになるのかというと、 特に大卒の場合、年収はボーナス次第だからです。 ボーナスは基本給にかけ算して支払われますから、基本給が少し増えただけでボーナスが大きく上がるのです。
→ボーナスの額面と手取り|税金や保険料はどれくらい引かれる?
ですから、昇給額が少ないからといってがっかりしないでください。 入社5年もするころには昇給額は増え、ボーナスもかけ算で増えていきます。
→会社とは?|部署・役職・出世事情などの仕組みを知ろうの記事へ戻る
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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