税金は不公平!|稼いだら罰金っておかしいでしょ
税金は不公平です。法律によって平等に公平に課税されていると思いきや、 実は税金は不公平です。9:6:4問題(クロヨン問題)やゴルフ場利用税、たばこ税、自動車税など税金の公平性を問う問題はたくさんありますが、 それ以上に所得税、法人税は公平性を欠いています。
今回は不公平な税金、その理由などを解説していきます。
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不公平な税金
不公平な税金としてよく言われるのは、以下の税金です。
- 所得税
- ゴルフ場利用税
- たばこ税(国たばこ税・都道府県たばこ税・市町村たばこ税・たばこ特別税)
- 酒税
- 自動車税(自動車税・自動車重量税・自動車取得税)
- 消費税
不公平な税金としてよく言われるのが「ゴルフ場利用税」や「たばこ税・酒税」です。 他の趣味や嗜好品(お菓子など)には消費税しかかからないのに、ゴルフや酒やたばこには高額な税金がかかります。 特定の属性の人にだけ課税される税金ということで、不公平だと言われます。
しかし趣味や嗜好品は各人の自由であり、ゴルフ場利用税を払いたくなければゴルフをしなければいい話ですし、 酒やたばこを買わなければ酒税もたばこ税もかかりません。やめればいいのです。
一方で自動車税はそうもいきません。都市部ならともかく、地方部では自動車は生活に必須だからです。 買い物に行くにも、仕事に行くにも車が必要です。田舎ではほぼみんなが車を持っています。 自動車税は、都会に住んでいればかからない税金ですが、田舎に住んでいるとかかる税金です。 ここに不公平感を感じる人も多いようです。
所得税は特に不公平な税金です。「お金を稼げば罰金を取られ、働かなければ賞金をもらえる」とはよくいったものです。 お金を稼げば稼ぐほど所得税は上がり、頑張れば頑張るほどむしりとられることになります。 不公平性はそれだけではありません。「クロヨン問題」のために不公平とされます。
また、消費税も不公平な税金と言われます。消費税8%はどんな商品でも同じなので一見、公平に見えます。 しかし、月収5万円のアルバイトと、月収30万円の正社員では消費税の重みが違います。
毎月4万円の生活をすると、3200円の消費税がかかります。月収5万円のアルバイトだと800円は月収の6.4%ですが、 月収30万円のサラリーマンだとたった1%です。収入が低ければ低いほど消費税の負担は重く、 収入が多ければ多いほど消費税の負担は軽いというわけです。
ではまず所得税がいかに不公平かを解説します。
所得税は不公平!
所得税は不公平です。所得税は累進課税という方式をとっており、 年収が増えれば増えるほど所得税は高くなります。低収入だと低収入なほど所得税は安くなります。 一見公平で平等にみえますが、実は所得税ほど不公平な税金はありません。
給料は労働と、費やした時間の対価です。働いた時間が長ければ長いほど給料は増えますし、 働いて成果が良ければ良いほど給料は増えます。 年収450万円だと所得税は年8万円程度ですが、年収1000万円だと所得税は150万円ほどになります。
さて、年収450万円の人と年収1000万円の人だと所得税が驚くほど違うわけですが、 年収1000万円の人はなぜ1000万円も稼げるのでしょうか。 それは、それだけの時間を費やし、それだけの成果をあげているからです。
頑張ったから年収が1000万円なのであって、何もせずに勝手に1000万円が降ってきたのではありません。 悪いことをしたわけでもなく、ただ人より働いたために高い年収を得ているのに、 なぜ所得税は高くなるのでしょうか。
そうです。頑張った人は、頑張らなかった人より税金を多く払わなければならないのです。 よく「税金は金持ちから取れ」と言われます。しかし、なぜ頑張ったお金持ちは、 頑張らなかった貧乏人のために税金を払わなければならないのでしょうか。
これは民主主義の弊害の一つです。お金持ちと貧乏人では、貧乏人のほうが圧倒的に人数が多いです。 選挙や街頭アンケートなどで「税金は金持ちから取れ」と言う人が多いのです。 そのためお金持ちは、貧乏人の意見の犠牲になります。
日本にはお金持ちから税金をむしりとる制度がたくさんあります。 例えば所得税、法人税、固定資産税です。お金を稼げば稼ぐほど、税金が高くなる仕組みです。 「お金をたくさん持っているんだからいいだろう」と軽く考える人も多いですが、それは間違いです。 お金持ちは、それだけ働いているのです。
海外に移住するお金持ちも多いです。これは、日本はお金持ちにかかる税金が高すぎるからです。 こうなるのも当然です。お金持ちは悪いことをして稼いでいるのではないのに、 「お金を稼いだ」ために「罰金」を取られるからです。
一方で貧乏人、特に働いていない人には失業手当や生活保護などのお金が支給されます。 「お金を稼がない」ために「賞金」がもらえるのです。非常に不公平ですね。
クロヨン問題
クロヨン問題とは、所得税の正確性が「サラリーマン:自営業者:農家=9:6:4」となっていると言われる問題です。 サラリーマンは会社が源泉徴収し、年収から税金までほぼ完全に明らかにされます。所得税もほぼ100%正確です。
一方で自営業者や農家は「売上高」や「経費」をある程度ごまかすことが可能であり、 自営業者は所得税を本来納めるべき額の6割、農家は4割しか払っていないというのです。
しかし事実は異なります。サラリーマンも確定申告をすれば経費を計上できます。 会社の仕事のためにお金を使ったのであれば、領収書をためておいて確定申告すればいいのです。 領収書の金額の分だけ控除され、所得税の還付を受けることができます。
そもそも確定申告しなくても勝手に経費38万円を計上してもらえます。 つまり、年収のうち38万円は非課税なのです。
また出張の日当は所得として算入されませんし、会社の経費で食事をした場合も、 所得として算入されません。サラリーマンは、非課税の収入が意外と多いでのです。
一方で自営業者や農家はそうもいきません。事業の経費で買い物をしたとしても、 そのお金の出所は自分の稼いだお金です。経費に算入するとその分所得は安くできますが、 その分は自分の財布から出たお金なのです。
そもそも会計上のテクニックで所得(利益)を減らし、節税するという対策は会社で行われていることであり、 浮いた分のお金は給料やボーナスにも回されます。サラリーマンも少なからずその恩恵を受けています。 もしも「減価償却費」が認められなくなれば、サラリーマンの給料はガクッと下がってしまうでしょう。
クロヨン問題は、確定申告を会社にまかせっきりにしているサラリーマンが損をするだけの話で、 自営業者や農家のように自分で確定申告すれば条件は同じです。 それに、そもそも会社が納税する際に恩恵は受けているのです。不公平でもなんでもないですね。
消費税は不公平じゃない!
消費税は不公平だと言われることがあります。 同じ買い物をしたとき、貧乏人にとっての消費税とお金持ちにとっての消費税は重みが違うという理論です。 年収100万円の人がする10万円の買い物と、年収900万円の人がする10万円の買い物では、消費税の「5000円」こそ同じですが、 年収100万円の人にとっての5000円と、年収900万円の人にとっての5000円では価値が違うというわけです。
このため「消費税は庶民に厳しい」と言われます。しかし、税金として本来あるべき姿は消費税のような一律の課税です。 なぜなら、お金持ちから余分に税金を取る根拠はないからです。
お金持ちは悪いことをしてお金持ちになったのではありません。「買い物」は誰でもするものです。 同じ買い物をするのに、なぜ「たくさん働いたから」という理由で税金を余計にむしりとられなければならないのでしょうか。 収入は働いた分の対価です。税金も「頑張った」「頑張らなかった」に関わらずとられるべきです。
そしてそもそも、お金持ちはそれだけ消費します。家や車など高級なものを買うだけ払う消費税は増えますし、 お金に対する意識の高い人は、お金を現金のままタンス預金したり、銀行に預けっぱなしにしたりということをしません。 お金を放っておくのはリスクが高いからです。
毎年少しずつインフレしているため、現金の価値は徐々に目減りしていきます。 そのためお金持ちは現金を資産に変えます。土地や建物などの不動産や、株式や債券などの金融資産を買うのです。
金融資産にはもれなく所得税や住民税がかかりますし、取引にかかる手数料には消費税がかかります。 不動産のうち建物にも消費税がかかります。お金持ちは貧乏人に比べると莫大な消費税を払っているのです。
しかし、消費税は一律8%なため平等です。消費税を払いたくなければ、買い物をしなければいいのです。 「仕事を頑張った」「仕事を頑張らなかった」に関わらず、10万円の買い物をすれば誰でも同じ消費税です。 これこそが真の平等と言えるでしょう。
日本は社会主義!?
日本は資本主義国とされていますが、一方で「日本は世界で一番成功した社会主義国」とも言われます。 これは、所得税や法人税、相続税、固定資産税などの不公平な税金によって行われる 「所得の再分配」によるものです。
日本ではお金を稼げば稼ぐほど高い税金がとられ、特に所得税や法人税、相続税はお金持ちになればなるほど異常に高額です。 しかし日本は普通選挙が行われているため、税金を多く払ったからといって選挙で有利になるわけではなく、 税金を多く払っても特にメリットがない状況です。
貧乏人の多くは税金で所得の再分配が行われていることに気が付きません。 というのも、所得の再分配でお金が入ってくるわけではないからです。 (生活保護など特殊な例は除きます。)
所得の再分配は主に、公共施設や公共サービスで行われます。 例えば道路やトンネル、中央省庁・出先機関・都道府県庁・市役所・区役所・町役場・村役場の行政サービス、 警察による治安維持サービス、自衛隊による国防サービスなど、様々な公共サービスがあります。
しかし、月々数千円~数万円の所得税でこれらの膨大な行政サービスが可能なわけがありません。 月額7000円でいったい誰が道路を作り、トンネルを掘り、選挙のお知らせをしてくれて、 子どもを学校に通わせてくれ、治安を維持し、外国からの攻撃から守ってくれるのでしょうか。
そうです。行政サービスにかかるお金は、お金持ちが払っているのです。 何百万円、何千万円、何億円という所得税・法人税・消費税をお金持ちが払ってくれ、 そのおかげで貧乏人も行政サービスを受けることができるのです。
本来ならば国民全員が同じだけお金を出して行政サービスをつくるべきです。 しかし実際には「仕事を頑張る人」「仕事を頑張らない人」がいます。 仕事を頑張っている人が、頑張らない人の分まで税金を払ってくれているのです。 これを、「タダ乗りする人」という意味でフリーライダー問題と言います。
お金持ちは貧乏人のためにお金をむしりとられているというわけです。 これでは「頑張った人が報われる社会」ではなく、「社会全体」のほうが重視されています。 「日本は世界で一番成功した社会主義国」と言われる理由ですね。
もちろんこの言葉も褒めているのではありません。表向きは「資本主義」を標榜しながら、 実際はお金持ちからお金をむしりとり、貧乏人に分配している「社会主義」であることを揶揄した皮肉なのです。
税金はとても不公平です。
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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