就職人気企業ランキングは当てにならない
就職人気企業ランキングが、みんなの就職活動日記や東洋経済にて公開されています。 しかしこれは、当てにならないです。 本当に人気の高い会社・優良企業を表しているのでしょうか。
みん就では1位:ANA、2位:電通、3位:JTBグループとなっており、一方で東洋経済では1位:三菱UFJ銀行、 2位:JTBグループ、3位:明治グループです。
さて、これらの企業への志望者は本当にダントツで高いのでしょうか。 滑り止めとして銀行を受ける人はいますが、私が就活をしていた時、周りにANAや電通、JTBグループを受けた人はいませんでした。
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ランキング上位企業は激務ばかり
就職人気企業ランキングの上位企業は、激務な企業が多いです。
みん就の就職人気企業ランキングでいうと
- 2位:電通
- 5位:三菱UFJ銀行
- 6位:博報堂
- 7位:伊藤忠商事
- 9位:三井住友銀行
というように、上位10社のうちに5社も激務企業が含まれています。 これらの会社は確かに給料も高く、福利厚生も充実しており待遇が良いのですが、 ものすごいストレスを抱えて生き続ける事になります。
まず、残業が果てしなく多いのが電通、博報堂です。 電通や博報堂の高い年収は残業代のおかげであり、残業で夜10時以降まで残っている人が多いです。 体育会系で厳しい飲み会や、自腹の接待もあり、「泥臭い」といえば泥臭い会社です。
そして、銀行や商社は残業こそものすごいわけではありませんが、 上司に詰められるという企業風土があり、とんでもないストレスを抱えることになります。 退職者が多いのは仕事がキツいとか、残業が多いとかではなく、上司に詰められるからです。
また残業は1日3~4時間程度ですが、資格の勉強をさせられるとか、土日は強制参加のイベントがあるとか、 飲み会が多いといった、プライベートをガシガシ削られるイベントがたくさんあります。 そういう意味では「精神的激務」といえそうです。
将来性でいうとJTBは、今後自分で旅行を手配する人が増えて行きますし、 そもそも海外旅行に行く人が減っています。もちろん会議室の手配や社員旅行の手配では便利な面もあるのですが、 いずれにしても市場規模は縮小していきます。
ANAやJALはまだわからなくもありませんが、就職人気企業ランキングの上位に食い込むほどの魅力があるのか疑問です。 もっと良い会社はたくさんあるのではないでしょうか。
東洋経済の就職人気企業ランキングには野村証券や大和証券がランクインしています。 新人研修が厳しいことで有名で、激務、上司に詰められるというように、 社員として生き残るのが非常に難しい業界です。
合同説明会で証券会社のブースがガラガラなことも多いのですが、 ランキング上位にいるのは不思議ですね。
知っているランキング
就活で本当の優良企業は、就職人気企業ランキングから漏れています。
例えばファナック、富士フイルム、JT、新日鐵住金、 コマツ、日本郵船といった企業が見当たりません。
これらはどれも超優良企業で、事業転換を大成功させたり、海外M&Aを繰り返して莫大な利益をあげていたり、 日本で唯一殿様商売が可能な会社だったりします。年収も高く、将来性もあり、株価も高く、 就活での競争倍率も高いです。
しかし、就職人気企業ランキングにランクインしていません。
これは、就職人気企業ランキングは名前の上だけで、実は知っている企業ランキングだからです。 このランキングは就活生を対象にアンケートが取られるのですが、 就活解禁から1ヶ月の間で集計を終えてしまいます。
要は合同説明会に出席した程度の就活生を捕まえて「どの企業に就職したいですか?」と聞いているというわけです。 まだ単独説明会にも参加しておらず、就活を始めたばかりの学生相手にアンケートを取ったところで、 実際の「就職人気企業」がわかるはずもありません。
確かにランキングを見ているとANAやJALなどの超有名企業、銀行や商社などの定番企業、 明治や資生堂、花王などの日常的に触れ、テレビCMもバンバン流している企業、 東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドなど、 誰でも知っている企業ばかりです。
その割にはJR東海、JR西日本、JR東日本といった超大手鉄道会社、NTTドコモやKDDIといった携帯電話会社の順位が低いですね。 関西電力や東京ガス、首都高、阪神高速、NEXCO各社などの超大手インフラ企業に至っては圏外です。 いったいどういうことでしょうか。
就職人気企業ランキング上位企業は、広告料をよく払う企業
就職人気企業ランキングの上位企業は、広告料をよく払う企業です。 就職人気企業ランキングを発表している会社によってランキングの順位が大きく異なるのはそのためです。
東洋経済で証券会社や保険会社が上位にランクインしているのは、 東洋経済の大事なお客様だからでしょう。 東洋経済は投資系のメディアですから、証券会社や保険会社抜きに仕事はできません。
広告料をもらい、情報提供してもらうことで記事を書いて売り出せます。 証券会社や保険会社がもうかれば、東洋経済ももうかります。 ランキング上位に証券会社や保険会社が来ないわけがないですね。
一方でみん就は楽天ですから、特にそういうしがらみはないように思えます。 しかし、今や楽天は立派な就活サイトの一つです。 就活関係のイベントを行い、会社の紹介をして、掲示板などでアクセスを集めています。
アクセスの集まるところに企業は広告を出稿します。 楽天は、採用活動をする人事部にとって目を離せない重要なサイトなのです。
と、単にランキングに載せてもらうために広告料を払っているというのはうがった見方です。 確かにリクナビやマイナビでは多額の広告料を払って特集記事を書いてもらうのですが、 お金を払って就職人気企業ランキングの上位に載せてもらっているなんて聞いたことがありません。
では就職人気企業ランキングの上位企業は広告料を払っていないのでしょうか。
いいえ。そういうわけではありません。やはり多額の広告料を支払っています。
それは日常的なテレビCMの他、就活イベントにブースを必ず出展したり、 就活サイトに広告を載せたり、特集記事を書いてもらうなどして、 知名度を高めているという意味です。
就活解禁1ヶ月の就活生はそれほど熱心に会社を調べていませんから、 この時期に宣伝しまくればしまくるほど知名度は上がります。
こうして多額の広告料を支払った会社が就職人気企業ランキングの上位を独占するわけです。
一方でJR東海、JR西日本、JR東日本、NTTドコモ、KDDI、関西電力、東京ガス、首都高、阪神高速、NEXCO東日本、NEXCO中日本、 NEXCO西日本の順位が低いのはなぜでしょうか。
それは、就活生向けにわざわざ広告を出さないからです。 こういった超有名で、超優良企業というものは、何もしなくても勝手に就活生が集まります。 就活生向けの広告を出して就活生を集める必要がないのです。
そういうわけでやる気に乏しい就活生の印象に残らず、 「第一志望の会社はどこですか?」と突然聞かれた時に、とっさにこれらの企業の名前が出てこないのです。
就職人気企業ランキングの上位だからといって、優良企業なわけでも、 将来性があるわけでも、待遇の良いホワイト企業というわけでもありません。 単に広告を出しているかどうかの差なのです。
MY就活ネットでは、他にも間違いだらけの会社選びシリーズを公開していますので、以下もぜひご覧ください。
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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