【就活】素材メーカーとは?属する3業界の違い・年収・ランキング
素材メーカーは経営が安定していて、ホワイト企業が多く、年収も高いという理想の就職先です。 知名度が低く就活では見逃しがちですが、大手に限らず優良企業が多いのが特徴です。
この記事の要点
- 何かの材料(金属・樹脂等)をつくっている業界!
- 鉄鋼・非鉄金属・化学の3種のメーカーに分けられる!
- 経営が安定していて常に好待遇!
- 非鉄金属・化学メーカーは就職難易度が低い穴場!
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素材メーカーとは?
素材メーカーは、何かの材料をつくっている会社!
素材メーカーとは、「金属」や「樹脂」を始めとした「何かの材料」を開発・製造する企業群を意味する言葉です。 「鉄鋼」「非鉄金属」「化学」の3つの業界をまとめて「素材メーカー」と呼びます。
業界名 | 主要製品 |
---|---|
鉄鋼メーカー | 鉄 |
非鉄金属メーカー | アルミ・銅・ニッケルなど「鉄以外」の金属 |
化学メーカー | プラスチック・ガラス・ガス・ゴムなど「金属以外」の材料 |
この3つの業界に共通するのは、「化学反応を利用して素材を開発・製造し、各種メーカーに提供する」ことですが、 その中でも特に「鉄」「非鉄金属」は会社数が多いため、別々に分類されています。 ですから、化学メーカーとその他の素材メーカーの違いは「つくっているものが金属か、それ以外か」というだけです。
素材メーカーの特徴
汎用品と高機能品の2つのビジネス!
素材メーカーの特徴は、「汎用品」と「高機能品」の2つのビジネスに取り組んでいるところです。
汎用品は「大量生産によって安価に供給する」というビジネスで、一方の高機能品は「少量多品種で大きく利益をのせても売れる」というビジネスです。 日本の素材メーカーは高機能品ビジネスが得意で、売上高に関わらず大きく利益を出し、それが高い年収に反映されています。 ゆえに、これらの業界は「売上高」ではなく「高くても売れる高機能品」をどれだけもっているかで就職先を選ぶべきでしょう。
例えば素材メーカー(化学)の東ソーは「汎用品」を「コモディティ」、 「高機能品」を「スペシャリティ」と呼んで解説していますので、この業界を志望する際はぜひ読んでおきましょう。
参照:コモディティ、スペシャリティの両軸で、高い製品シェアを実現|東ソー
汎用品 | 高機能品 | |
ビジネスモデル | 大量生産 | 少量多品種 |
商品の例 | 鉄板・プラスチック | 剛性・絶縁・耐熱性など特別仕様 |
技術力 | 不要 | 必要 |
売上 | 高い | 低い |
利益 | 低い | 高い |
景気の影響 | 大きい | 小さい |
営業の難易度 | 難しい | 楽勝 |
鉄鋼メーカーのランキング
高炉メーカーがおすすめ!
※会社名をタップするとMY就活ネット独自の企業研究が読めます。
鉄鋼メーカーのランキング 会社名 売上高 平均年収 年間休日/備考 日本製鉄 7.9兆円 825万円 119日
高炉JFE 5.2兆円 1242万円 119日
高炉神戸製鋼所 2.4兆円 606万円 121日
高炉プロテリアル 1.1兆円 729万円 126日
電炉大同特殊鋼 5785億円 761万円 125日
電炉山陽特殊製鋼 3938億円 730万円 119日
電炉東京製鐵 3612億円 808万円 116日
電炉共英製鋼 3357億円 709万円 127日
電炉トピー工業 3344億円 639万円 120日
電炉愛知製鋼 2851億円 668万円 124日
電炉合同製鐵 2353億円 620万円 126日
電炉日本冶金工業 1993億円 681万円 119日
電炉中山製鋼所 1885億円 649万円 120日
電炉大和工業 1804億円 828万円 128日
電炉三菱製鋼 1705億円 698万円 123日
電炉JFE条鋼 1428億円 非公開 127日
電炉栗本鐵工所 1248億円 726万円 125日
電炉大阪製鐵 1171億円 587万円 121日
電炉中部鋼鈑 763億円 729万円 112日
電炉
鉄鋼メーカーは「鉄鉱石から製鉄する高炉メーカー」「リサイクル鉄の電炉メーカー」の2つに分類されます。 いずれも「高機能品」が利益のカギを握っていて、特に日本製鉄やJFEは特許申請件数が非常に多いことでも知られています。
非鉄金属メーカーのランキング
電線がおすすめ!
非鉄金属メーカーのランキング 会社名 売上高 平均年収 年間休日/備考 住友電気工業 4.0兆円 779万円 121日
電線御三家三菱マテリアル 1.6兆円 697万円 126日
銅・ニッケル・セメント住友金属鉱山 1.4兆円 835万円 125日
銅・ニッケル・金古河電気工業 1.0兆円 685万円 121日
電線御三家UACJ 9628億円 718万円 121日
アルミニウムフジクラ 8064億円 770万円 121日
電線御三家DOWA 7800億円 866万円 123日
銅・亜鉛・レアメタル日本軽金属 5169億円 1031万円 120日
アルミニウムARE 2924億円 911万円 120日
貴金属・レアメタルリョービ 2826億円 662万円 120日
ダイカスト大紀アルミニウム 2730億円 781万円 115日
アルミニウム古河機械金属 2141億円 797万円 121日
銅・金・銀SWCC 2091億円 734万円 121日
銅・電線東邦亜鉛 1457億円 580万円 112日
亜鉛・鉛アーレスティ 1409億円 557万円 120日
ダイカスト
非鉄金属メーカーは「銅」「アルミニウム」「ニッケル」「亜鉛」などが代表的な商品ですが、 そこから発展して「電子・自動車部品」を手がけているところに特徴があります。 住友電気工業は自動車に使うワイヤーハーネスで世界首位など、経済界では超有名企業です。
化学メーカーのランキング
優良ホワイト企業の宝庫!
化学メーカーのランキング 会社名 売上高 平均年収 年間休日/備考 三菱ケミカル 4.6兆円 1045万円 123日 住友化学 2.8兆円 911万円 124日 信越化学工業 2.8兆円 877万円 120日以上 富士フイルム 2.8兆円 1033万円 125日 旭化成 2.7兆円 761万円 120日 東レ 2.4兆円 757万円 123日 三井化学 1.8兆円 892万円 言及なし レゾナック 1.2兆円 1026万円 122日 日本ペイント 1.4兆円 977万円 128日
塗料世界4位積水化学工業 1.2兆円 913万円 125日
建材・住宅日本酸素 1.1兆円 977万円 126日
産業ガス世界4位東ソー 1.0兆円 762万円 122日
化学メーカーは「汎用品(石油化学)」の売上高が大きいため、これに取り組む総合化学メーカーが目立ちます。 ですが、前述の通り「高い年収の源泉」は「高機能品(誘導品、電子材料)」にありますので、売上高に惑わされず、業界全体を吟味してほしいと思います。
素材メーカーがおすすめな理由
素材メーカーが就職先としておすすめな理由は、「経営が安定していること」と「日本屈指の高待遇な業界であること」の2つあります。
理由1.経営が安定している
生産の上流工程は安定する!
素材メーカーの経営が安定している理由は、生産の上流工程を担っているためです。
例えばスマホをつくるには、部品が必要です。その部品をつくるには、材料が必要ですよね。 このように生産工程をさかのぼっていくと、最終的に行き着くのが素材メーカーです。
もしiPhoneが売れなくなったとき、アップルは大変です。 もちろん、アップルに部品を納めている電機メーカーも大変です。 ですが、電機メーカーは「アップルが売れないならサムスン電子に売ればいい」という対策を取ることができます。
では電機メーカーに材料を納める素材メーカーはどうでしょうか。そう、ほとんど影響がないのです。 なんなら「みんながスマホにハマりすぎてクルマが売れなくなった」という事態でも、 常に素材メーカーはもうかるようにできているのです。
理由2.日本屈指の高待遇な業界
高機能品が儲かる!
素材メーカーの待遇が非常に良い理由は、高機能品で高い利益を実現できるためです。
実は、スマホも自動車も「素材の品質」が特に重要です。 燃費にしてもスマホの性能にしても、素材が「超精密」「超高品質」だからこそ実現できるものです。 このように、部品用に使われる高機能品で日本の素材メーカーは独占的商品を多数持っています。
例えば、ICチップは日本企業抜きにはつくれません。 信越化学工業やSUMCOのつくる「シリコンウエハー」、東京応化工業を始めとした日本企業5社しかつくっていない「フォトレジスト」は、 ICチップの不良品率に直結し、日本企業以外に注文することができないという商品群です。
(ちなみにICチップの製造装置も日本企業が世界の半分をとっています。→実はもうかる!半導体産業の業界研究を読む)
このような高機能品は「高い利益を乗せても売れる」「過剰に働かなくても顧客が向こうから買いに来る」といったメリットがあり、 これが「年収が高い」「残業が少ない」「休日が多い」といった高待遇を実現するのです。
参考:信越化学、フジミインコ、メック…半導体の「素材」で世界シェア上位に君臨する最強技術企業
素材メーカーの年収は高い
年収1000万が狙える!
素材メーカーの年収は900~1000万円と非常に高いです。 あれ?でも年収ランキングには「600万円」とか「700万円」とか書かれていますよね。 これには実は、カラクリがあります。
素材メーカーは工場を持ち、現業職を多く抱えています。 会社の出す平均年収はあくまでも「全社員の平均年収」であり、現業職も一般職も含んだ数値になっているのです。 総合職に限れば30代で800~1000万円も夢ではありません。
特に近年は化学メーカーが好調で、その理由は半導体需要が伸び続けていることにあります。
スマホやパソコンの普及だけでなく、工場設備から家電に至るまで、 ICチップを搭載してインターネットに接続する「IoT」が急速に発展しています。 そう、ICチップは日本の素材でつくられていますから、日本の素材メーカーがもうかる流れなのです。
当然、もうかればボーナスが増えます。素材メーカーのボーナスは年間6ヶ月分と自動車業界並みですが、 アフターコロナの「半導体不足の解消」に至ればもっともうかるのは目に見えています。
特に化学メーカーのうち総合化学メーカー・電子材料メーカーは必見ですね。
おすすめ企業は?
化学メーカーがおすすめ!
素材メーカーのおすすめ企業は、日本製鉄・JFEスチール・住友電気工業、そして化学メーカー全般です。
高炉2社と非鉄大手は、日本産業だけでなく、世界的に欠かせない企業です。 BtoBビジネスでありながら、その重要さから知名度は比較的高く、就活でも激戦になります。
そこで狙い目は、化学メーカーです。
化学メーカーは優良企業しかないといっても過言ではないほど、安定ホワイト高待遇な会社ばかりです。 どの会社も何かしら世界を独占するような商品を持っており、高い利益があるがゆえに、 「また研究開発ができる」という好循環に乗りに乗っています。
しかし、「フォトレジスト」だの「偏光板フィルム」だの「シリコンウエハーのイレブンナイン」だの言われても、意味がわかりませんよね。 そう、わからないがゆえに就活生がスルーするのです。 これらは日本企業がほぼ独占していて、高くても売れるトンデモ商品なのですが、スルーすると一生後悔します。
(ちなみにフォトレジストは東京応化工業、偏光板フィルムは富士フイルム、シリコンウエハーは信越化学工業です。)
しつこいようですが、化学メーカーは有名企業以上に高待遇で将来性もバツグンなのですが、 知名度や事業のわかりにくさゆえに就職人気が低く、内定がもらいやすい業界です。
採用倍率は有名企業200~300倍に対して、化学メーカーは40~80倍とかなり低く、 インターンシップの段階から接触していけば学歴ではじかれることもまずないと言えます。
素材メーカーへの就活
素材メーカーへの就職について解説します。 インターンシップや選考に乗り遅れないよう注意しましょう。
就職難易度
インターンシップが必須!
業界名 | 就職難易度 | 採用倍率 | 採用人数 |
---|---|---|---|
鉄鋼メーカー | 非常に高い | 80~120倍 | 文30~40名/理70~100名 |
非鉄金属メーカー | 穴場 | 20~40倍 | 文20~30名/理50~70名 |
化学メーカー | 低い | 40~80倍 | 文10~20名/理20~50名 |
素材メーカーの就職難易度は、鉄鋼大手は非常に高いものの、非鉄金属・化学では大手でも低めです。 採用人数は少ないですが、志望者も少なく、ライバルが少ないということができます。
鉄鋼・非鉄金属大手を除きそれほど学歴は重要ではなく、 インターンシップでの活躍やエントリーシートの完成度で勝負することができ、接触が早ければそれだけ有利になります。
体育会系でないと受からないということはありませんし、 留学経験や起業経験が必要ということもありません。 「就職活動の軸」と「経営理念」の一致をアピールしていけば、合格の目はあります。
各社ともに必要なTOEICスコアは明示されていませんが、730点ほしいところです。 かなりグローバルな企業であり、仕事上で英語は必須になってくるためです。
ただし、スコアが絶対かというと、そうではありません。 というのも英語はいずれ身につくものであり、現時点でペラペラに話せる必要はなく、入社後でも鍛えられるためです。 一方で英語への意欲は示さなければなりませんので、少なくとも受験してESにスコアを書くくらいはしましょう。
選考
優遇選考を狙おう!
業界名 | 選考方法 |
---|---|
鉄鋼メーカー | リクルーター面接中心 |
非鉄金属メーカー | リクルーター面接中心 |
化学メーカー | インターン組優遇選考中心 |
素材メーカーの選考は、大手はリクルーター・インターン組いずれかの優遇選考があり、 リクルーターは学歴、インターンは参加実績が優遇選考の条件です。 学歴に自信がない場合はインターンに参加することが必須になるでしょう。
特に化学メーカーはインターン参加者向けの早期選考を行っている会社が多く、 採用人数が少ないことから、この優遇選考を逃すと内定の可能性がかなり低くなります。
一方で鉄鋼・非鉄金属の大手はリクルーター面接を突破しないと本選考に進めないため、 大学3年生の3月1日を迎えて、「早くプレエントリーして会社説明会に参加する」ことが重要になってきます。
エントリーシート
就活の軸が必須!
素材メーカーへのエントリーシートの書き方は、就職活動の軸を前提に「『将来の夢』実現ストーリー」をつくり、 同社の「経営理念・ビジョン・社風」と一致した志をアピールすることです。 最終的には「将来の夢を実現するために、貴社のビジネスに携わらなければならない」と結論付けます。
実はESは、「『将来の夢』実現ストーリー」を書くものなのをご存知でしょうか。 ESはどの会社も以下の三部作構成になっています。
- (過去編):学生時代頑張ったこと:将来の夢に向かって今まで何をしてきたか
- (現在編):長所・短所:将来の夢の実現にあたって現状の自分を把握できているか
- (未来編):なぜこの会社を選んだのか・この会社に入って挑戦したいこと:何をして将来の夢の実現するか
各社の選考においても「就職活動の軸」を前提として、「過去編」「現在編」「未来編」の三部作構成でESを書き、 最終的には実現するには貴社のビジネスに携わるしかないという結論に持っていくのです。 ES本番を待つのではなく、インターンの段階でこれができていれば、かなり有利です。
ですから、採用ページのプロジェクトや社員紹介などを熟読し、 会社には何を目指す社風があるのかをじっくり研究し、志望動機に絡めていきましょう。
特に「なぜ素材メーカーなのか」「なぜこの会社なのか」は面接でも突っ込んで問われますので、 「将来の夢(就職活動の軸)」が会社の経営理念・社風・ビジョンと関係があれば書きやすいですね。 「この会社に入って挑戦したいこと」もぜひ参照してください。
遅くとも大学3年生の3月までにはエントリーシートの原案を完成させておきましょう。
素材メーカーの志望動機
ビジョンの一致をアピールしよう!
素材メーカーの志望動機の書き方は、会社の「経営理念や社風」と自分の「就職活動の軸」の一致をアピールし、 「将来の夢を実現するために、貴社のビジネスに携わらなければならない」と結論付けることです。
なぜなら、「ものづくり」は理系の仕事であり、文系の役割は「企業のブランドの育成」にあるからです。 BtoB業界でも例外ではなく、「企業の社風」に一致した学生が内定をもらいます。 そこで、志望動機は「ものづくり」「技術力」などではなく、「就職活動の軸と社風の一致」にするべきなのです。
書き方の詳細については、次の関連記事で解説しています。メーカー志望の方なら誰でも使える内容ですので、ぜひご覧ください。
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MY就活ネットでは、この他にも多数の業界研究記事を用意しています。 優良企業の見落としを防ぐため、さまざまな業界を調べてみましょう。
11月の今から最短で内定をもらうには?
志望企業の内定者はどう書いた?内定エントリーシートを見よう!(その1)
模範解答があれば憂いなし!
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自分にぴったりのインターンシップを見つけよう
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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