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【就活】総合化学メーカー6社の比較|年収も将来性も高い理由

総合化学メーカー|業界研究

 総合化学メーカーは将来性が高く、年収は900~1000万円という高待遇な業界です。 業界研究・比較を通じて志望動機作成に役立つコンテンツをお届けします。

この記事の要点

  1. 金属以外の何かの材料をつくっている会社!
  2. 残業はほぼなく、30代後半で年収1000万円が可能
  3. 半導体需要で絶好調!コロナ禍でも景気の良い業界
  4. 化学メーカー全体と比べると、就職難易度は高め


おすすめ・人気記事


 

総合化学メーカーとは?

 金属以外の材料で、汎用品高機能品2つのビジネスをやる会社!

 総合化学メーカーとは、「基礎原料」「誘導品」「電子材料」「最終製品」を一貫して製造する企業群を意味します。 言い換えれば、「化学品はなんでもつくっている会社」です。

 石油を原料にしたあらゆる樹脂製品や産業ガスを製造していて、プラスチック・アクリルなどが代表的ですが、 半導体製造においても極めて重要な地位を占め、世界的に欠かせない役割を担っています。

 「総合化学」は簡単に言えば「なんでもつくっている」というだけの意味であり、 「誘導品メーカー」「電子材料メーカー」に比べて優れているというわけではありません。

 この記事では「基礎原料」を「汎用品」と呼び、「誘導品・電子材料」を「高機能品」と呼びます。 汎用品と高機能品ではビジネスモデルや強みが異なりますので、化学メーカーを売上高で比較するのはナンセンスです。

 化学メーカー全体の業界研究については、次の関連記事をご覧ください。

【関連記事】 超優良!化学メーカーへの就職は難しい?63社の業界研究  

総合化学メーカーのランキング

 化学メーカーの強さは、売上規模より儲かる高機能品をどれだけ持っているか!

会社名売上高平均年収年間休日
三菱ケミカル3.2兆円889万円123日
住友化学2.2兆円971万円124日
旭化成2.1兆円923万円120日
三井化学1.2兆円1022万円言及なし
昭和電工9730億円1001万円122日
東ソー7320億円917万円122日
宇部興産6130億円837万円124日
カネカ5770億円734万円121日以上
デンカ3540億円930万円122日
トクヤマ3000億円875万円125日
JNC1500億円579万円124日
※会社名をタップするとMY就活ネット独自の企業研究が読めます。

 先にも触れましたが、総合化学メーカーは売上高で単純な比較はできません。 規模を追うのは「儲からない汎用品」のビジネスモデルであり、「儲かる高機能品」でどれだけ独占的商品を持っているかが重要です。

 特に汎用品は「石油」を原料にする以上、昨今の環境規制の煽りを受けて「環境税」を課されたり、 原油価格の高騰で赤字を出すなど、今後は足かせになる可能性がありますので注意しましょう。

 

総合化学メーカーの年収は高い

 年収1000万円が可能!

 総合化学メーカーの年収は900~1000万円と非常に高く、また必ずしも「企業規模と待遇が直結しない」という珍しい業界です。 30代後半~40代で年収は1000万円に到達します。

 総合化学メーカーが高待遇な理由は、次の3点です。

  • 企業規模と待遇が直結しない
  • 価格競争を回避する仕組みがある
  • 現業職中心の労働組合がある

 総合化学メーカーの製品は大きく分けて「汎用品」と「高機能品」がありますが、 汎用品が大量生産で「薄利多売」を目指す「規模を追うビジネス」なのに対して、 高機能品は少量多品種で「厚利少売」を目指す「付加価値の高いビジネス」です。

 ゆえに、高機能品に強い会社ほど年収が高く、「売上高が高い≠待遇が良い」という業界です。

 また、化学メーカーには価格競争を回避する仕組みがあります。 汎用品は激しい価格競争にさらされる一方で、高機能品は価格競争になりません

 なぜなら発明時に特許を取得するため「一番乗り以外の会社は負け」な上に、 その間に量産体制を敷いてしまえば後発企業が参入するメリットがなくなるからです。

 現業職中心の労働組合の存在は、化学メーカーに限らず製造業全体について言えることですが、 出世を見込めない現業職は、総合職に比べて「会社に待遇改善を要求しやすい」という立場にあります。 要は「経営陣の顔色をうかがう必要がない」というわけです。

 ユニオンショップ協定により総合職も労働組合に強制加入になる場合がほとんどですが、 現業職ががんばってくれるので、総合職もなにもしなくても恩恵を受けられるのです。

 

将来性が高い

 総合化学メーカーの将来性は高いです。その理由は次の4点です。

【関連記事】 【就活】将来性のある業界8選!|これから伸びる有望な就職先  

景気の変動に強い

 幅広いお客さんが不景気もカバーしてくれる!

 総合化学メーカーは「素材メーカー」の一種であり、生産の上流工程を担います。 顧客は多岐にわたり、その製品の用途の幅広さから景気の影響を受けにくいと言えます。

 簡単に言えば「アップルが売れなければサムスンに売ればいい」ですし、 「人がスマホに熱中しすぎてクルマが売れなくなった」という状況でも総合化学メーカーは儲かる仕組みになっているのです。

 このように最終製品の売れ行きに左右されない素材メーカーは景気変動に強く、安定した経営が可能になっています。

 

高機能品市場はフロンティア

 日本企業は「儲かる高機能品ビジネス」が大得意!

 総合化学メーカーの将来性の高さの理由の1つに、高機能品市場はフロンティアというものがあります。

 石油化学でつくる「汎用品」はおよそ完成された技術で、世界中どこの化学メーカーでも製造できます。 ゆえに激しい価格競争になって「規模を追う」以外に生き残り策はありません。

 一方で「高機能品」は「ニーズを察知するスキル」と「研究開発力」が必要で、発明した会社の1社独占が可能です。 競合のいないブルーオーシャンを開拓し続けるビジネスであり、無限の可能性を秘めているというわけです。

 日本の総合化学メーカーはすでに独占的商品を多数持っているために、 その潤沢な利益を「研究開発」に投入することができます。 つまり、「儲かるがゆえにさらに儲かる」という好循環に乗っているのです。

 

半導体需要が旺盛

 半導体の材料はだいたい日本の化学メーカー!

 半導体需要が旺盛な昨今、日本の総合化学メーカーは将来性が高いです。

 実は、あらゆる電子機器が日本企業抜きには成立しません。 日本の化学メーカーは半導体材料独占的シェアを誇り、 特にICチップの製造では「材料」「製造機械」の両方をほぼ独占しています。

 総合化学メーカーは、かつて日本が「半導体王国」と言われた時代に、電電ファミリー(富士通やNECなど)と共に成長してきました。 電電ファミリーはマーケティングに失敗して「パソコン・スマートフォン」といった最終製品が海外勢に奪われるのですが、 材料や製造機械は未だに日本の独壇場です

 なぜなら、最終製品は「消費者の気分」に左右される一方で、その材料・製造機械は「替えが利かない会社が強い」からです。

 半導体製造では原子・分子レベルの「超高純度」「超精密」が求められるのですが、 日本企業が先行したために、アップルもサムスン電子も他社に乗り換えられないという事情があります。

 「汗が蒸発した空気中の分子」すら混ざればすべて不良品になってしまう世界ですから、 50年に渡って半導体事業を続けてきた日本企業に追いつくことなど不可能なのです。

【関連記事】 半導体業界はやめとけ?オワコンどころか超勝ち組な理由  

総合化学メーカーへの就職

 総合化学メーカーへの就職に役立つ就職難易度や選考・面接対策、エントリーシート・志望動機の書き方の他、強みや年収・ランキングなどを解説します。

【関連記事】 【新卒】就職活動のやり方|失敗しないコツを実体験で解説!  

就職難易度

 就職難易度は、高い

 総合化学メーカーの就職難易度高いです。 待遇・将来性の高さに加えて「財閥の名を冠している」ことから就職人気が高く、 選考応募は文系1500~2000人理系1000~1500人にのぼります。

 採用倍率は70~100倍で、就活では激戦だと言えます。

 インターンへの参加は非常に重要で、三菱ケミカル・三井化学・昭和電工の3社はインターン参加者向け優遇選考の制度があります。 それ以外の会社でも「事業内容が分かりにくい」側面がありますので、会社理解を進める上でぜひ参加しておきたいですね。

内定直結インターン!|優遇選考で早期内定

 総合化学メーカーに比べて、高機能品特化の誘導品メーカー・電子材料メーカー就職難易度が低いです。 「売上高で比較して見劣りする」「仕事内容がわからない」「財閥企業じゃない」などの理由で忌避されがちです。

 ここまで解説してきた通り「総合化学メーカーが優れている」というわけではありませんから、 ぜひ多数の化学メーカーを志望先に加えて、内定を確保しておきましょう。

超優良!化学メーカー63社の業界研究・志望動機・平均年収

 

英語力が必須

 TOEICスコアの高低よりも、やる気を見せよう!

 総合化学メーカーへの就職には、英語が必須です。 なぜなら世界シェアを取る商品が多く、海外売上比率が40~60%に上るため、仕事上で英語が必要になるためです。

 TOEICスコアは730点ほしいところですが、募集要項にスコア条件が明示されているわけではなく、この瞬間に英語が話せる必要はありません。 英語力は入社後でも鍛えられるものですし、それ以前に「就活の軸とビジョンの一致」が重要だからです。

 とはいえ、「英語に対する意欲」はアピールしなければなりません。 そこでスコアが取れなくてもTOEICはとりあえず受験して、海外展開を目指して勉強中ですと言えるようにしておきましょう。

 また「スコアが低い」ことも気にする必要はなく、正直にエントリーシートに記入・面接でスコアを話して、 「自分の実力の低さを思い知りました」と反省と向上心を見せられたらよいでしょう。

【関連記事】 【就活】英語がいらない業界はある?|今できなくても大丈夫!  

採用大学

 学歴フィルターは厳し目!

 総合化学メーカーの採用大学は、旧帝大学からMARCH・関関同立クラスが中心で、学歴フィルター「MARCH・関関同立以上」だと言えます。 特に財閥企業ほどその傾向が顕著ですが、学歴フィルターをクリアさえできれば可能性はあります。

 各社の採用実績校をもとに「採用される大学ランク」を表にしました。

三菱ケミカル MARCH・関関同立以上(旧帝大中心)
住友化学 MARCH・関関同立以上(旧帝大中心)
旭化成 MARCH・関関同立以上(旧帝大中心)
三井化学 MARCH・関関同立以上(旧帝大中心)
昭和電工 MARCH・関関同立以上(MARCH中心)
東ソー 日東駒専以上(上位国公立中心)

※あくまで学歴フィルターの表であって、勝ち組・負け組の企業ランキングとは関係ありません。

学歴フィルターはどこから?|ある企業とない企業

 

選考フロー

 インターン参加で優遇選考を狙おう!

 総合化学メーカーの選考フローは、3月にES提出・WEBテストを実施後に面接が2~3回行われて内定へと至るプロセスを経ます。 インターン優遇選考やリクルーター面接が実施される会社が多く、3年生のうちに早期接触することが重要です。

会社名ES提出時期面接回数優遇選考
三菱ケミカル3月3回インターン参加者は一次面接免除
住友化学3月3回リクルーター面接あり
旭化成3月3回リクルーター面接あり
三井化学3月3回インターン参加者は早期選考
昭和電工3月4回インターン参加者は面接2回のみ
東ソー3月2回なし

 リクルーター面接は学歴に応じて実施されますが、これが実質的に「学歴フィルター」として効果を発揮します。 ただし必ずしもリク面を経由しないと内定がもらえないというわけではありません。 呼ばれなくても内定を取る人はいることも覚えておいてください。

リクルーター面接とは?|つく条件と受かる方法

 エントリーシートについては、どの会社もESは以下の三部作構成になっています。

 ストーリーの作り方は【例文】エントリーシートの書き方|「おっ」と思わせる!で解説していますが、 ES本番を待つのではなく、インターンの段階でこれができていれば、かなり有利です。

 各社の選考においても「就職活動の軸」を前提として、「過去編」「現在編」「未来編」の三部作構成でESを書き、 最終的には実現するには貴社のビジネスに携わるしかないという結論に持っていくのです。

 ですから、採用ページのプロジェクト社員紹介などを熟読し、 会社には何を目指す社風があるのかをじっくり研究し、志望動機に絡めていきましょう。

 

志望動機

 ビジョンの一致をアピールしよう!

 総合化学メーカーの志望動機の書き方は、会社の「経営理念・ビジョン・社風」と自分の「就職活動の軸」の一致をアピールし、 「将来の夢を実現するために、貴社のビジネスに携わらなければならない」と結論付けることです。

 総合化学メーカーはどこも「汎用品」と「高機能品」の事業を行っており、事業内容で比較することは難しいです。 特に、「化学メーカーは規模は正義ではない」ことも注意したいですね。 ここで役立つのが「経営理念・ビジョン・社風に言及すること」です。

 「会社が何を得意としていて、何を目指しているのか」を研究し、次の4つの「就活の軸」を参考に、 自分と会社のビジョンが一致していることをアピールしましょう。

  • 〇〇を目指す人と働きたいから
  • 〇〇にやりがいを感じるから
  • 〇〇のプロとして成長できる会社だから
  • 〇〇の面で社会貢献がしたいから

 書き方の詳細については、次の関連記事で解説しています。メーカー志望の方なら誰でも使える内容ですので、ぜひご覧ください。

【関連記事】 【文系専用】メーカーの志望動機|必要な人材認定をもらうコツ

 また、「Unistyle」という就活サイトでは実際に内定を取ったエントリーシートが無料で読み放題です。 この業界はもちろん、あなたの志望企業に内定した歴代就活生がどう書いたのかを見れば、 ESの方向性が合っているかどうか確認することができます。これを使わない手はありませんね。

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総合化学メーカーの比較

 会社の特徴を就活の軸とつなげよう!

 総合化学メーカーの6社の比較を、志望動機作成用にまとめました。 各社の強みや特徴をつかんで「ビジョンの一致」をアピールしていきましょう。

三菱ケミカル
アクリルガラスと産業ガスに強い。環境問題が取り上げられるずっと以前から赤字でも「生分解性プラスチック」の研究を続けており、 ESG経営を宣言する・人工光合成を研究するなど環境意識が非常に高い。
経営理念は「KAITEKI実現」
住友化学
農薬と電子材料に強い。液晶ディスプレイ関連を中心に高機能品を揃えている。 挑戦的な社風で、常識を打ち破る研究開発を奨励している。 子会社に医薬品メーカーの大日本住友製薬がある。
経営理念は「技術を基盤とした新しい価値の創造に常に挑戦します。」「事業活動を通じて人類社会の発展に貢献します。」「活力にあふれ社会から信頼される企業風土を醸成します。」
旭化成
リチウムイオン電池関係の高機能品に強い。住宅・建設資材・医薬品・医療機器と幅広い事業展開を行っており、 サランラップ・ジップロック・へーベルハウスで消費者向けでもマーケティングの実績がある。 好景気の恩恵を受けやすい。
経営理念は「私たち旭化成グループは、世界の人びとの”いのち”と”くらし”に貢献します」
三井化学
自動車部品用材料・メガネレンズ材料・食品包装用高機能フィルムなど高機能品が豊富。 リチウムイオン電池は「電解液」を得意としており、旭化成の「セパレータ」とは競合しない。 リスク性の高い医薬品事業は分社済み。
経営理念は「地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して高品質の製品とサービスを顧客に提供し、もって広く社会に貢献する」
昭和電工
半導体向け高機能品に強い。基板材料・パワー半導体材料・エッチングガス・感光性フィルムなどで世界首位。 電炉に使用する「黒鉛電極」や最終製品の「ハードディスク」などで世界展開中。 汎用品の比重を下げて高機能品の開発に注力している。
経営理念は「私たちは、社会的に有用かつ安全でお客様の期待に応える製品・サービスの提供により企業価値を高め、株主にご満足いただくと共に、国際社会の一員としての責任を果たし、その健全な発展に貢献します。」
東ソー
ソーダ工業と合成ゴムに強い汎用品メーカー。電子材料・医療材料を中心に高機能品への注力を開始し、 すでに営業利益率13%の「儲かる会社」になっている。 社会的使命として汎用品をやめる予定はなく、「ハイブリッドカンパニー」を目指している。
経営理念は「私たちの東ソーは、化学の革新を通して、幸せを実現し、社会に貢献する。」

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【関連記事】 【一覧】業界研究がわからない?代わりにやりました!

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著者:村田 泰基(むらた やすき)
 合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。 その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。 →Xのアカウントページ




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