労働組合って何?入らなきゃダメ?
「労働組合に入らない」「入りたくない」という方も多いですが、基本的に「入らないとクビになる」という協定があり、強制加入なのが現実です。 この記事では労働組合とは何か、どんなメリット・デメリットがあるのか解説します。
この記事の要点
- 労働組合についてだけは、受け身の姿勢でいるのが安全!
- 労働組合とは、給料・ボーナス・福利厚生を改善するための団体!
- およその会社で、強制加入なので心配する必要なし!
- やることは、アンケートに回答する以外は特にない!
目次
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まずは結論!組合については流れに身を任せよう
組合に関してだけは、受け身でいよう!
結論から言うと、ほとんどの会社で労働組合は強制加入なので心配する必要はありません。 「指定の組合に入っていないとクビにする」という規定があり、自動的に加入させられます。
一方で「入るかどうか」を自分で決められる場合、「入れ」と言われなければ入らなくていいです。 というのも、総合職は「雇われる側」ではなく「雇う側」つまり「経営者」を目指すコースだからです。
そういうわけで、労働組合の加入については流れに身を任せるのが最善の策です。
→事務系総合職とは?|仕事のキツさ・将来性・求められる力を解説!
労働組合は何をする団体?
給料・ボーナス・福利厚生を改善するための団体!
労働組合は、1~3月に行われる「春闘」を通じてベースアップを実現したり、 「一時金闘争」を通じてボーナスの要求をし、その他、家賃補助や昼食補助などの福利厚生を要求します。 「組合員」のために待遇の改善を目指すのが仕事です。
夏が近づくと組合員にアンケートを取り、「ボーナス要求金額」を決定します。 この要求金額は「組合員1人あたり平均80万円」といった決め方をされます。 「1人あたり80万円」を経営陣に申し入れ、組合の代表者が社長や取締役と交渉します。
夏のボーナスの交渉を「夏期一時金闘争」と呼びます。これが労働組合の最初の仕事です。
また冬が近づくと今度は「冬期一時金闘争」が同様に行われます。 このように、ボーナスを増やすために組合員を代表して経営陣と交渉を行う役割があります。
→ボーナスの額面と手取り|税金や保険料はどれくらい引かれる?
そして、春が近づくと「春闘」を行います。春闘とは「定期昇給」の確認と、「ベースアップ」の要求をメインとし、 並列要求として家賃補助や昼食補助などの福利厚生の拡充を経営陣に要求する活動です。 基本給を増やすために経営陣と交渉を行うのです。
労働組合の役割はボーナスや給料に関する交渉だけではありません。 残業や休日出勤を減らすことも大切な役割です。 「36協定」と呼ばれる「会社との約束」をつくり、「残業は月に何時間まで」「休日出勤は月に何回まで」といった協定を会社と結びます。
そして、実際に「36協定」が守られているかどうかチェックする役割もあります。 いくら協定を結んだからといって、会社が残業や休日出勤をさせていないとは限りません。 そこで残業時間や休日出勤をチェックし、会社が約束を守っているか確認します。
このように、労働組合は組合員の生活を守り、待遇の改善をめざす団体なのです。
労働組合は強制加入!~ユニオンショップ協定~
組合はだいたい強制加入なので心配する必要なし!
労働組合は原則として強制加入と言われるのは「ユニオンショップ協定」があるためで、「労働組合に入らない」という選択肢がありません。 「入りたくない」という人でも、加入しないとクビになる制度ですので諦めるしかありません。
労働組合は、会社と「ユニオンショップ協定」を結んでいることが多いです。「ユニオンショップ協定」とは、 正社員は入社したら指定の労働組合に必ず加入させ、加入しない社員はクビにするという内容です。 労働組合の乱立を防ぎたい経営陣と、自分の組合の規模を拡大したい組合側の思惑が一致して、このような協定ができるのです。
「労働者」のための団体であることから社会主義や共産主義と思想が一致する部分があり、 昔から「共産主義の温床」であったり、社会党や民主党といった左派政党の支持母体だった経緯もあります。 またJRの労働組合は非常に強く、ストライキをよく起こすことからあまり良いイメージを持たれていないことがあります。
「将来は社長を目指しているのに、社長と闘う組合に入るなんてイヤだ」と思うのも無理はありません。 しかしながら、強制加入なので出世に影響しません。今の社長も同様に組合員だった時代があるのです。
正社員みんなが組合に加入すれば、組合は数の力で経営陣を圧倒できます。 こうすることで組合は経営陣に対して強気の要求ができ、正社員の給料やボーナスが上がってきたというわけです。
ちなみに、強制加入させられるのは「正社員」だけです。派遣社員やパート、アルバイトは加入させてもらえないことが多いです。 これは「組合員」のための団体ですから、組合員でない非正規社員の待遇改善は訴えません。 つまり、労働組合に入れないと、昇給もボーナスも期待できないということになります。
メリットとデメリット
基本的に強制加入ではあるものの、労働組合に加入するメリットとデメリットがあります。 そこで、「給料や福利厚生が充実する」「”討議”で時間が奪われる」といったものを紹介していきます。
メリット
アンケートに答えるだけでボーナスが増える!
労働組合のメリットは、アンケートに答えるだけでボーナスの増額やベースアップが実現できるという点です。 配布されるアンケート用紙に「生活が苦しい」「ボーナスは80万円ほしい」「ベースアップは1万円ほしい」などと書くことで、 そのアンケートをもとに社長たちと交渉を行ってくれます。
自分自身が社長に申し入れなくても、組合が代わりに要求をしてくれるのです。 アンケートに答えるだけでボーナスが10万円上がったり、ベースアップが実現したりするのは、 大きなメリットと言えるでしょう。
また、初任給が高いのも組合の勝ち取ってきたベースアップのおかげだったりします。 その他、福利厚生が充実していたり、残業や休日出勤が少なかったりするのもやはり、組合が会社と交渉をしてくれたおかげです。
その他、福利厚生は労働組合の要求に応じて決まります。給料やボーナス以外の福利厚生も、 労働組合がこれまで努力してきた結果、今存在しているものです。 その活動の根拠となるのが組合員のアンケートなのです。
このように労働組合のメリットは、社員の生活改善に貢献しているところで、 組合員は基本的にアンケートに答えるだけで、そのメリットを享受することができます。
デメリット
昼休みや退勤後にアンケートや会議に時間をとられる!
労働組合のデメリットは、「時間を取られる」ことと「お金を取られる」ことです。
まず、組合では「アンケートや討議に時間を取られる」ことが多いです。 これらは昼休みや定時の後に行われることが多く、貴重な休み時間、帰宅する時間を1円ももらえない組合活動に費やす日がときどきあります。
「討議」とはいっても実態は組合の委員会からの連絡事項を聞くだけで、 「何か意見はありますか?」「特にありません」で終わる「中身のない会議」です。 これのために昼休みがつぶされたり、帰るのが遅くなるのは正直嫌ですね。
加えて「行事に参加させられる」というデメリットもあります。 組合行事はたいてい土日に行われます。メーデーなんかはゴールデンウィーク真っ最中の5月1日です。 こういった組合行事に参加させられ、貴重な休日が奪われる場合があるのです。
組合イベントは組合員だけのイベント、つまり上司は来ないイベントなのですが、 ただ「花見大会」「ウォーキング大会」などのイベントに参加させられるのが苦痛に思う人も多いです。
3つ目のデメリットとして「組合活動を頑張ると出世に響く」というものがあります。 私が見てきた中で、組合の委員会にいた人物で、その後管理職として出世していった人がいません。 法的には組合活動と出世は無関係で、組合活動を理由に待遇を変えることは禁止されています。
ですが、それは人事考課の書類に「組合幹部だから低評価」とでも書かない限り、 評価をどうつけようが会社の自由です。残念ながら組合活動が出世にいい影響を与えることはありません。
4つ目は「組合費」として給料の2~3%を天引きされることです。会社の規模にもよりますが、 給料から天引きされる「組合費」は5,000~6,000円でしょう。給料の安い新入社員にとっては大きな痛手ですから、「組合費を払いたくない」という方は多いです。 ですが、残念ながらユニオンショップ協定のある会社ではこれを逃れることができません。
メリットとデメリットを比較すると、「時間がかかる」けど「待遇が改善される」ことにつながるため、 労働組合に参加したほうが金銭的にはオトクだといえるでしょう。
労働組合でやること
アンケートに回答する以外のことは特になし!
労働組合でやることは、「アンケートに答えること」「賛成・反対の投票をすること」の2つです。 ボーナスの金額や生活の実態についての「アンケート」に回答し、 職場単位で行われる「討議」で「賛成」「反対」の投票をするだけで、たいした負担はありません。
その後組合内で出世すると「アンケートの作成」「議題の検討」「組合員の相談を受ける」などの仕事がありますが、 若い間にいきなり代表者になることはありません。入社して10年くらいは全員、平の組合員です。 そしておよそ現業職の中で人柄のいい人が組合内で出世します。
これとは別に、毎年5月1日に行われる「メーデー」に参加させられる場合があります。 これは会社ごとの労働組合が集まり合同で行われるイベントで、労働者団体のエライ人のお話を聞いたり、 「みんなで待遇改善を勝ち取ろう!」という趣旨のお話を聞いたりするものです。
このほか、組合が主催する行事、例えばボウリング大会だったり、カラオケ大会だったり、お花見だったりに参加することはあるでしょう。
いずれにしても多少の時間が取られる程度で、大きな負担があるものではありません。 社長たちとの交渉は代表者がやってくれますし、上位の労働者団体との会議にも、代表者が出席します。 基本的に組合員は受け身の姿勢で問題ありません。ただアンケートに答え、行事に参加して遊ぶだけです。
労働組合では「受け身」の姿勢でいよう
組合内で出世しないように、受け身の姿勢を貫こう!
労働組合では、「受け身」の姿勢でいることが望ましいです。 アンケートにはちゃんと答える、行事には呼ばれたら参加するといったことは、組合を維持し、待遇改善を図るために必須のことです。 しかし、組合活動に積極性を発揮して頑張ってしまうのは、出世から遠ざかる可能性が高いです。
注意が必要なのは、組合の幹部になったときです。組合の幹部には「委員長」「書記長」「福利厚生部長」「文体部長」などがありますが、 特に「委員長」や「書記長」になると、もはや出世は望めません。
やはり労働組合は「経営陣と闘う」以上、組合員としてパワーを発揮してしまうと、「経営者としてふさわしくない」と判断され、 その後の出世に大きく響くことになります。もちろん表向きに「出世に不利」ということは違法なので言いません。 しかし、「委員長」や「書記長」を経験して出世した人を私は見たことがありません。
会社によっては委員長や書記長経験者を「課長」に任命することはあるようですが、 それ以上の責任者、例えば「部長」や「本部長」「取締役」まで昇進させることは、まずないようです。
労働組合は強制加入が原則ですので、加入してアンケートに答えたり行事に参加すること自体はまったく問題ありません。 自身の待遇改善のために、組合に言われたことには協力するようにしましょう。 しかし、出世を目指すなら求められたこと以上に組合活動に熱心になる必要はないでしょう。
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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