持株会社とは?就職するとエリートで仕事も楽って本当?

就活で耳にする「持株会社(ホールディングス)」とは何なのでしょうか。 そして、「持株会社に入ればエリートだ」「仕事も楽」という噂もありますが、噂と真実が入り交ざっていますので、わかりやすく解説します。
この記事の要点
- 持株会社は間接部門をまとめただけで、エリート要素はない
- 経営企画の役割は、形骸化している
- 左遷された窓際族の住処である場合が大半
- 入社すれば本当のエリート部門に配属される
目次
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まずは結論!特にエリートではない!
持株会社は、エリートの集まる場所ではない!
持株会社(ホールディングス)は単なる「間接部門置き場」に過ぎないため、 「ホールディングスにいるからエラい」ということは特にありません。
結論から言うと、「持株会社」に在籍するのは特にエリートというわけではなく、 むしろ左遷されてきた窓際族の掃きだめである場合が多いです。 というのも、真のエリートは各事業会社のその会社のエリート部門に行くからです。
ですが、「ホールディングス採用」と「事業会社採用」の2つがある場合、 範囲の広いほうで応募するのがエリートコースです。
ホールディングス採用は「すべての事業会社に異動になる可能性がある」というだけで、 実際に配属される部署はそのグループの中でのエリート部門だからです。
以下では持株会社とはいったい何なのか、そしてなぜ「窓際族の掃きだめ」になりがちなのか、 特にエリートというわけではない理由について解説していきます。
持株会社(ホールディングス)とは?
持株会社は、複数の会社を1つにまとめる仕組み!
持株会社とは、傘下に複数の子会社を持ち、各社の経営管理をしている会社で、 それ自身では事業活動をしていない会社のことです。
例えば「キリンホールディングス」という持株会社は、傘下に「麒麟麦酒」「キリンビバレッジ」「協和発酵バイオ」などの子会社を持っていて、 「経営企画部」「法務部」などを通じて経営管理をしています。
一方で「キリンホールディングス」本体では事業活動は行っておらず、酒類の製造販売は「麒麟麦酒」、ソフトドリンクは「キリンビバレッジ」のように、 事業活動は子会社が行っています。
この「ホールディングス」を「持株会社」といい、「ホールディングス傘下の子会社」を「事業会社」と呼びます。
何のために持株会社があるの?
シナジーと買収防衛のため!
持株会社が生まれる理由は、複数の会社を1つにまとめるためです。
例えば「麒麟麦酒」と「キリンビバレッジ」が完全に別々の会社だった場合、 「一番搾りを仕入れている居酒屋」なのに「ジュースはコカ・コーラ」のように、 会社同士でうまく連携が取れません。
また、麒麟麦酒とキリンビバレッジが協力してビジネスをするなら、 「経理」や「法務」などの間接部門はまとめてしまったほうがスムーズですよね。
ですが、会社を合併してしまっては社内の権力争いの素になりますし、 「ビールはビール」「ソフトドリンクはソフトドリンク」で利益を出してほしいですから、 別の会社にしておきたいのです。
「別の会社だけど、1つの会社」を実現する、イイトコ取りの仕組みが持株会社なのです。
加えて「買収防衛策」としての意味もあります。 「麒麟麦酒」や「キリンビバレッジ」が単体で上場しているより、両方を傘下に収める「キリンホールディングス」として上場したほうが、 会社の時価総額は高くなりますよね。
すると、事業会社がそれぞれ独立して存在しているより、まとめてしまったほうが買収されにくいということができます。
このような理由で「持株会社」が誕生します。
持株会社は何をする会社なの?収入源は?
間接部門を代わりにやるのが仕事!
字面だけ読むと「子会社の株式を持っているだけ」のような気がしますよね。 実際にビールを売るわけでも、ジュースを売るわけでもありません。 しかし、持株会社にも重要な仕事があります。
その1つが、「経理」や「法務」などの「間接部門」を事業会社の代わりにやることです。
こういった部署は1つにまとめてしまったほうがスリムで合理的ですから、 「麒麟麦酒」「キリンビバレッジ」に間接部門は置かず、「キリンホールディングス」で一括して行います。
もう1つが、グループ全体の経営企画です。
例えば麒麟麦酒はビールに命をかけていて、キリンビバレッジはジュースに命をかけています。 ビールの社員に「ジュースのことも考えろ」と言ったって、限界がありますよね。
そこで、ホールディングスで「ビールとジュース両方を売るための戦略」を考えるのです。
必要に応じて特殊部隊をつくり、両方の事業会社から社員をつれてきて会議をし、 研究開発費の分配や工場設備の融通、果ては社員の融通のように、 グループ全体が儲かるためのことをなんでもやります。
その代わりに事業会社から経営管理料として料金を徴収し、 持株会社の家賃や給料などの経費に充てます。持株会社の収入源は原則としてこれだけです。
これらの仕事は決して「楽な仕事」ではありません。 実際就職してみると、営業のほうが楽しいという人が大量に出てきます。
持株会社の社員って何者なの?
社員は事業会社からの出向!
持株会社の社員は、基本的に事業会社からの出向で固められます。
ホールディングス採用だからといってホールディングスに在籍するわけではなく、 各事業会社に配属され、「その事業会社の社員」になります。
そして経理や法務、経営企画等への配属が決定されると、籍はそのままにホールディングスへ出向という形で異動します。
そのため、持株会社の社員というものはほぼ存在せず、 ほぼ全員が事業会社の社員が持株会社で働いているという形式をとっています。
というのも、グループ全体を指導する立場なのに、事業のことをまったく知らないでは困るからです。 経理や法務はともかくとして、経営企画など経営中枢を担う仕事は、 事業会社である程度経験を積んだ社員が望ましいです。
そこで、「麒麟麦酒」「キリンビバレッジ」などで営業や開発を務めた社員を出向させて、 全社的な取り組みをするというわけです。
持株会社はエリートなの?
実態は、左遷された社員の巣窟!
持株会社は事業会社の「経営管理」をするのですから、エリートっぽいですよね。 待遇も良さそうですよね。そこで働きたいですよね。
あなたの想像の通り、持株会社には事業会社で一流の仕事をした一流の社員が出向してきて、 経営判断を支える参謀役として市場を分析し、戦略を立て、全社を調整して爆益をたたき出す場であるべきです。
もちろんそういう会社もあります。 しかし、そうでない会社のほうが圧倒的多数派という悲しい現実があります。
キリングループのようにマーケティングを重視し、全社的な経営企画を行っている会社は激レアで、 日本企業の経営企画は機能不全に陥っているのが現実です。
私の勤めていた会社もそうでしたが、「経営企画」とは名ばかりで、 特に一流でもない「名ばかり管理職」が左遷で飛ばされてきて役員のスケジュール管理をしているのが実態です。
朝届いた新聞を読んで切り抜いて役員に渡し、役員の代わりにハンコを押すお仕事です。 夢も希望もありません。
経理や法務、人事、総務に至っては事業会社にあったものをまとめただけですから、 エリートでもなんでもありません。
「持株会社でエリートコースに乗りたい」と考えていた就活生のみなさんには残念ですが、 持株会社はエリートどころか、左遷された窓際族の住処であることが大半です。
面接で「マーケティングを習得して全社をまとめる指導的な社員になりたい」と言うことはあっても、 「経営企画部に行きたい」などとは間違っても言わないのが身のためです。
ホールディングスの平均年収は高い?
平均年収が高いのは、年齢層が高いから!
持株会社(ホールディングス)の平均年収は、1000万円を超えるような会社もあります。 しかし、ホールディングスだから年収が高いのではないことをお伝えしておかなければなりません。
持株会社がエリートの集団であっても、そうでなくても、年齢の高い人が配属される傾向にあります。 というのも、エリートはもちろん経験を重ねた人材ですし、左遷で飛ばされてくるのは「年をとってもロクに成長しなかった人」だからです。
日本はいくら「能力主義」と言ってもその実態は「年功序列」であり、年を取ればそれなりに年収が増えます。 出向してくる社員の年齢層が高いため、平均年収は高く算出されがちなのです。
何より「持株会社の社員」というものがほぼ存在しないのですから、賃金規則は各事業会社のものです。 つまり、「ホールディングスだから」という給与制度はなく、「事業会社の基準」で給与が支払われるに過ぎません。
そしてホールディングスには「現業職」や「パート」がいませんから、「総合職の年配社員」だけの平均年収になります。 一方で事業会社は「現業職」「パート」も計算に含みますから、年収は低く算出されます。 これがカラクリです。
じゃあ本当のエリート部門はどこなの?
総合職で入社すれば勝手にエリート部門に配属される!
「持株会社」を目指せばいいわけではないということが、お分かりいただけたと思います。
「じゃあエリートコースに乗るにはどこを目指せばいいの?」
という話ですが、残念ながらこれは会社によって違います。
「営業」や「生産管理」など直接利益を出す部門が強い会社もあれば、 「開発」のように売れる製品を生み出した実績のある部門が強い会社もあります。
どの部門が一番強いのかは、入社してみないとわからない側面があります。 というのも、制度上はどの部門も平等で対等だからです。
ホールディングスだからエライということもなく、事業会社だからソルジャーというわけでもないのです。 実際には「営業課長」に何も文句が言えない設計部長、生産管理部長もいたりします。 逆に「営業部長」なのにどの部門にも意見できない場合もあります。
しかしどんな会社でも、「範囲の広いほうのコース」を選べば「エリートコース」を前提としたキャリアアップが用意されています。
「総合職」と「エリア総合職」なら「総合職」、 「持株会社採用」と「事業会社採用」なら「持株会社採用」というように、 より仕事の範囲の広いコースを選べば間違いありません。
持株会社と事業会社、どっちに応募すればいい?
範囲の広い方のコースに応募しよう!
持株会社の悪口を述べてきましたが、持株会社と事業会社それぞれで新卒募集をしている場合、 持株会社に応募するのがエリートコースです。
というのも、持株会社で採用が決まったからといって、そのまま持株会社に配属されるわけではないからです。 実際には事業会社の花形部門に配属され、エリートコースを歩めます。
なぜなら「持株会社採用」は全社コースであり、事業会社間での異動、出向を前提とし、 グループすべてのビジネスをまとめる経営幹部候補としての役割が期待されているからです。
持株会社がエリート集団でない会社の場合も、全社コースで入社すれば「営業」や「開発」など、 その会社でのエリート部門に配属されやすく、結局全社の指導的な役割は担うことになるからです。
一方で事業会社採用は、「全社コース」ではありません。 その事業会社で定年退職まで働くことが前提になっており、花形部門ではなく、実働部隊として仕事に従事します。
会社をまたいだ異動は原則としてなく、また経営幹部になる予定もありません。
これは「総合職」と「エリア総合職」の関係に似ています。 「全社」で入社するほうが、「その会社限定」で入社するよりチャンスが多く、 またさまざまな経験が積める分、出世に有利ですよね。
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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