非正規雇用と正規の違い・メリットとデメリット
近頃、正規雇用と非正規雇用の格差が増大しているだとか、 非正規雇用が増加で推移しているなど言われています。 ここでは非正規雇用問題について解説します。
この記事の要点
- 違いは終身雇用・年功序列が適用されるかどうか!
- 非正規のメリットは、転職が簡単であること!
- 非正規のデメリットは、頑張る意味がないこと!
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非正規雇用と正規雇用の違い
終身雇用・年功序列かどうか!
非正規雇用とは、「終身雇用」「年功序列」といった古くからの日本の雇用制度から逸脱した雇用制度です。 終身雇用、年功序列を正規雇用と呼び、そうでない雇用を非正規雇用と呼びます。
非正規雇用の形はいくつかあります。一つはアルバイトやパートなどのパートタイム労働です。 正規雇用では週5日、1日8時間労働が原則です。しかしアルバイトやパートといった非正規雇用では、 週あたりの労働時間、日あたりの労働時間が定まっていません。
そのため月収は不安定で、出勤した日数、出勤した時間数によって給料が変わります。 労働1日あたり、1時間あたりで給料が支払われることが多く、 時給制、日給制または日当制と呼ばれます。
もう一つは期間労働です。トヨタやホンダなど、自動車工場でよくみられる制度ですが、 いわゆる期間工は非正規雇用に含まれます。 期間工は、「2年11か月」という短い期間だけ働く制度で、2年11か月を経過すると無職に戻ります。
契約社員や派遣社員もこれに含まれます。ある一定の期間働くだけで、 終身雇用でないことが前提です。どんなにその会社が気に入っても、どんなにその会社に貢献しても、 会社から声がかからない限り、期間を過ぎると無職に戻ります。
正規雇用は正社員とも呼ばれ、非正規雇用と異なり、 終身雇用が前提です。正規雇用は「期間の定めのない労働」であり、 日給や時給ではなく月給制であることがほとんどです。
キャビンアテンダントなど、正社員なのに時給制という職業もありますので、 一概に「正社員は月給制」とは言えませんが、大半の正社員は月給制で、 休日の多い5月や12月、8月と、休日の少ない6月を比べても基本給は変わりません。
また正規雇用の場合は、社会保険に加入することが義務付けられています。 雇用保険や厚生年金、健康保険など、正社員に与えられる保障制度は様々です。 一方で非正規雇用の場合はそのような義務がありません。
非正規雇用では、正規雇用と違って出世することがまず、ありません。 数年で退職するのが前提ですので、責任のある役職につくことはありません。 主任にも、係長にも、課長にも課長補佐にも部長にもなれません。
非正規雇用で入社しても、数年たつと正社員の後輩にどんどん年収も、役職も追い抜かれていきます。 ついでに、非正規雇用ではボーナスがありません。ボーナスは利益に応じて正社員に支払われる給料ですが、 非正規雇用は「非正規でもできる簡単な仕事」しかしていないという設定なので、 ボーナスが出ることは稀です。
非正規雇用と正規雇用の違いは、収入が安定しているかどうか、 期間の定めがあるかどうか、社会保険制度を利用できるかどうかにあります。
会社によってはこれ以外にも差を設けており、 非正規雇用の社員は社員食堂が使えない会社や、 福利厚生は正社員限定な会社もあります。
しかしながら覚えておきたいのは、非正規雇用でも有給休暇を取る権利はあるということです。 会社の福利厚生や社会保険、昇給や昇進は諦めざるを得ないところがありますが、 有給休暇は非正規雇用でも保障されている権利です。
同様に残業代も、非正規雇用でも請求できるものです。 非正規雇用だからといってすべてがすべて正社員に劣っているわけではありません。
しかし、生活の保障という点では非正規雇用より、正規雇用のほうが優れています。
非正規雇用のメリット
簡単に転職ができるところ!
非正規雇用のメリットはなんでしょうか。 デメリットは数多く報告され、正社員に対して不当な扱いを受けるだとか、 生活の保障がないだとか、給料が安いなどのデメリットがあります。
一方で非正規雇用のメリットもいくつかあります。
まず、簡単に会社を辞められるということです。 その会社で築いた地位や名誉もありませんので、しがみつく必要もなく、会社を辞めやすいです。 会社側も辞めるのを前提に採用していますので、辞めたところでそれほど追求されることもありません。
職場を変えやすいというのは大きなメリットです。 人間誰でも、長い間同じ場所にいるとフレッシュさが失われます。 だんだん職場、仕事に飽きてくるものです。
それが悪いかどうかはさておき、嫌なことを延々と続けることもストレスの原因です。 数年で新しい職場に移り、新しい環境で新しい仕事をするのは新鮮さがあり、 楽しいものでしょう。
また正社員ほど仕事に命をかけなくてもいいというのも大きなメリットです。 プライベートをつぶしてまで会社に人生を捧げる必要はありません。 なぜなら非正規雇用であり、人生を捧げるほどの報酬はもらっていないからです。
そこまで一生懸命にならなくても、会社にしがみつく必要がないのです。 会社から役職を与えられているわけでもなければ、高い給料をもらっているわけでもありません。 辞めたところで自分へのダメージは少ないです。
仕事が適当でいいとまでは言いませんが、会社の利益を考えて、会社のために、 株主のために、上司のためにと働く必要はなく、自分のために働けばいいのです。
自由時間がとれるというのも大きなメリットです。 非正規雇用の場合、正規雇用と違って激しい残業を繰り返す必要はありません。 あまりにひどかったら転職してしまえばいい話です。
早く帰宅し、自分のために時間を使えます。 土日に休日出勤する必要もなく、自分のために休日を費やせます。 この点では正社員より優れているといえます。
まとめると、非正規雇用のメリットは、 簡単に転職できるということ、仕事に命をかけなくていい、 自由時間がとれるということですね。
非正規雇用のデメリット
頑張る意味がないところ!
非正規雇用のデメリットは様々あります。 非正規雇用問題は解決も難しく、放置しておくこともできない大変な問題です。 まずは、労働者側の立場から非正規雇用の問題点を挙げていきましょう。
非正規雇用はボーナスがなく、月収も不安定で、低収入であることがほとんどです。 予備校講師やプロ野球選手のように契約社員なのに、莫大な月収を得ている人もいます。 しかし例外を除いたほとんどは低収入です。
正規雇用の場合、「将来会社に利益を出す」という前提で長期的に給料が支払われます。 入社1年目からボーナスが出て、勤続年数に応じて給料が上がっていきます。 初任給も高めで、5年ほど勤めると「主任」という役がつき、課長補佐、課長と昇進していきます。
一方で非正規雇用は、「いずれ退職する」のが前提です。そのため昇給も微々たるもので、 そもそも初任給すら安いです。勤続年数がたまっていっても特に役職がつくことはなく、 ずっと平社員です。
会社にとって非正規雇用は「忙しい時だけ来てもらう」社員であり、 継続的に会社に利益を出してくれる社員ではありません。 そのため継続的に会社にいてもらうための報酬は、非正規雇用には支払いません。
雇用が不安定なことも、非正規雇用の問題点です。 数年で退職するのが前提な非正規雇用。今は給料がもらえても、3年後に給料がもらえる保障はありません。 3年後の生活のことを考えながら、お金に悩みながら毎日を過ごさなければなりません。
精神的に不衛生であり、ストレスがたまります。 このせいで仕事もうまくいかず、契約更新もなく、そのまま非正規雇用の職を解かれます。 こうしてまた、再度就職活動をしなければなりません。
人生で何度も就活をするのはそんなにいいものではありません。 年をとるごとに仕事は減っていき、40歳、50歳になるころには非正規雇用の仕事すらほとんど残っていません。 雇用が不安定で、低収入で、さらに社会保険もありません。
社会保険未加入ということは、突然職を失うと生活する方法がなく、 困窮します。生活保護を受けたり、ホームレスになったり、 ニートにならざるを得ない状況が発生してしまいます。
当人が正社員で就職しなかったせいだと言われればそれまでですが、 そうとも言えません。会社は経費削減のため、正社員を減らして非正規雇用を進めています。
自動車工場の期間工はその象徴です。 車を大量に生産するときだけ期間工を採用し、車の売り上げが冷え込んでくると期間工を解雇し、 給料を支払わなければならない従業員を削減します。
実は、会社にとっても、非正規雇用は問題です。
このように低収入な労働者を増やし続けると、国民の購買力が落ちます。 昔は一家に一台、自動車があり、マイホームを買い、外食をし、ゲームやスポーツなどの贅沢品にお金を使っていました。
しかし、低収入な人口が増えると贅沢品から買わなくなっていきます。 自動車よりも自転車、マイホームより公営住宅、外食よりも自炊、ゲームやスポーツよりネット料金だけで楽しめるインターネット、 動画サイトなど、どんどんお金を使わない方向に節約していきます。
すると困るのは会社です。自社製品が売れなくなっていきます。 売り上げが低迷し、当然利益も出ません。さらに経費を削らなくてはならなくなります。
そして非正規雇用だと3年後の生活が不透明です。仕事に熱中するはずもなく、 やる気のない従業員ばかりになっていきます。命をかけて仕事をしても、3年後には無職な可能性が高いのです。 それでやる気を出す方がおかしな話です。
経営は不効率になっていき、さらに売り上げが低迷し、利益も出なくなっていきます。 配当もなく、増収も見込めない会社の株は誰も買いません。 株価は低迷し、投資家も逃げ出します。
経済は冷え込み、会社は倒産し、さらに低収入な人口が増えます。 こうして国民の購買力は落ち、ますます会社は苦しくなっていく・・・
こんな負のスパイラルの入り口が、非正規雇用なのです。 非正規雇用には問題だらけですね。
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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