なぜエントリーシートは手書きなのか|時代遅れの悪習
エントリーシートが手書きなのはめんどくさいですよね。 なぜ時代遅れの悪習を続けるのか、その理由を「会社の現実」の観点から解説します。
この記事の要点
- 年輩社員は紙じゃないと読めない!
- 手書きを素晴らしいものだと思っている
- 最後はシュレッダーにかけて処分するので無駄だらけ
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手書きを強制する残念な理由
社員が紙で読むから!
エントリーシートが手書きな理由は、社員が紙で読むからです。 たとえweb上で提出したESであったとしても、人事部では結局印刷して読みます。 そのため「最初から紙で提出してもらおう」となってしまい、手書きの悪習が今も続いているのです。
会社に書類がたまるのは、邪魔になりますしゴミになります。 いちいちシュレッダーにかけて処分しなければなりませんし、エントリーシートは個人情報の塊ですから管理も大変です。 それでも紙じゃないと読めないのです。
理由1:手書きじゃないと読めない社員がいる
手書きじゃないと読めない人がいる!
私の会社もエントリーシートは手書きでしたが、実際に会社に入社して、 モニタに映った文字を読めない人が多いということがわかりました。
不思議でしょう。私も不思議でした。 まったく読めないわけではないですし、入力もします。 エクセルやワードも使います。
しかしなんでもかんでも紙に印刷します。 回覧物などは「はんこを押す」ためにワードで入力したものを紙に印刷して回します。
会社のサーバに保存してある文書も「パソコンでは読みにくいから」と、 すべて印刷して太いファイル(キングファイル)に入れます。 そして不要になってもなかなか捨てられず、オフィスに紙(やファイル)の山ができます。
非常に効率が悪いですが、会社の40代以上はそんな感じで、パソコンの文字を読むのを嫌がります。 この感覚は、デジタルで文字を読むことに慣れている若い人にはわからないと思います。 ですが、もともと紙文化の時代に生まれた人たちは仕方がありません。
つまり、印刷してもらわなければエントリーシートを読むことができないのです。
採用担当者は、エントリーシートは印刷して赤ペンでチェックを入れながら読みます。 そして通過させるエントリーシートを上司に回覧します。このときにはどうせ、印刷しておかなければならないのです。
「印刷しないと読めない」のが、エントリーシートを手書きで提出させる理由の一つです。
理由2:手書きじゃないことに怒る社員がいる
手書きが良いものだと思っている!
エントリーシートをパソコン入力で提出させた場合、 怒る社員がいるのも理由の一つです。
「手書き信仰」とも言えるほど、年配の社員は手書きをすばらしいものだと思っています。 「感情が伝わる」「心がこもっている」「大事な文書は手書きが常識だ」といった、古い考えですね。
実は大企業ほど、昔の精神論が根強く生き残っている会社が多いものです。 体育会系の名残で「年配社員の言うことは絶対である」という考えも生きています。 そのため、年配の社員が「エントリーシートは手書きだ!」といえば手書きなのです。
いくらITの時代になり、情報社会になり、パソコン入力が当たり前の時代になっても、 「書類は手書き」「紙に印刷して回覧しろ」「パソコン入力は心がこもっていない」と言い張るのです。
時代に取り残された老人は、自分の時代のことを正義だと考えています。 そのため手書きでないエントリーシートは「やる気がない」と思うどころか、 「手書きでないものは読みたくない」とまで言うのです。
そんなとき、現場の採用担当者は年配社員に逆らえません。 いくらパソコン入力の方が読みやすくて管理がしやすくても、 年配の社員が手書きだといえば、手書きで提出させるしかないのです。
手書きは時代遅れ
ハッキリ言って時代遅れ!
エントリーシートを手書きで提出させる最大の理由は、 手間をかけてでも入社したいと思っている人だけにエントリーシートを提出させたいというものです。
「熱意があれば手書きで時間をかけてエントリーシートを書くだろう。」という独善的な解釈です。 彼らの弁は、「エントリーシートを手書きしてでも入社したい」 以外の人を予め切り捨てることができるということです。
しかし、こういった考え方はあまり的を射たものではありません。
会社に将来性を感じ、また会社を爆発的に成長させるような優秀な学生に、 「エントリーシートが手書きだなんて効率が悪すぎる。この会社はきっと効率性を重視しない会社だ。」 と逆に切り捨てられてしまう可能性もあるからです。
「時代遅れ」は由々しき問題で、写真フィルム事業から転換した富士フイルムと転換できなかったコダックの差、 家電事業から転換したパナソニックと転換できなかったシャープの差を見れば歴然としています。 「時代遅れ」は非常にリスクの高い状態です。
特に技術の進化はめまぐるしく、常にイノベーションが起こり、 これまで一般的に使われていたものも、明日にはみんなに捨てられてしまう可能性だってあるのです。 「永遠に大丈夫」というものはありません。
時代に適応できる会社と、時代に適応できず業績の悪化を誰かのせいにしているような会社では、 前者のほうが圧倒的に将来性があるわけです。
エントリーシートを手書きで提出させる会社は「時代遅れ」を猛烈にアピールしていることになります。
熱意をはかる前に、効率性を考え直すべきですし、「時代遅れ」であることについてもう少し考えるべきです。
手書きは無駄の塊!
結局シュレッダーにかけて捨てるので無駄の塊!
手書きのエントリーシートは無駄の塊です。
まず、エントリーシートの手書きには時間がかかります。 文字を書き間違えたら最初から書き直しですし、改行や文字の大きさにも注意しなければなりません。 丁寧な文字で書く必要もありますし、途中で文章を追加したくなったらやはり書き直しです。
パソコンであれば文字サイズも改行もあとで調整できますし、文章も挿入することができます。 文字の間違いは書きなおすことも簡単です。
手書きエントリーシートは、時間の無駄なのです。
時間の価値を軽く見ている人が多いため、時間の無駄だという認識はありません。 時間を費やせば費やすほど熱意があるという、勘違いなのです。
そして、ゴミ問題という無駄もあります。
手書きのエントリーシートは不要になったらシュレッダー行きです。 不採用の人のエントリーシートを残しておく必要はありませんし、スキャンして保存ということもしません。 単に邪魔になるので破いて捨てられるだけです。
エコの時代にゴミを増やす行為です。エントリーシートをゴミとして業者に回収してもらうため、 費用が発生しますし、ゴミも増えます。「木を守ろう!自然を守ろう!」という時代に逆行していますね。
そして会社は熱意は要求しても、誠意は見せないという問題もあります。
無駄な時間を浪費させたうえでエントリーシートで落選という事態が発生する以上、 不採用通知を出す必要があります。
しかし、不採用通知は手書きではなくメールです。
なぜ就活生には手書きを要求し、会社はメールで済ませるのでしょうか。
「熱意がどう」とかいう問題ではないと思います。熱意だけ求めて誠意ある対応をするわけではないのです。 就活生を低く見ています。「相手は下だから大丈夫」という考えです。
自分の会社の存続のために次の世代が必要であるにも関わらず、 いかにも会社が親切で「採用してあげている」かのような態度を取るのです。おかしな話ですね。
そんな会社は願い下げましょう。お望み通りエントリーシートを送らないであげましょう。
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志望企業の内定者はどう書いた?内定エントリーシートを見よう!(その1)
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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