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ブラック企業の有給休暇|あるけど取れない

 ブラック企業にも有給休暇はあります。ですが、それは制度上の話であり、取ったことにして出勤したり、 そもそも有休を捨てるという会社すらあります。

この記事の要点

  1. 有給休暇は、取りにくい!
  2. 有給休暇は、ないと違法!
  3. 取得を義務化しても、ブラック企業は休めない!


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有給休暇が取りにくい

 有給休暇が取りにくい

 有給休暇取りにくいブラック企業は、 どのようにして取りにくくしているのでしょうか。

 有給休暇があることを教えない

 一番よくあるのはこれです。建前では「有給休暇はあるけど誰も申請しない」というのです。 実際は有給休暇のことを社員に伝えておらず、みんなが「有給休暇はない」と思い込んでいるのです。 これがなかなか悪質なもので、社員は有給休暇がないと思って申請しません。

 有給休暇を申請する制度もなく、申請の仕方がわかりません。 有給休暇を取らせたくないがために、申請の制度を整えていないのです。

 パートやアルバイトでよくあることです。コンビニのアルバイトなどでは、半年働いても有給休暇が付与されたと告知されません。 「パートやアルバイトには有給休暇はないのだろう」と思い込んで、申請をしないのです。 実はコンビニアルバイトでも有給休暇は付与されなければならない権利なのです。

 有給休暇の申請を断る

 これもブラック企業ではよくある、有給休暇を取得させない手口です。 有給休暇の申請をしようとすると、「忙しいから無理」というわけです。 確かに会社には、「忙しいからその日は無理」という権利があります。

 時季変更権といって、社員が有給休暇を申請した日が忙しい場合、 会社は有給休暇の日を変えることができます。しかし、あくまで変更できるというだけです。 断る権利があるわけではありません

 有給休暇の申請を受け入れない場合、他の日に有給休暇を取得させなければならないのです。

 有給休暇について嫌味を言う

 上司や経営者が、有給休暇について嫌味を言う場合も、社員は有給休暇を取りにくいものです。 「有給休暇を取るのは生意気だ」「休むって、仕事が嫌いなのか?」などと、 有給休暇を取らせない方向に持っていこうと、嫌味を言うのです。

 このような場合、実際に手続きを踏んで申請をすれば休めるものです。 しかし、上司や経営者との関係が悪化することを恐れて、申請をすることができません。 このように有給休暇を取得しないことを強要するのも、ブラック企業でなくても多い手口です。

 有給休暇取得の理由を聞かれる

 有給休暇を取得しようとすると、理由を聞かれることもあります。 「なんで有給休暇を取るの?」「なんのために?」「なんかあるの?」 というように理由を聞かれると、有給休暇の取得を嫌がっているようにしか聞こえません

 有給休暇は理由がなければとってはいけないものではありません。 当然に与えられた権利であり、何の理由もなく取得できるものなのです。

 

有給休暇は無いと違法!

 有給休暇は、ないと違法

 ブラック企業の有給休暇は労働基準法を完全に無視し、本来なら与えられるべき有給休暇を与えず、 社員が風邪を引けば欠勤とし、遅刻しても欠勤とし、とにかく給料を減らそうとします。

 ブラック企業有給休暇という制度をまず、理解しようとしません。 有給休暇は福利厚生の一部であり、家賃手当やボーナスのように会社が自由に決めて与えるものだと思っているのです。 しかし、有給休暇は半年以上働いた全ての労働者に与えられるものです。

 「有給休暇がありません」→完全に違法です。 パートでもアルバイトでも派遣社員でも、半年働けば有給休暇が与えられなければなりません。 有給休暇は正社員だけ、という会社もやはり労働基準法違反のブラック企業です。

 それでは、ブラック企業はどのように有給休暇を取れなくしているのでしょうか。

 

ブラック企業の有給休暇取得率

 有給取得率が40%以下は要注意!

 ブラック企業有給休暇取得率は極めて低いです。 有給休暇取得率が「2~3日」など、かなり低い水準である場合はブラック企業であると思われます。

 そもそも日本の有給休暇取得率は40%を切っています。権利を権利として主張できないのが日本なのです。 「権利ばかり主張する」という悪口は実に日本らしいものです。ではいったいいつになったら権利を主張できるのでしょうか。

 「会社が楽しすぎて休んでなんていられない!」なんて会社はそんなに多くはないと思いますが、 「有給休暇を取らせない」会社は非常に多いものです。

 有給休暇取得率が0%だと、明らかに怪しいです。労基署が注意にやってくるでしょう。 ブラック企業はそれを回避するために、有給休暇取得率をなんとかあげようとします。

 まずは、一般職に有給休暇を取得させます。休んでも総合職ほど影響のない一般職に有給休暇を取得させることで、 有給休暇取得率を高めるのです。取得率だけを見れば、一般職が20日休めば、20人の社員が1日ずつ有給休暇を取ったのと同じことになります。 公表する取得率は全社員の平均ですので、一般職ばかりが休んでいるのか、総合職も休んでいるのかはわかりません。

 一般職の多い会社で有給休暇取得率が高いのは、一般職が休みまくっているだけかもしれません。

 また現業職の多い会社では、現業職に有給休暇を取得させる会社も多いです。 現業職はスキルを持っており、流出すると困ります。そのため仕事以外では待遇が良いのです。

 一方で総合職は幹部候補と言うことで会社に逆らいにくく、 会社を辞めることはあまり考えられていません。 そのため、どの会社でも総合職のほうが有給休暇取得率が低いのです。

 以上より、総合職しかいない会社でない限り、高い有給休暇取得率は当てになりません。 そして有給休暇取得率が低い会社は、まずブラック企業です

 

有給休暇の義務化

 義務化してもブラック企業は休めない!

 有給休暇の消化を義務化することが検討されているようです。 厚生労働省によると、社員が有給休暇の消化を申請しづらい状況をみて、 上司から有給休暇の消化をすすめる制度をつくろうとしているのです。

 しかし有給休暇の消化が義務化されても、実際に休めるのはホワイト企業だけです。

 ブラック企業はそもそも法律を守りません。 現に有給休暇を取得させず、サービス残業をさせ、あわよくば有給休暇を消化したことにして出勤させようとまでします。 消化が義務付けられたところで、ブラック企業が本当に休ませてくれるとは到底思えません。

 有給休暇の消化の義務化に対し、ブラック企業はこんな対策をとってくることが予想されます。

  • 有給休暇を取得したことにして出勤させる
  • 社員が取得を断ったことにする
  • 休んだ分、サービス残業させる
  • 休んだ分、休日出勤させる
  • いつの間にか有給休暇を消化したことにされる

 有給休暇には、あまり拘束力がありません。結局のところ、社員が訴訟でも起こさない限りバレませんし、 問題にならないのです。そういう状態がブラック企業を生む温床となっているのです。 しかしこれは法律ではなかなか縛りにくい問題です。

 今のところ、有給休暇の消化率の高い会社をホワイト企業だと思って就活するしかなさそうです。

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著者:村田 泰基(むらた やすき)
 合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。 その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。 →Xのアカウントページ