就活の時期が6月ってどういうこと?
2017年卒以降の大学生については、就活の時期が6月になったと発表がありました。経団連が「採用選考の開始時期」を6月とする案を発表し、 それを大学側の就職問題懇談会が2015年11月20日に受け入れた形です。さて、この「採用選考の開始時期」とは、いったい何を意味するのでしょうか。 「6月解禁」を正しく理解しないと、就活に失敗する可能性があります。
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「採用選考の開始時期が6月」って?
採用選考の開始時期が6月ということですが、「就活を6月に始めたらよい」というわけではありません。
確かに、言葉だけ捉えれば、採用選考は6月に始まるのですから6月までは何もしなくてもいいように思われます。 しかし「採用選考の開始時期」とは「就活解禁」そのものを指す言葉ではなく、「面接を開始していい時期」を表す言葉なのです。
就活は、「①プレエントリー → ②会社説明会 → ③筆記試験&書類選考(本エントリー) → ④面接 → ⑤内々定 → ⑥内定」という順序をたどります。 6月に解禁されるのは「③」から「⑤」までです。つまり、①プレエントリー、②会社説明会はそれ以前に解禁されることになります。
プレエントリーとは志望先の会社に個人情報を登録することですが、これをしなければ会社説明会の案内も来ないし、 筆記試験や書類選考を受けるための書類やIDも発行されません。就活の大前提としてまず、プレエントリーすることから就活は始まります。
そして、会社説明会も重要です。会社によってはパンフレットに書いてあることをダラダラ読み上げるだけの説明会もありますが、 基本的に会社説明会に参加して、選考を受ける決意をしたり、就職先として希望するにあたって必要な情報、例えば勤務地、職種、福利厚生などの待遇、 会社の雰囲気、ビジネスモデルなどの情報を得て、会社の将来性を推測し、就職するにふさわしい会社かどうか見極める必要があります。
また会社説明会への参加をもって、筆記試験や書類選考を受ける権利がもらえる会社も多くあります。 プレエントリーしたら、会社説明会に参加し、就職先としてふさわしいか判断することが当面の就活の流れです。
建前上、プレエントリーから会社説明会までは、採用選考ではありません。というのも、プレエントリーや会社説明会では、 会社は誰を採用するか、誰を不採用にするか一切決めていないということになっているからです。
今回の6月解禁とは、③筆記試験&書類選考から先を、大学4年生の6月に解禁するという取り決めなのです。
さて、プレエントリーや会社説明会、つまり就活自体の解禁はいつなのでしょうか。
就活の解禁は2016年卒と変わらず、大学3年生の3月です。遅くとも大学3年生の春休みには、会社を探してプレエントリーし、 会社説明会に参加して就職の希望先を固めていかなければなりません。
就活の解禁は、実は大学3年生の6月!?
「採用選考の開始時期」は2017年卒以降の大学生の場合、大学4年生の6月に決まりました。 プレエントリーなどの就活自体の解禁は大学3年生の3月であることにも注意が必要です。 しかし、実は就活はもっと前に始まっています。
経団連の言うことを鵜呑みにしてはいけません。これまで面接の解禁は、2015年卒までは大学4年生の4月、2016年卒は大学4年生の8月でした。 2017年卒は大学4年生の6月になるわけですね。しかし、このルールをしっかり守っていた会社はほとんどありません。 私の知る限り、東京ガス以外の会社はほぼ全てルール違反をしています。
まず、筆記試験&書類選考は明らかに「採用選考」ですが、ほとんどどの会社でも「採用選考の開始時期」より前に行われています。 つまりほぼあらゆる会社が、会社説明会しかしてはいけない時期に筆記試験を行い、書類選考を行っているのです。 「赤信号 みんなで渡れば 怖くない」のように、あらゆる会社が仲良くルール違反をしているわけです。
筆記試験&書類選考のみならず、リクルーター面接という面接が、採用選考の開始時期より前に行われています。
筆記試験や書類選考は「混乱を避けるために先に会社に送ってもらうだけで合否判定はしてないしぃ~」などと言い訳もできますが、 面接をやってはいけない時期に面接をやっています。完全にアウトです。
就活の時期に関するルールは、実は経団連に加盟している会社にしか関係ありません。経団連に加盟していない大企業、外資系企業、中小企業は、 経団連のルールに従う必要はないのです。そのためこのルールを守らなくていい会社は日本に星の数ほどあることになります。 しかし、経団連に加盟している企業すらほとんどがルールを破っていることを認識しておく必要があります。
そもそも「リクルーター面接」とは「1対1の座談会」「1対1の質問会」と称して社員に喫茶店に呼び出され、 喫茶店で面接を行うことを指して言います。たいていMARCH・関関同立レベル以上の大学生ならリクルーター面接に呼ばれるのですが、 このリクルーター面接は、経団連に加盟している企業が、経団連のルールを破るために使われている仕組みです。
「1対1の座談会」「1対1の質問会」と言うのは「面接ではない」と主張するためです。しかし実際には、その座談会や質問会に現れる社員(リクルーター)は、 人事部に「採用すべき人材だったかどうか」を報告する義務があり、実質的な面接です。それでもリクルーターは、 「採用選考とは関係ありません」などと大嘘をつくのです。
リクルーター面接は、プレエントリーをしてくれた就活生に対してしか実施しません。では、プレエントリーが始まる大学3年生の3月までは、 就活は始まっていないのかというと、実はもっとはやくに就活は始まっています。
それは夏期インターンシップです。夏期インターンシップは、大学3年生の夏休みに実施される職業体験であり、 インターンシップで採用選考をすることはやはり、経団連のルールで禁じられています。 しかし経団連加盟企業はルール破りが大好きです。当然、インターンシップでも「採用すべき人材かどうか」の選考が行われています。
夏期インターンシップは、大学3年生の6月に募集が行われます。つまり、大学3年生の6月にはもう、就活が始まっているというわけです。
なぜ会社は採用選考のルールを破るのか
ここまで、あらゆる企業が採用選考のルールを破りまくっていることを解説しました。 ここで浮かび上がってくる疑問は、なぜ会社は採用選考のルールを破るのかということです。 皆がルールを守って平等に採用選考を開始すれば、会社のつくウソに騙される就活生もいないわけです。 なぜ会社は嘘をついてまでルールを破るのでしょうか。
それは、採用選考も企業同士の競争だからです。仮に東大の就活生が100人しかいないとしましょう。 どの会社も優秀な東大生を採用したいですよね。ルールを守って6月まで面接を待つとしても、他の会社が先に内定を出してしまったら、 その会社に東大生をとられてしまう可能性が高いです。
「いいこと思いついた!他の企業を出し抜いて、もっと早くに面接して東大生を独り占めしよう!」 というわけです。東大生に限らず、優秀な人材を獲得するには、他の企業より早く面接をして内定を出すのが一番効果的なのです。
問題はこれだけではありません。先ほど経団連のルールを守らなければならないのは、経団連加盟企業だけだと書きました。 あくまでも「採用選考の開始時期」は経団連のルールであって、あらゆる会社のルールというわけではないのです。 つまり、経団連に加盟していない企業はやりたい放題というわけです。
大企業は1万2000社ありますが、経団連に加盟している企業は1300社しかありません。1万社以上の大企業は自由に採用選考ができるわけです。 さらに外資系企業やベンチャー企業など、魅力的な会社はたくさんあるわけですが、そういった企業も経団連には加盟していません。 もっといえば、1300社のうち、経団連のルールである「倫理憲章」に賛同している会社は830社程度ですから、 経団連のルールを守るべき会社はごく少数なのです。
経団連の中ですら、ルールを守らなくていい会社があるのです。こんなルールに真面目に従っていたら、優秀な学生など採用できません。 1万社以上の採用選考のあと、余りものをもらうなんて絶対に嫌です。そういうわけで当然のようにルール破りが行われているのです。
さて、会社は大嘘つきで、ルールを破りまくるということがわかりました。採用選考の開始時期が6月だとか、 就活の開始時期が3月などタテマエでしかないことがはっきりしますね。
本当の就活の時期
それではいつ、就活を始めたらよいのでしょうか。経団連や企業のウソに騙されず、就活を成功させたいものですね。 そこで、実際にはどの時期に何をすればよいのか、本当の就活の時期を解説していきます。
就活はインターンシップに始まります。大学3年生の夏休みに開催される夏期インターンシップは、 もちろん「採用選考とは関係ありません」と前置きされますが、当然のように採用選考の一環です。 大学3年生の6月ごろにリクナビ・マイナビがオープンし、インターンシップの募集が始まります。 つまり、大学3年生の6月にインターンシップに応募することが就活の最初の一歩となります。
できれば複数の企業のインターンシップに参加し、明るく元気で優秀な大学生であることをアピールしてきましょう。 いろんな会社に自分を売っておくことで、後々の採用選考に有利に働きます。 例えばリクルーター面接に呼ばれたり、一次面接が免除されたり、いきなり最終面接まで飛ばしてもらえたり・・・
そしてしばらく間があき、大学3年生の3月になると、プレエントリーと会社説明会が解禁されます。 あらゆる企業のインターンシップに参加することは不可能ですから、多くの会社ではプレエントリーが最初のアプローチとなります。 プレエントリーで個人情報を登録し、IDをもらうのです。
「合同説明会」に参加して他にも良さそうな会社がないか探しつつ、気になる企業にプレエントリーし、 IDを発行してもらいます。IDを発行してもらうと「単独説明会」の案内が来ますから、単独説明会に参加します。 これが大学3年生の3月から、4年生の5月までの流れになります。
その間に筆記試験や書類選考の案内も届き、これに通過すると「リクルーター面接」に呼ばれる人も出てきます。 リクルーター面接に通過すると、やはりその後の採用選考に有利に働きます。 例えば一次面接が免除されたり、最終面接までスキップさせてもらえたり、6月1日の内々定を約束されたり・・・
注意しておかなければならないのは、経団連に加盟していない企業はいつでも面接ができ、いつでも内定を出せるということです。 経団連に加盟していない企業は、会社説明会のついでに面接をしたり、筆記試験をしたりします。 抜き打ち面接でいきなり内定がもらえたりするのですから、非経団連企業のスピード感はたいしたものです。
そして大学4年生の6月、ついに採用選考が解禁されます。まあもちろん、その時期にはすでに面接を終えていて、 内定をもらっている人もたくさんいるわけですが。経団連に加盟している企業の多くは6月に入ってから、予めリクルーター面接で絞っておいた就活生と面接し、 内々定を出し始めます。
10月になると内々定が内定に変わります。これが本当の就活の時期、流れです。
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全滅リスクにセーフティネットを貼っておこう
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、8年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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